アフターピル(緊急避妊薬)とは?どんな効果があるの?わかりやすく説明します

アフターピルとは緊急避妊薬のことです。避妊せずに行われた性交や、避妊したものの避妊手段が適切かつ十分でなかった性交のあとに、緊急避難的に用います。

この記事では、アフターピルで避妊できる仕組みや避妊成功率を紹介します。そのうえで、アフターピルの種類や使用方法、気になる副作用についてもお話させていただきます。

アフターピル(緊急避妊薬)の効果とは

アフターピルとは性交後に用いる緊急避妊薬のことで、「モーニングアフターピル」「後のみピル」とも呼ばれます。

性交渉中にコンドームが破れてしまった、避妊の同意が得られず中出しされてしまったなど、妊娠を望んでいないのに避妊の失敗をしてしまったときに処方されます。また性的被害を受けてしまった場合にも、アフターピルは有効です。

このアフターピルの服用によって、排卵前であれば排卵を遅らせることで受精そのものを阻害し、排卵後であれば受精卵が子宮に着床するのを阻害し、妊娠を防ぐ効果があります。

避妊率は100%ではありませんが、性交後24時間以内にアフターピルを服用すれば、約99%の確率で避妊できると言われています。

参照元:厚生労働省「緊急避妊薬を巡って議論が紛糾

アフターピルで避妊できる仕組み

アフターピルは性行為の後・排卵の前後を問わず服用できますが、排卵前後で作用が異なります。

排卵前にアフターピルを服用した場合、卵胞を育てるホルモンが分泌されるLHサージという現象の抑制された結果、排卵が抑制されます。

排卵後に服用する場合は、主成分である黄体ホルモン(レボノルゲストレル)の影響により、子宮内膜の増殖を促進するホルモン分泌が抑制されます。それにより、すでに排卵されているとしても、受精卵の着床が成立せず、妊娠を防ぐことができます。

参照元:日本産科婦人科学会「緊急避妊法の適正使用に関する指針(平成28年度改訂版)

アフターピルはいつまでに飲めばいい?

性交渉で避妊失敗からアフターピル服用まで、早ければ早いほど高い避妊率を期待できます。

そのため、避妊を失敗したらなるべく早いタイミングで服用しましょう。

アフターピルによって、避妊効果のある時間は異なります。

そこで時間ごとの「ノルレボ」と「エラワン」を用いた場合の妊娠率のデータを比較しました。

避妊失敗から服用するまでの時間ノルレボの妊娠率エラワンの妊娠率
直後~24時間0.4%1.6%
25~48時間1.2%2.1%
49~72時間2.7%2.3%
72~96時間1.8%
97~120時間1.1%

ノルレボを服用する場合、時間が経てばたつほど妊娠率が上がります。上記データに基づくと、エラワンは避妊失敗後120時間以内であれば効果が落ちないとされていますが、やはり早めの服用がよいでしょう。

いずれにしても、避妊失敗の恐れがある場合は速やかに受診し、アフターピルを服用することが大切です。

参照元:独立行政法人医薬品医療機器総合機構「ノルレボ錠 0.75mg(レボノルゲストレル)

アフターピルの種類

アフターピルには大きく分けて、「ノルレボ・アイピル」「エラワン」「ヤッぺ法」の3種類があります。それぞれの特徴が異なりますので、詳しく見ていきましょう。

ノルレボ・アイピル

ノルレボは72時間以内に内服することで、高い避妊率を期待できます。

ノルレボはレボノルゲストを主成分とするアフターピルで、国際的にも標準的な緊急避妊薬として、高い安全性を誇っています。日本でも初の緊急避妊薬として認可されているため、主流のアフターピルといえるでしょう。海外製及び日本製ジェネリック(後発医薬品)が存在しアイピルはインド製ジェネリックです。

しかしBMI値の高い肥満女性に対しては、効果が減るという側面もあります。

ノルレボのよくある副作用として、消退出血や不正出血、頭痛、倦怠感などが報告されていますので、症状が出た場合は医師に相談しましょう。

参照元:日本産科婦人科学会「緊急避妊法の適正使用に関する指針(平成28年度改訂版)

FSRH Clinical Guideline: Overweight, Obesity and Contraception (April 2019)
退役軍人省「薬局給付管理サービス

エラワン

エラワンの特徴は、避妊失敗後120時間(5日間)のうちに服用すれば高い避妊率を期待できるという点です。

またBMI値の高い肥満女性に対して、ノルレボよりも効果の減弱が少ないと期待されている薬です。

エラワンの有効成分は、子宮筋腫や月経過多の治療に使われるウリプリスタール酢酸エステルで、ノルレボと同じく排卵抑制と着床阻止の効果があります。

副作用はノルレボよりは少ないものの、吐き気、頭痛、倦怠感、腹痛、生理が遅れることなどがあります。重度の肝障害がある人、妊娠中や妊娠可能性のある人はエラワンを服用できません。

参照元:American Family Physician

ヤッぺ法

ヤッペ法とは、中用量ピルを用いた避妊法です。

具体的な服用方法は、妊娠リスクのある性交後72時間以内に2錠、12時間後さらに2錠服用するというものです。1970年代に発表され、日本でも緊急避妊薬が承認されるまで最も一般的に行われてきた緊急避妊法です。

