おりものの臭いや色が気になったら|考えられる病気9選と対策

この記事を監修した医師
近都真侑
近都 真侑 
産婦人科医・産業医

近畿大学医学部卒業し、その後名戸ヶ谷病院で初期研修を経て千葉西総合病院と昭和大学の産婦人科にて勤務。ヤフー株式会社にて専属産業医を経て、JR東日本や株式会社ココナラなど述べ20社の産業医を歴任。

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川原正行
ルナレディースクリニック院長 / 産婦人科専門医・母体保護指定医

1998年岡山大学医学部卒業。岡山大学病院、広島中電病院、福山医療センターでの産婦人科研修を経て、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)にて医薬品・医療機器の承認審査に従事。こうのとりレディースクリニック、新宿レディースクリニックにて勤務の後、2021年よりルナレディースクリニック院長。

何度か洗ってもおりものが臭うとき、臭いが強いときや生臭いとき、何が原因でどのように対処すればよいのでしょうか。

帯下(たいげ)とも呼ばれているおりものですが、健康な膣環境を保つには必要不可欠なもの。健康状態によって臭いや色、量が変化します。

ここではおりものの匂いについて、どのような病気と関係しているか、また臭いが強いときの対策について紹介します。

正常なおりものの臭い

正常であればおりものは無臭です。臭いがあったとしてもヨーグルトやチーズ、弱いお酢のような酸っぱい感じの臭いがするでしょう。

理由は、おりものには乳酸菌が含まれているからです。おりものは乳酸菌を主とした免疫作用により、膣の中で雑菌の繁殖を防いでいます。ただし、生理があるときは血が混じるため多少臭いが強くなることがあります。

なんらかの病気により悪臭や生臭さを感じることがありますが、そんな時には臭い以外の要素も合わせて注意が必要です。

臭い以外で確認すべきおりものの状態

では、臭い以外に確認しておくべきことはどのようなことでしょうか。
異常なときには、おりものの色・形状・量などにも変化が現れます。

色は基本的に白色か透明です。衣類についたものが乾くと少し黄色っぽくもなりますが、病気に感染していたり、出血していたりすると色が変わります。

おりものの色

黄色であっても黄緑色に近いと何かしらの病気が疑われます。また、白色でもクリーム状だったり、ぼろぼろと固形のような形状だったりするとカンジダ膣炎が疑われます

また、血が混ざったときは茶色や黒色、少量の着床出血であればピンク色に近いでしょう。出血の原因が生理であることが多いかもしれませんが、なかにはポリープや膣炎の可能性もあります

おりものの量

色や臭いに異常がなく量が多い場合は、子宮膣部びらんといって生理現象の一つであることが多いですが、おりものの量が多すぎる場合は感染症の可能性もあります

おりものの臭いが気になる場合に考えられる病気

では、具体的にどのような病気が潜んでいる可能性があるのでしょうか。

ここではクラミジア感染症や淋病感染症など9つの病気について説明します。

クラミジア感染症

クラミジア感染症は日本で非常に多い性感染症です。性行為によりクラミジアという病原体に感染することで、女性では子宮頸管・咽頭、男性では尿道・咽頭に感染が起こります。

治療では抗菌薬の飲み薬を1日〜7日使用します。2週間後に検査を行なって陰性であれば治療完了となりますが、服用期間は人によって2週間〜4週間となり、治療期間には幅があるでしょう。

クラミジア感染症になった場合、おりものの臭いに変化はなく、量が多くなる可能性があります。女性の8割が無症状で、おりものに特に変化はなく水っぽい場合があります。他の症状では、下腹部の痛み、発熱、排尿時の痛みや不正出血がみられるでしょう。

淋菌感染症

淋菌感染症は淋病とも呼ばれ、性行為により淋菌に感染することで発症します。

感染すると女性では子宮頸管に炎症が、男性では尿道炎などが起こるでしょう。女性の場合は感染しても自覚されず、骨盤の痛みや子宮外妊娠、卵管不妊症の原因になると言われています。

