「流産後してから生理が来ない」「流産後は待っていたら自然に生理がはじまるのか?」など、流産後は体調が変化しやすく不安を抱えている方もいるでしょう。
本記事はそんな流産後の生理不順に悩む方へ「流産後に生理不順になる原因」「生理を正常に戻すためにできること」などを解説します。
この記事を読めば、流産後の不安を解消するきっかけとなりますのでぜひ最後までご覧ください。
【この記事でわかること】
- 流産後に生理不順になるのはよくあること
- 流産後に生理不順になる原因
- 流産後の生理を正常にするためにできること
流産後に生理不順になるのはよくあること
流産とは、「妊娠後の早い時期に胎児がなくなってしまうこと」を指します。定義としては妊娠22週以内に妊娠が終わることをすべて「流産」といいます。
流産には原因や症状によっていくつかの種類に分かれています。
稽留流産 | 体内で赤ちゃんがなくなっている状態です。出血・腹痛などの自覚症状がないため、医療機関の診察で初めて確認されます。 |
進行流産 | 出血がはじまり子宮内容物が外に出てきている状態です。いわゆる「流産」を指します |
人工流産 | いわゆる「人工妊娠中絶」のことです。母体保護の目的とした手術です。 |
自然流産 | 「人工流産」以外でおこる全ての流産を指します。 |
感染流産 | 細菌などによる感染を伴った流産です。母体死亡のリスクが上昇します。 |
反復流産 | 流産の繰り返しが2回の場合を「反復流産」とよびます。 |
習慣流産 | 流産を3回以上繰り返した場合を特に「習慣流産」とよびます。 |
なかでも稽留流産の割合は増えており、全妊娠の15%〜20%に起こるともいわれています。
このような流産後はホルモンバランスの変化やストレスなどにより生理不順になるケースがみられます。
通常生理が始まるのはいつ頃?
では、流産後の生理再開はいつからはじまるのでしょうか。
一般的に生理再開は1〜2ヶ月といわれています。なお、体調の回復には個人差が大きく、妊娠期間によっても左右されます。
妊娠期間が短い場合は体調の回復も早く、予定日間際での流産となると体調回復にも時間がかかるでしょう。また、妊娠前から生理が順調な人と生理不順が起きやすかった人でも差が出ます。
そのため目安ははっきりといえませんが、遅くとも2ヶ月を超えて生理がこない場合は専門の医療機関に相談しましょう。
流産後に生理不順になる原因
ここからは流産後に生理不順になる原因をみていきます。主に考えられる原因は下記の3つです。
【流産後に生理不順になる原因】
- ホルモンバランスの乱れ
- 新たに妊娠している可能性
- 要注意!病気の可能性
流産にともなう体の変化や病気の可能性などもあげられますので、それぞれ詳しくみていきましょう。
ホルモンバランスの乱れ
流産後は妊娠を維持していたエストロゲン、プロゲステロンといった女性ホルモンが低下して、脳下垂体ホルモンが上昇します。また、手術によるストレスもホルモンバランスが乱れる原因となります。
こういった要因によるホルモンバランスの変化は子宮に影響して生理の遅れにつながるのです。
流産後は膨らんだ子宮も女性ホルモンの低下にともない収縮して元の状態に戻ろうとします。これによりホルモンバランスも整い生理不順をはじめとした体調も徐々に回復します。
新たに妊娠している可能性
流産後は子宮の状態により個人差はありますが、早い場合で1〜2週間から性交渉は可能です。前述した通り一般的に生理は1〜2ヶ月ではじまるといわれており、排卵自体はそれより早いタイミングで起こります。
妊娠自体もそのタイミングで可能であり、生理が来ない場合は妊娠しているケースも考えられるでしょう。
なお、産後は「hCGホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」とよばれる妊娠を維持するためのホルモンが残存するため妊娠していなくても「尿妊娠検査」が陽性になる場合があります。
「つわり症状」も残るケースもあるため、本当に妊娠しているかは医療機関を受診して確認しましょう。
要注意!病気の可能性
