梅毒とは、細菌(梅毒トレポネーマ)によって感染する性病の一種です。病名は聞いたことがあっても、具体的な感染経路や症状について知らない方も多いのではないでしょうか。そこで、こちらでは梅毒の原因や症状、検査・治療方法、予防法を紹介します。梅毒について知りたい方に役立つ情報を解説しますので、ぜひ参考にしてください。
梅毒とは
梅毒とは、梅毒トレポネーマと呼ばれる細菌が粘膜に付着することによって感染する病気です。昔から発症数の多い性病として知られ、かつては不治の病といわれていましたが、現在は治療薬によって完治できます。
日本国内において、梅毒は2011年頃から増加傾向にあり、2022年には報告数が1万例を超えました。特に、女性は20代、男性は20代~50代の感染者が増えています。全国的な流行傾向があるからこそ、日頃からしっかりとした対策を行うことが大切です。
出典:厚生労働省「梅毒」
梅毒の感染経路
梅毒の原因となる細菌は、血液や膣分泌液、精液に含まれており、性行為によって皮膚や粘膜に付着することで感染するのが一般的です。この場合の性行為とは、性器を接触させるだけでなく、肛門や口などを使った全ての性行為が当てはまります。
また、傷口から細菌が侵入することもあるため、キスも感染経路になりえるでしょう。ごく稀ではあるものの、同じ食器を使ったり、輸血をしたりした際に感染することもあります。他には、梅毒に感染した母親から子供に母子感染するケースもあり、感染経路はさまざまです。
梅毒の症状
梅毒の症状は、第1期から第4期に分けられます。発症から時間が経つごとに全身へと症状が広がっていくため、早めの対処が必要です。
また、短期間だけ症状が治ったように感じる時期もありますが、その後さらに症状が悪化する可能性もあります。ここでは各時期の症状を詳しく紹介しますので、梅毒への理解を深めるために役立ててください。
第1期
3〜6週間ほどの潜伏期間を経て、第1期の症状が現れます。肛門や性器、口に3mm〜3cmほどのできものが現れたら第1期に入ったサインです。また、太ももの付け根にリンパ節腫瘍が出ることもあります。なお、できものに痛みを伴うことはほとんどありません。
できものは1ヶ月ほどでなくなるため、一時的な症状だと勘違いすることもあるでしょう。しかし、あくまでも第1期の症状が終わっただけで、これから第2期へと入っていきます。
第2期
感染から3ヶ月ほど経つと第2期に入り、細菌が血液を介して全身へと広がっていきます。体や足の裏、手のひらに赤い発疹が現れるのが主な症状です。他には、皮膚粘膜に粘膜疹をはじめとした症状が現れることや、倦怠感や発熱といった全身の症状を感じるケースも報告されています。
発疹は半年ほどで消え、他の症状も徐々に軽減されていくため、第1期と同様に快方に向かったと勘違いされる人も少なくありません。しかし、症状がなくなっても梅毒は消えたわけではなく、感染力もあるため注意が必要です。
第3期
感染から3年以降の第3期では、体内でゆっくりと炎症が進行していきます。数年ほど症状が出ないケースもありますが、知らないうちに炎症は進んでいき、時間の経過とともに皮膚や筋肉、粘膜、骨などにゴム状の腫瘍が発生するでしょう。
ゴム状の腫瘍は非特異的な肉芽種性病変と考えられており、周囲の組織を破壊していきます。ただし、現代では第3期に至る前に治療が行われる場合がほとんどです。放置せずきちんと治療することで、腫瘍の出現は防げます。
第4期
感染から10年以上経過すると第4期に突入し、脳や心臓をはじめとした臓器にも異変が現れます。第4期では、大動脈瘤や大動脈炎、心不全、脳梗塞などを発症し、死に至るケースも珍しくありません。適切な治療を行い、第3期、第4期までに至らないようにすることが大切です。
なお、細菌が中枢神経系に侵入する神経梅毒は、どの病期でも発生する可能性があります。早期なら無症状の場合がありますが、脳梗塞や髄膜炎を発症することもあるでしょう。後期の神経梅毒は、進行麻痺や脊髄癆の原因になります。
検査方法
梅毒の恐れがある場合は、早めに検査を受けることが重要です。梅毒の検査方法にはTP法とRPR法があり、この2種類を組み合わせて診断を行います。そこで、こちらでは2つの検査方法について詳しく解説します。
TP法
TP法とは、梅毒トレポネーマに対する特異的抗体を測る検査方法です。梅毒は、感染から一定期間を経ないと検査をしても陽性とならない時期があり、これをウインドピリオドと呼びます。TP法は、感染が疑われる機会から4週間以上経過した時に用いられるのが一般的です。
