「子宮頸がんに検診に引っかかったけれど、がんになったのかな?」
「検査結果の詳しい見方を知りたい」
子宮頸がん検診の結果が「要精密検査」となると、多くの女性が不安を感じるのではないでしょうか。
結論として、検診で引っかかっても100%がんを発症しているわけではありません。検査結果ではどこに、どのような異常があるのかわかります。
子宮頸がんの早期発見と治療をおこなうためにも、精密検査を受けることがおすすめです。
本記事では、子宮頸がんの検査結果と精密検査について詳しく解説します。あわせて子宮頸がんになる原因もまとめているため、検診で引っかかった方は参考にしてください。
子宮頸がん検診に引っかかってもがんとは限らない
子宮頸がん検診の結果が「要精密検査」となっても、必ずしもがんを発症しているわけではありません。
「国立がん研究センターの全国がん検診実施状況データブック<2022>」によると、令和元年度の子宮頸がん検診の実施状況は下記のとおりです。
子宮頸がんの検診実施状況(令和元年度)
受診者数 | 3,940,130人 |
要精検率 | 2.2% |
精検受診率 | 74.8% |
がん発見率 | 0.02% |
陽性反応的中率 | 1.09% |
参照元:国立研究開発法人国立がん研究センター|全国がん検診実施状況データブック<2022>
上の表から、検診を受けた人の約2.2%が要精密検査と判定されています。そのなかで、実際にがんが見つかったのは約1.09%です。およそ100人に1人の割合で発症していることから検診で引っかかったとしても、がんが見つかる確率は非常に低いことがわかります。
ただし子宮頸がんは進行すると治療が難しくなっていくため、要精密検査だった場合は必ず一度婦人科を受診してください。
子宮頸がんを発症する原因
子宮頸がんを発症する主な原因は性行為によって感染するHPV(ヒトパピローマウイルス)です。
一般的なウイルスのため、性行為の経験がある女性なら誰でも感染する可能性があります。
ただし、HPVの多くは一過性で感染しても自己免疫力で治る場合がほとんどです。仮にHPVの陽性判定が出たとしても、検査で異常が見られなければ心配する必要はないでしょう。
HPVが子宮頸がんへと進行するのは持続感染によるものです。5〜10年ほど感染が続くとがんになる手前の状態まで進み、段階を経て子宮頸がんを発症します。
子宮頸がんは多くの場合で自覚症状がありません。症状が現れたときにはすでに進行している可能性が高いため、定期的な検診が重要です。
子宮頸がん検診の検査結果の意味
表記 | 意味 | 精密検査の要否 |
NILM | 異常なし | 不要 |
ASC-US | 正常〜軽度異形成の疑い | 場合によっては必要 |
LSIL | HPV感染、軽度異形成 | 必要 |
HSIL | 中等度異形成、高度異形成、上皮内がん | 必要 |
SCC | 扁平上皮がん、子宮頸がんの疑い | 必要 |
ASC-H | 異形成以上の病変はあるが、程度を判別できない状態 | 必要 |
AGC | 腺系の細胞に異常がある | 必要 |
AIS | 子宮頸部腺がんの初期 | 必要 |
adenocarcinoma | 子宮頸部腺がん | 必要 |
Other malignant neoplasm | その他の悪性腫瘍の疑い | 必要 |
子宮頸がん検診の結果は、下記のように分類されます
NILM以外なら要精密検査の判定となります。
しかし表からわかるように、がんの前段階である異形成の可能性もあるため、必ずしも子宮頸がんを発症しているとは限りません。軽度や中度の場合は経過観察をおこないながら、自然治癒する場合もあります。
異形成も自覚症状を示さないことが多く、子宮頸がん検診によって見つかるケースがほとんどです。早期発見のためにも定期検診を受ける必要があります。
子宮頸がんの精密検査について
子宮頸がんの精密検査は主にコルポスコープ検査でおこないます。コルポスコープ検査は拡大鏡を使用して子宮頸部を観察し、必要に応じて組織を採取する方法です。
精密検査の結果は下記のように分類されます。
- 異常なし
- CIN1~3(子宮頸部上皮内腫瘍)
- 子宮頸がん
CINとは「Cervical Intraepithelial Neoplasia」の略で、がんになる前の状態のことです。1~3の段階に分かれ、数字が大きいほど異常の程度が高くなります。
検査結果 | 状態 |
CIN1(軽度異形成) | ・HPV感染による軽度の細胞変化。 ・多くの場合で自然に回復する。 |
CIN2(中等度異形成) | ・より進行した細胞変化。 ・治療が必要な場合がある。 |
CIN3(上皮内がん) | ・がん化直前の状態で治療が必要。 |
コルポスコープ検査時の痛みはほとんどありません。ただし、違和感があったり軽い痛みをともなったりと、感じ方には個人差があります。組織を採取するときには少量の出血が見られることがあり、検査後1週間は色のついたおりものが現れるでしょう。
自覚症状のない子宮頸がんは精密検査をして初めてがんなのか、がんになる前の状態かがわかります。
まとめ
子宮頸がん検診で引っかかったとしても、実際にがんである可能性は低めです。しかし、早期発見と早期治療が重要なため、精密検査は必ず受けましょう。
子宮頸がんが引き起こる原因はHPV(ヒトパピローマウイルス)と呼ばれる一般的なウイルスです。性行為の経験がある女性なら誰にでも発症する可能性があるため、珍しい病気ではありません。
しかし自覚症状が現れないことから、精密検査を通してがんなのか、それともがんになる前の状態なのかがわかります。 子宮頸がんの進行と発症を防止するためにも、積極的に検診を受けることが重要です。