流産後に生理がこない原因として病気の可能性もあります。そのひとつが「絨毛腫瘍」です。
絨毛腫瘍は、妊娠したときに胎盤をつくる「絨毛細胞」から発生する腫瘍で、肺や肝臓に転移しやすいことでも知られています。
受精卵の異常で起こる「胞状奇胎(異常な受精卵や胎盤が増殖したもの)」から進行するとケースがあり、発症により月経の異常、不正出血、下腹部痛などを引き起こされます。
治療としては抗がん剤による薬物療法や、子宮の摘出のための手術療法、放射線治療などです。
流産後の生理を正常にするためにできること
流産は妊娠週数が短いと体調回復も早いですが、予定日に近いほど体調の回復には時間がかかります。
予定日間際になると通常の出産と同じようにもとの状態に戻るには数ヶ月かかるケースもあり、生理を正常にするためにも配慮が必要です。
【流産後の生理を正常に戻すためにできること】
- 生活習慣を整える
- 流産のストレスを溜めずにリラックスする
- 基礎体温をつけるようにする
- 医師を受診する
それぞれ詳しくみていきましょう。
生活習慣を整える
流産後の体調を整えるためには「生活習慣」が重要です。
- 睡眠や休息をしっかりとる
- 栄養が取れて食べやすいもの食べる
- 普段からからだを温める
睡眠には「自律神経を整える」「疲労回復」「免疫力を向上させる」など重要な役割があります。
とくに流産や、人工中絶による手術後は著しく体力を消耗しています。夜間帯は必ずまとまった睡眠時間を確保しましょう。眠れない場合は体力回復のために横になっているだけでも構いません。
食事は栄養価の高いものを意識して、胃や腸に負担のかかりやすい脂質の多いものや、香辛料の強い料理はさけましょう。
また、「冷え」は流産後のからだに大きな負担となります。とくに冬場はストールやレッグウォーマーなどの服装をはじめ、カイロなど使い体を冷やさないように注意しましょう。
流産のストレスを溜めずにリラックスする
ストレスはホルモンバランスを乱して生理不順の原因となります。とくに流産後は「悲しさ」「喪失感」「自分を責める気持ち」などを感じやすくストレスをためやすい精神状態になってしまいます。
生理不順を防ぐためにも、ストレスをためないようなリラックスした状態で過ごせるような工夫は必要です。「周囲に気持ちを伝える」「思いっきり泣く」「ボーとしてみる」など、気持ちを整理してリラックスできる時間を確保しましょう。
また、「グリーフケア」とよばれる心理相談を行っている自治体もあります。周囲へ気持ちを打ち明ける機会がない方はぜひ利用してみてください。
基礎体温をつけるようにする
基礎体温表をつけるのもよいでしょう。女性の体は女性ホルモンによって「高温期」「低温期」があり、基礎体温表をつけることで自分の体の状態が分かります。
流産前後で基礎体温に変化がない場合は大きな体の変化がないという安心材料になるでしょう。
なお、基礎体温が高い場合や、低い場合には注意が必要です。流産時の出血による貧血や婦人系の不調などが考えられます。不調があれば必ず専門の医療機関を受診しましょう。
医師を受診する
前述した通り生理が長期的にはじまらなければ医療機関を受診するのも良いでしょう。
流産後の生理再開は1〜2ヶ月が目安といわれていますが、流産後の不安定な精神状態で、「生理がこない」という不安な気持ちを抱えているとさらなるストレスにつながります。
生理不順の原因を自己判断するのは難しく、病気による可能性などを考慮すると早めに医療機関を受診した方がよいでしょう。
まとめ
本記事では流産後の生理不順について下記を解説しました。
● 流産後に生理不順になるのはよくあること
● 流産後に生理不順になる原因
● 流産後の生理を正常にするためにできること
流産や人工中絶の手術後の生理不順はよくみられる症状です。原因としてはホルモンバランスの乱れや、新たな妊娠なども考えられます。
生理の再開には個人差があり、正常な生理周期を再開するためには生活習慣の見直しや、ストレスをためない生活が必要です。病気の可能性もあるため不安なら早めに専門の医療機関を受診しましょう。