検査は、血液検査によって行われます。ただし、過去に一度でも梅毒に感染したことがある人にTP法を用いると、現時点で感染していなくても陽性になってしまうため、感染歴のある人には向いてません。また、体質によっても偽陽性が出るケースもあるため、RPR法も組み合わせて総合的に判断する必要があります。
RPR法
RPR法は、梅毒に感染によって生成される抗脂質抗体を測定する検査方法です。TP法と同様に、感染が疑われる機会から4週間以上経過した後に検査が行われます。検査方法は、採血による血液検査が基本です。
なお、RPR法に関しては、陽性・陰性の結果だけでなくRPR数値も重要視されます。RPR数値は治療によって変動しますので、治療効果を確認するために役立てられます。ただし、水痘をはじめとした他の疾患がある場合や高齢者、妊娠中の人は、本来は陰性であっても陽性になる可能性があるため、TP法と併用して最終的な判断をする必要があるでしょう。
治療方法
検査の結果、梅毒であることがわかったら、ペニシリン系の抗菌薬を用いて治療を行うことになります。日本では抗菌薬を服用する治療が一般的でしたが、2021年〜2022年にかけて注射薬が承認されました。
そのため、治療は飲み薬か注射の2択から選べます。注射は1回のみですが、飲み薬は1日3回の服用を2週間ほど続けます。治癒するまでの期間は、飲み薬と注射で大きな違いはありません。
なお、飲み薬の内服期間は医師の判断によって変わります。もし症状が改善されても、医師の指示がない限りは服用をやめないでください。また、医師が安全だと認めるまでは性行為などの感染拡大につながる行為は避けましょう。
梅毒を予防するには
梅毒を完全に予防することはできませんが、感染リスクを最小限に抑えるための対策は必要です。最後に、梅毒の予防対策について紹介します。
必ずコンドームを使う
梅毒の原因となる細菌は、膣分泌液や精液に含まれているため、性行為をする際には必ずコンドームを使いましょう。コンドームで性器を覆うことで、細菌との接触を避けられます。
ただし、コンドームを使ったからといって100%感染を防げるわけではありません。コンドームで覆われていない部分から感染する可能性もあります。しかし、未装着の時と比べたら感染リスクは減らせますので、コンドームの準備は欠かさないようにしてください。
オーラルセックス・アナルセックスに気を付ける
梅毒は、性器同士の接触だけでなく、口を使ったオーラルセックスや肛門のアナルセックスでも感染する可能性があるため注意が必要です。オーラルセックスの場合は口内や喉、アナルセックスの場合は肛門や腸に細菌が付着し、発症します。
そのため、オーラルセックスやアナルセックスをする際にも必ずコンドームをつけるようにしましょう。性器同士が接触しないからと油断せず、全ての性行為で梅毒にかかる恐れがあると考えるようにしてください。
不特定多数の人と性交渉をしない
不特定多数の人との性交渉を続けていると、感染者と接触するリスクが高まります。また、無症状で感染に気づかないまま性交渉をすることで、さらに感染が拡大する恐れもあるでしょう。近年は、マッチングアプリやSNSを通じて不特定多数と性行為に及ぶケースも増えていますので気をつけてください。
梅毒をはじめとした性病は、感染していない人同士の性交渉なら感染することはありません。安心して接触できるパートナー以外とは性交渉をしないように務めれば、感染を予防できます。
まとめ
戦前は梅毒にかかると命を落とすと考えられていましたが、治療法が確立された現代では適切な処置を受ければ健康な体を取り戻せます。梅毒を放置していると命に危険が及ぶだけでなく、感染を広げる可能性もあるため、症状が見られたら速やかに医療機関を受診してください。
また、コンドームの装着や不特定多数との性交渉を避けるなど、日頃から予防策を取り入れることも大切です。性病に対する正しい知識を身につけ、自分や周りの人の体を守っていきましょう。
医療機関へ行くのが難しい方は自宅で検査できる「FemCHECK」がおすすめ
医療機関へ行くのが恥ずかしい、忙しくて病院へ行く時間が確保できない方はFemCHECKで自宅で簡単に性病の検査ができます。
FemCHECKは婦人科医が作った、自宅で検査ができる郵送の性病検査キットです。
結果が陽性であった場合は、オンライン診療で診察からお薬の処方まで自宅で完結させることが可能です。
おりものの異常がある、性病の心配がある方は一度検査してみることをお勧めします。
以下のバナーから注文することができます。時期によっては品薄になる場合があるのでご注意ください。