トリコモナスは、国際的に患者数が多い性病として知られています。
しかし国内では淋病や梅毒などと比較してあまり認知度が高くなく、トリコモナスについてよく知らない方も多いのではないでしょうか。
トリコモナスに感染したまま放置すると、重症化したりパートナーにうつしてしまったりとさまざまなリスクがあります。
この記事では、トリコモナスの概要や症状、感染者数、検査方法、そして治療方法などについて解説します。
トリコモナスとは?
トリコモナス症は、性行為によって感染する性病の一種です。
「トリコモナス原虫」と呼ばれる肉眼では確認できないほど小さい微生物が以下の部位に寄生し、さまざまな症状を引き起こします。
【主な寄生部位】
男性:尿道・前立腺・精のう
女性:膣内・尿道・膀胱・子宮頚管
感染力が強く国際的に感染者数も非常に多い性病であり、中高年層を中心として幅広い世代で感染者がいます。
性病の予防を心がけている方にも感染する恐れがあるため、十分に注意して予備知識を持っておくことが大切です。
トリコモナスの症状
トリコモナスの症状は、女性と男性で異なります。ここでは、主な症状を男女に分けて解説します。
男性の場合
トリコモナスに感染した男性の症状としては、以下が挙げられます。
【主な症状】
- 尿道のかゆみや痛み、違和感
- 排尿時の軽い痛み
- 尿道からの分泌物(膿)
男性の場合、軽症や無症状であることが多く、感染発覚が遅れることが多々あります。
ただし前立腺や精のうに寄生したまま放置していると、尿道炎や前立腺炎につながる恐れもあるため要注意です。
また、放置したままパートナーと性行為に及ぶことで、感染させてしまうことも考えられます。
症状が軽くても決して軽視せず、違和感や感染の恐れがある場合はできるだけ早期に検査を受けるようにしましょう。
女性の場合
トリコモナスに感染した女性の症状としては、以下が挙げられます。
【主な症状】
- おりものから強い悪臭
- 黄緑色のおりもの
- 泡状のおりもの
- おりものの増加
- 外陰部や膣のかゆみ・痛み
- 排尿時の痛み
女性の場合、男性よりも症状が強く出ることが一般的です。
放置したままだと、さらに卵管炎や子宮内膜炎、不妊症や流産につながる恐れもあります。
パートナーを感染させてしまう恐れもあるため、やはり早期に検査・治療を受けることが重要です。
トリコモナスの感染者数
トリコモナスの感染者数は、WHOが2023年7月に公表した概況報告書で確認できます。
同報告書によると、2020年時点でのトリコモナス感染者数は、世界で1億5,600万人です。
同報告書では、以下の通り他の主な性病感染者数も報告しています。
【主な性病感の国際的な染者数】
- トリコモナス症:1億5,600万人
- クラミジア:1億2,900万人
- 淋病:8,200万人
- 梅毒:710万人
出典:WHO近況報告書「Sexually transmitted infections (STIs)」
上記のとおり、トリコモナス症は他の性病と比較しても非常に感染者数が多いといえます。
日本国内では発生動向調査が多なわれる五類感染症に指定されていないため、感染者数を公的に確認することはできません。
しかし国際的な感染者数を確認すると、クラミジアや梅毒などと同様にトリコモナスにも多くの国内感染者がいると考えられます。
トリコモナス症の原因と感染経路
トリコモナス症の原因は菌でもウイルスでもなく、「トリコモナス原虫」と呼ばれる寄生虫です。
この原虫はサイズが0.1mm程度と非常に小さく、肉眼で確認することはできません。
トリコモナス原虫が体内に入り込むきっかけは、主に性行為です。
感染確率は低いですが口腔内に感染することもあるため、ここでの性行為にはオーラルセックスも含みます。
また、トリコモナスの原虫は水中でも数時間生きられることから、感染者が使用したタオルや下着、浴槽などを介して感染することがあります。そのため、性交経験のない方や閉経後の方、さらには子どもにも感染する可能性があります。
トリコモナスが膣を住みかにする理由