治療では抗菌薬の経口投与や筋肉注射などが行われます。
治療期間は2週間〜3週間であることが多く、その後も経過の確認がされるでしょう。最近では抗生物質が効かない耐性菌も存在するため、治療後も油断は禁物です。

おりものの状態では、黄色や黄緑色、量が多い、悪臭がするなどがあれば、淋菌感染症の可能性があります。

膣トリコモナス

膣トリコモナスは、性器にトリコモナスと呼ばれる0.1mmほどのゾウリムシのような原虫が入り込むことで発症する炎症です。

性器周辺のかゆみや熱く感じるような痛みが挙げられます。2割〜5割の人が感染しても症状が出ませんが、治療を行なわずに炎症が卵管まで進むと不妊症や流産に影響することもあるため、注意が必要です。

性交渉以外にも、衣類や便座、浴室などから感染することがあり、ときには子供や家族に感染することもあります。
治療には内服薬や膣錠が処方され、治療期間は約10日になります。

おりものから強い臭いを感じたり、色が褐色や黄緑色だったりすると膣トリコモナスが疑われます。

細菌性膣炎

細菌性膣症とも呼ばれる病気で、膣を守っている乳酸菌が弱ることで発症します。炎症が起こっているのではないため、痛みやかゆみといった症状はありませんが、雑菌から身を守る力が弱っているため、他の性病に感染しやすくなっている点に注意が必要です。

石鹸などによる膣の洗いすぎや性交渉が原因となっていることが多く、生理中から生理後に発症しやすいと言われています。

治療には1週間ほどの膣錠の使用、場合によっては飲み薬や塗り薬を使用することもあります。

おりものから魚が腐ったような異臭がすると細菌性膣炎が疑われます。

カンジダ膣炎

カンジダ膣炎はカンジダ症や膣カンジダとも呼ばれており、カビの一種である真菌の感染により起こります。症状はおもに膣炎であり、強いかゆみや性交時に痛みを感じたりすることがあります。

カンジダは口や膣の中に常に存在する常在菌です。疲れて免疫力が低下したときや、ホルモンバランスが変化したとき、下着の締め付けで湿度が高いときなど、抵抗力が落ちたときにも症状が出ますので、必ずしも性行為が原因とは限りません。

治療期間は1週間ほどです。個人差はあるものの、かゆみは2日〜3日ほどで穏やかになることが多いでしょう。
治療には膣錠が処方されます。症状の箇所によってお薬が変わりますので、抗真菌薬の軟膏や内服薬が処方されることもあるでしょう。

おりものの状態については量が増える、クリーム状やポロポロと固形のようになることが挙げられます。形状についてはカッテージチーズによく例えられます。

子宮内膜炎

子宮内膜炎は、子宮の中にある内膜が炎症を起こす病気です。タンポンを長時間入れたままにすることで細菌に感染すると発症しますが、基本的に子宮内膜は生理のたびに剥がれるため炎症が起こることは多くありません。

子宮内膜炎には急性、慢性、老人性のものがあります。

急性子宮内膜炎では腹痛・腰痛・不正出血がありますが、慢性子宮内膜炎では生理不順や無月経など症状がないことから自覚されないこともあります。慢性子宮内膜炎は治療せずにいると不妊症につながることもあるため注意が必要です。

老人性子宮内膜炎は、老化によりホルモンバランスが崩れることで膣の自浄作用が弱くなり、細菌感染を起こす病気です。下腹部痛やけいれんなど子宮がんと共通する症状が現れるため、がんの可能性を見落とさないようにしましょう。

おりものは量が増えることがあり、老人性子宮内膜炎では膿に近いおりものが出ます。

子宮頸管炎

子宮頸管炎は、子宮頸管が大腸菌・ブドウ球菌・クラミジア・淋菌などの病原菌に感染することで炎症が起こる病気です。不正出血や下腹部の痛みが現れるでしょう。

自覚症状がない場合もあるのですが治療をしないでおくと不妊症につながることもあり、また子宮頸がんの原因であるHPV(ヒトパピローマウィルス)に感染しやすくなるといったリスクがあります。他にも子宮筋層炎や骨盤腹膜炎などの病気を引き起こすこともあるため、注意が必要です。

