ヘルペス(単純ヘルペスウイルス感染症)の診断方法は?検査方法には何があるの?

ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスへの感染によって皮膚に水ぶくれ・水疱(すいほう)ができる病気です。

ヘルペスは症状が出る場所によって「口唇ヘルペス」「性器ヘルペス」の2種類に分けられますが、これらはどのような違いがあるのでしょうか。また、男性と女性によって症状や検査方法の差はあるのでしょうか。

本記事では、ヘルペスの診断方法や症状、検査・治療方法などについて解説します。ヘルペスでお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。

ヘルペスの診断方法は?

ヘルペスは特徴的な症状が見られる病気のため、状況に応じて診断方法が分かれます。では、一体どのような診断方法があるのでしょうか。

まずは、ヘルペスの診断方法を2つの観点から解説します。

問診・視診で診断|典型的な症状のとき

典型的なヘルペスの症状が見られる場合、診断は問診および視診で行われます。

視診の際は患部を見せることがあるため、性器ヘルペスの場合は羞恥心や不安を抱く方もいるでしょう。ただ、恥ずかしがって患部を見せないまま放置・自己判断するのはNGです。きちんと医師に診てもらい正確な診断をしてもらった方がより早く治るため、勇気を出して見せることをおすすめします。

病院によって、性器ヘルペスの視診に対する考え方や方針はさまざまです。男性と女性で診察の窓口が異なるケースや、男性のみの診断を受け付けている施設もあります。性器ヘルペスの診断で視診はあるのか、そしてどのように視診されるのかに関して不安がある方は、事前に病院へ確認をするとよいでしょう。

なお、ヘルペスと間違われやすい他の疾患にニキビや口角炎、帯状疱疹(たいじょうほうしん)などがありますが、いずれにせよ、自己判断せず早めに皮膚科を受診するのがよいでしょう。

検査結果で診断|非典型的な例や他疾患との判別が困難なとき

症状が非典型的な例や他疾患との判別が困難なときは、検査結果で診断が実施されます。「症状が非典型的」の具体例は以下のとおりです。

  • 水ぶくれの集合体ではない
  • チクチクやピリピリなどの感覚が無い
  • 痛みやかゆみなどの初期症状(前兆)が無い

具体的な検査方法については後述します。

ヘルペスの典型的な症状とは?