トリコモナス原虫が膣を住みかにするのは、膣の中に「グリコーゲン」と呼ばれる糖が存在するためです。
トリコモナス原虫は、グリコーゲンを栄養源としているのです。
膣内には、「デーデルライン桿菌」と呼ばれる乳酸菌が常在菌として存在し、グリコーゲンを使って乳酸を作っています。
乳酸は膣内を酸性に保ち、健康的な状態を維持するために必要です。
しかし、トリコモナス原虫が膣内に住み着くとグリコーゲンが消費されてしまい、乳酸を上手く作り出せなくなります。
その結果として膣内を酸性に保てなくなり、大腸菌や嫌気性菌などの悪い菌が侵入・繁殖してしまうのです。
検査方法と費用
ここでは、トリコモナスの主な検査方法とかかる費用について解説します。
主な検査方法は、以下の3種類です。
【主な検査方法】
- 顕微鏡による目視検査
- トリコモナス専用培地での培養検査
- トリコモナスDNA検査
顕微鏡による目視検査
顕微鏡を使用して、原虫の有無を目視によってチェックする方法です。
【基本的な実施方法】
- 男性:尿道からの分泌液を採取し、顕微鏡で確認
- 女性:おりものを採取し、顕微鏡で確認
顕微鏡で目視して検査が終了するため、即時に検査結果が分かることが最大の利点だといえます。
もし感染していることが分かれば、治療をスムーズに開始可能です。
ただし、目視であることから原虫を見逃すことは十分に考えられ、特に原虫の数が少ない場合や男性の場合は確実性が低くなってしまいます。
保険適用の場合、2,500〜3,000円程度で実施可能です。
トリコモナス専用培地での培養検査
培養検査とは採取したものを専用の培地にて培養してチェックする方法です。
【基本的な実施方法】
- 男性:採取した尿を培養して確認
- 女性:採取したおりものを培養して確認
培養検査の場合、検査を受けてから結果が分かるまでに3日~1週間程度かかります。
顕微鏡での目視より時間はかかりますが、確実性が高く、男性でも検査が可能な点がメリットです。
おおむね3,000〜5,000円程度で実施していることが多いです。
トリコモナスDNA検査
採取液の遺伝子を検査し、感染有無をチェックする方法です。
【基本的な実施方法】
- 男性:初尿を少量採取して検査する
- 女性:おりものを採取して検査する
DNA検査であれば、検査から2〜4日程度で結果を確認できます。
男性であっても検査ができ、結果の確実性も高い点が魅力です。
確実性が高く、比較的期間も短いことから、おすすめできる検査方法といえます。
おおむね3,000〜10,000円程度で実施していることが多いです。
トリコモナスの治療法
トリコモナスの治療方法としては、服薬や膣錠(膣に直接挿入する薬)の利用が一般的です。
「メトロニダゾール(フラジール)」や「トリニダゾール(ハイシジン)」などの内服薬を、10日程度服用します。
そして膣錠は、服薬を避けるべきである妊婦に対して使用することが通常です。
トリコモナスの治療薬を服薬中は、飲酒を避けなくてはいけません。
服薬中にアルコールを摂取すると、頭痛や腹痛、動機、吐き気などの症状が出てしまう恐れがあるためです。
パートナーがいる場合は、「ピンポン感染」への注意も求められます。ピンポン感染とは、お互いに感染症をうつし合ってしまう現象のことです。自分だけ治療を受けて治癒したとしても、パートナーが感染したままであれば、また感染してしまうでしょう。トリコモナスに限らず、性感染症の治療は、パートナーと同時に行うことが大切です。
まとめ
トリコモナスとは、肉眼では確認できないサイズの原虫が性器に入り込むことで引き起こされる感染症のことです。
男性と女性で症状が異なりますが、放置すると重症化する点では共通しており、早期の治療が求められます。
また、パートナーがいる場合は片方が原虫に寄生されているとお互いにうつし合ってしまう可能性があるため、一緒に・同時に治療を受けましょう。
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