おりものは量が増えたり、悪化した場合は悪臭がしたり黄色くなったりします

子宮頸がん

子宮頸がんはHPV(ヒトパピローマウィルス)に感染することで起こるがんです。子宮の下の部分である管状の部分にできるがんのことを指します。以前は40歳代〜50歳代の方に多かったのですが、現在は20歳代〜30歳代の方に発症が多いことがわかっています。

症状は初期のうちは自覚症状がなく、不正出血・性交時の出血・下腹部の痛みなど症状が出る頃には進行しています。未然に防ぐためのワクチンや、早期に発見できれば子宮を温存したまま治療も可能なので、普段から定期検診をしておくことが大切です。

おりものの状態は、症状が進行するにつれて異常が現れます。水っぽい場合や粘液が多く出る場合があります。

子宮体がん

子宮体がんは、子宮の中でも上の方にある子宮体部に起こるがんです。月経時に分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)が子宮内膜に影響することで発生するため、子宮内膜がんとも呼ばれています。

年代としては高齢な方にみられるがんです。エストロゲンの値が高い方が子宮内膜増殖症という病気を発症したあとで、子宮体がんにつながることがあります。

また、遺伝子的にがんを発症しやすい方や高血圧の方、糖尿病の方、血縁者に乳がんや大腸がんを発症した方がいる方が子宮体がんを発症しやすいと考えられています。

症状は不正出血が多く、下腹部の痛みや性交痛、排尿時の痛み、進行した場合は腹部の膨満感がみられるでしょう。

おりものは不正出血により褐色になります。

おりものの臭いを抑えるためにやること

次はおりものの臭い対策について説明します。

ストレスを溜めない

ストレスにより免疫力が低下することで、おりものの臭いが強くなっている可能性があります。

免疫力が低下すると膣内で菌が繁殖しやすくなってしまうため、身体的にも精神的にもストレスケアをしておくことが大切です。

膣を洗い過ぎない

石鹸などで洗いすぎると自浄作用に必要な乳酸菌まで減ってしまい、結果的に雑菌が侵入しやすくなり、増えやすくなります。

洗うときは外側をお湯で流すくらいにして、石鹸を使う場合でも膣内は触らず外側だけを洗うようにしましょう。

ナプキンはこまめに交換する

生理中のナプキンはこまめに取り替えることができれば臭いを抑えることができます。つけっぱなしにしておくと蒸れて不衛生な状態が続いて雑菌が繁殖しやすくなり、感染症のリスクもあるため注意が必要です。

タンポンを使用される方も不衛生な状態で入れたままにしておくと雑菌が繁殖します。必ず交換しましょう。

生理中ではないときは、おりものシートを検討してみると良いかもしれません。1日に2回〜3回と取り替えることができれば、臭いを抑えることができるでしょう。

通気性の良い下着を選ぶ

普段から蒸れないように締め付けが強くない下着や服を選びましょう。通気性が良いと雑菌の繁殖を抑えることができます。

普段から神経質にならない程度に女性器周辺を清潔にしておくことも大切です。

まとめ

ここまで、おりものの臭いやどういう状態に気を付けるべきか、また、おりものに関連する病気や臭いの対策についてご紹介しました。

基本的におりものは無臭か、乳酸菌を含んでいることから少し酸味のある臭いをしています。色は透明か白色、衣類に着いて乾燥したときは黄色っぽいのですが、異常があるときは臭いや色、量などに変化があるためいつもと違うと感じるときは注意しましょう。

感染症などの病気にかかると、おりものからは悪臭や魚が腐ったような臭い、強い臭いがしますが、なかには臭いに変化がないこともあります。その場合は色が黄緑色や、血が混じって褐色や黒色、ピンク色に変わったり、おりものの量が増えたりすることがありますので、臭い以外に注意が必要です。

病気が原因でおりものに変化があるときは、子宮頸がんや子宮体がんのように進行してから症状が出る場合もありますので、日頃から定期検診やワクチンの接種なども検討しておきましょう。

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