ヤッペ法の最大の特徴はアフターピルと比べて妊娠阻止率が低いことで、WHOによると24時間以内では77%、25~48時間以内では36%、49~72時間以内では31%まで下がります。

副作用として吐き気(嘔気)の報告例が高く、そのほかに腹痛・下痢・だるさ・頭痛が起こる恐れがあります。吐き気が強い場合、嘔吐して薬の効果が十分に得られないケースもありますので、ヤッペ法を用いるときは医師にしっかりと相談しましょう。

当クリニックでは、避妊率が低く副作用が多いため、ヤッぺ法での中容量ピルは基本的に処方しておりません。

参照元:日本産科婦人科学会「緊急避妊法の適正使用に関する指針(平成28年度改訂版)

おすすめのアフターピルはエラワン

アフターピルの中でおすすめは、エラワンです。

エラワンの特徴について、改めて見てみましょう。

  • 避妊失敗後120時間(5日)以内
  • ノルレボよりも避妊率が高い
  • オンライン診察でも処方が可能
  • 副作用が少ない
  • BMIの高い方での効果減弱が少ない
 ノルレボエラワン
行為後、服用までの時間72時間以内120時間以内
72時間以内の避妊率97%98%
120時間以内の避妊率×98%
金額(自費)20,000円13,000円
オンラインでの処方×
返金保証

忙しくて来院できない方や、クリニックが遠方の方には、オンライン診療で処方できるエラワンがおすすめです。

アフターピルの注意点

妊娠リスクのある性交渉や、性的被害にあってしまった場合に有効なアフターピルですが、デメリットもしっかりと把握しておきましょう。

アフターピルは失敗することもある

アフターピルは避妊率が100%ではありません。

また服用方法によって避妊に失敗することがあります。

  • 正しく服用しなかった(服用のタイミングが遅かった)
  • 正しく服用したが、アフターピルが十分吸収されなかった
  • 服用後に避妊をせずに性交をした
  • 個人輸入のニセ薬だった
  • 体重が75キロあるいはBMIが25以上の場合、アフターピルの効果が弱まる
  • アフターピルの効果を下げるサプリや健康食品を使用した

このようにさまざまな理由から避妊失敗する恐れがあるため、服用方法は医師にしっかりと確認しましょう。いつまでも生理が来ない場合は、妊娠している可能性があります。

アフターピルの避妊率に関してはこちらの記事にてまとめています。

アフターピルには副作用がある

アフターピルには副作用もあります。

主な副作用としては、悪心、めまい、倦怠感、下腹部痛、頭痛、嘔吐、消退出血、不正出血などです。

アフターピルの副作用で、せっかく飲んだピルを吐いてしまうことが心配な方は、診察の際、医師に相談することをおすすめします。

参照元:厚生労働省「参考資料9 ガイドライン2017緊急避妊

アフターピルの副作用に関しては、こちらをご確認ください。

アフターピルでは性感染症の予防・治療はできない

アフターピルで、淋菌感染症などの性感染症は予防・治療できません。

アフターピルはあくまでも避妊目的の薬なため、性感染症予防にはコンドームの使用が不可欠です。

おりものが多くなったり、外陰部にかゆみや腫れなどの症状が出たりする場合は性感染症の可能性がありますので、すぐ医師に相談してください。

アフターピルのもらい方

アフターピルをもらうには二つの方法があります。直接産婦人科に来院するか、オンライン診療による処方です。

来院時のアフターピルのもらい方

オンライン診療のアフターピルのもらい方

アフターピルは通販で販売している業者もありますが、価格が安くても危険なのでおすすめしません。通販サイトでは海外のニセ薬や成分量が異なるものが多く出回っており、重大な健康被害の危険性があります。

また、アフターピルの場合は高い避妊効果を得るためには、72時間ないしは120時間という時間制限がありますので、万が一届くのが遅れてしまっては意味がありません。加えて、薬であるアフターピルを医師の診察を受けず、自己判断で購入することにも危険が伴うため、通販サイトでの購入はおすすめできません。

当クリニックでは、オンライン診療でエラワン処方に対応しています。

どこで購入できるのか、買い方がわからないときなども合わせ、アフターピルが必要時はご相談ください。また、アフターピルは自由診療となりますので、保険証は不要です。

補足情報:政府が2020年10月8日に薬局での市販を検討する旨発表したため、将来は薬局等での購入できる可能性があります。

アフターピルはなるべく早く服用すると成功率があがる

アフターピルは避妊に失敗したり、性的被害を受けたときに有効なお薬です。

なるべく早く服用することで避妊の成功率があがるため、早めにクリニックに相談しましょう。

エラワンであれば5日間(120時間)の猶予がありますが、3日間(72時間)のタイプもあるため、飲むタイミングによっては避妊が間に合わない恐れがあります。

体への負担を考えると、避妊するにあたってもっとも体への負担が低く、成功率が高いのは低用量ピルです。次にアフターピルになります。中絶手術は心身共に大きな負担がかかり、料金もかさみます。

アフターピルをネット通販で購入することは、偽薬の可能性があり避妊に失敗することが多いため、残念ながらおすすめできません。

忙しくてクリニックに足を運べなかったり、周りの目が気になる方は、オンライン診療でアフターピルの処方をおすすめします。

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