典型的な症状の場合、診断は問診や視診のみで完了すると解説しましたが、一体どのような症状が典型的なヘルペスの症状なのでしょうか。

ここではヘルペスの典型的症状について、「口唇ヘルペスの場合」「性器ヘルペスの場合」の2パターンに分けながら解説します。

口唇ヘルペスの場合

口唇ヘルペスの典型的な症状は以下のとおりです。

唇や口の中にできる小さな水ぶくれの集合体チクチクやピリピリなどの違和感痛みやかゆみなどの初期症状を伴う

口唇ヘルペスは水ぶくれが顕在化する前に、痛みやかゆみ、ムズムズ感などを覚えます。これが口唇ヘルペスならではの前兆です。

性器ヘルペスの場合

性器ヘルペスはその名のとおり、性器や性器周辺にできる水疱や潰瘍です。男性と女性によって若干症状が異なることも特徴として挙げられます。

男性の場合

男性が性器ヘルペスを発症した場合の典型的な症状は以下のとおりです。

全身の倦怠感そけい部(足の付け根あたり)の腫れや痛み尿道の痛み陰茎に多発性の小さな水疱

男性の性器ヘルペスは、性行為の後、2~10日の潜伏期間を経たのちに発症します。

症状が出ている期間は性交渉でパートナーにうつす可能性が非常に高いです。「ヘルペスかも…」と思ったら、パートナーのためにも性行為は控えましょう。

女性の場合

女性が性器ヘルペスを発症した場合の典型的な症状は以下のとおりです。

全身の倦怠感そけい部(足の付け根あたり)の腫れや痛み外陰部の不快感やかゆみ急激な外陰部の疼痛外陰部に多数の潰瘍

全身の倦怠感、およびそけい部の腫れや痛みは男性と共通しています。性器ヘルペスを発症するまでの潜伏期間も2~10日ほどで男性と変わりません。

ただ、女性の場合は外陰部の不快感やかゆみ、急激な疼痛、多数の潰瘍が典型的かつ厄介な症状です。疼痛は排尿ができないレベルになるケースもあります。

妊娠時に性器ヘルペスを発症した場合、胎児に産道感染する可能性もあるため、細心の注意が必要です。

ヘルペスの検査方法には大きく2種ある

ヘルペスの検査方法は「患部から出ている液体で行う検査」「血液検査」の大きく2種類です。

ここではそれぞれの検査方法の概要に加え、メリット・デメリットをまとめました。

検査その1:患部から採取した浸出液で行う検査

ヘルペスの水疱ができている状態なら、患部から採取した浸出液で検査が可能です。浸出液からヘルペスウイルスの有無を確認するため、採取したその日中には結果が分かります。

水疱ができていない初期症状のタイミングや、カサブタになっていくヘルペスの後期だと実施できない点はデメリットです。

メリットデメリット
その日中に結果が分かる(結果が分かるのが早い)ヘルペスが水疱の状態でないと検査できない

当検査の費用は5,000円~10,000円の間が相場と言われています。保険が適用されるかどうかは病院によって異なるため、事前に確認してみるとよいでしょう。

検査その2:血液検査

ヘルペスウイルスの有無は血液検査(抗体検査)でも調べることができます。水疱が出ていない状態でも検査ができるものの、検査の種類によっては、ヘルペスに類似する水ぼうそうや帯状疱疹などの抗体も含めて検査対象になってしまいます。

また、結果が出るまでに1週間程度と、時間がかかる点もデメリットです。

メリットデメリット
水疱が無い状態でも検査が可能・検査の種類によっては他の症状も検査の対象となるため、ヘルペスの判別が難しい・結果が出るまでに1週間ほどの期間が必要

血液検査の費用も、患部の浸出液から行う検査と同じく、相場は5,000円~10,000円程度です。

ヘルペスの治療方法は?

ヘルペスは発症したら水ぶくれができ、口唇ヘルペスの場合見た目に影響することや、かゆみ・痛みを伴うことから、少しでも早く治したい病気でしょう。では、ヘルペスの治療法には何があるのでしょうか。

最後に、ヘルペスの2つの治療方法について解説します。

飲み薬の服用

ヘルペスに対する治療は飲み薬の服用が一般的です。目安として、5日ほど継続して飲み続けることで効果を発揮します。

抗ヘルペスウイルス薬は、できる限り早いタイミングから服用することが大切です。飲み薬によるケアが早ければ、症状が出ずに済むケースもあります。ヘルペスは何度でも再発する可能性があるため、一定量の飲み薬をストックしておくのもよいでしょう。

また、自覚できる症状(水ぶくれやかゆみ・痛みなど)が収まったからといって、薬の服用をやめるのは禁物です。症状が収まっても体内ではヘルペスウイルスが増殖している可能性もあります。処方された薬はきちんと飲み切りましょう。

塗り薬の使用

ヘルペスの治療には、塗り薬も使用します。塗り薬はヘルペスの症状が軽い人に適しており、症状が重度な場合は、飲み薬を服用する方がより効果が得られるでしょう。

通常、塗り薬は病院で処方されるものを使いますが、市販薬を購入することも可能です。ただし、市販薬の場合ヘルペスを再発した方にしか処方ができない決まりとなっているため、初めてヘルペスにかかった方は購入できません。

まとめ

ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスに感染した人が発症する病気で、口まわりに症状が出る「口唇ヘルペス」と、性器まわりに症状が出る「性器ヘルペス」の2つに分けられます。

特徴的な症状があることから診断は問診だけ・視診だけで終わることが多いですが、性器ヘルペスの場合デリケートゾーンを見せることに恥ずかしさを覚える方もいるでしょう。不安な方は、診察の前に病院へ問い合わせることをおすすめします。

ヘルペスは、発症したら見た目にも影響する厄介な病気です。患部のかゆみや激しい痛み、全身症状を伴うことも少なくないため、早く治療するに越したことはありません。ヘルペスでお悩みの方は、当記事の内容を参考に、医療機関の受診や適切な治療を行ってみてはいかがでしょうか。

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