淋病は、セックスやオーラルセックス、キスなどの性行為を感染経路とする性感染症です。性感染症というと性器に感染するイメージが強いですが、オーラルセックスが一般的に行われるようになった現在、咽頭(喉)に淋菌が感染してしまう咽頭淋病を発症するケースが増えています。この記事では、咽頭淋病の症状や原因、検査方法や治療法、予防法などを解説します。
喉に症状が出る咽頭淋病とは
咽頭淋病とは、咽頭に淋菌が感染する性病の一種です。オーラルセックスに対して抵抗感が少なく、感染予防をしないまま日常的に性交渉するケースが増えています。それに伴い、淋菌の咽頭感染も増加しているのです。
咽頭淋病は、感染した場合でも症状が出ないか軽いため、気付かない場合がほとんどです。本人が感染を自覚しないまま性行為を行い、相手に感染させてしまうことが問題といえます。咽頭淋病は性器による行為だけでなく、唾液を介するような行為でも感染する恐れがあるため、注意が必要な感染症です。
潜伏期間
咽頭淋病の潜伏期間は早くて2日、遅くて7日程度といわれています。淋病は他の性感染症と比べても菌の増殖スピードが速く、感染してから発症するまであまり時間がかかりません。ただし、潜伏期間はあくまでも目安で、個人差があります。免疫力の違いによっても潜伏期間は異なります。全ての方に2~7日が当てはまるわけではないので、潜伏期間が過ぎたけど症状が出ないから大丈夫と、潜伏期間だけで感染の有無を判断しないようにしましょう。
淋病を放置した場合のリスク
淋病は自然治癒しない病気です。重症化はまれですが、咽頭淋病の場合放置すると、咽頭炎や扁桃腺炎を発症する恐れがあります。また、他の人に感染させてしまう危険性も高くなるのです。
咽頭淋病は、感染に気付かないままオーラルセックスを行って相手の性器に感染させてしまうリスクがある病気です。男性器にうつった場合は、排尿の際の痛みや尿道からの膿など、比較的重い症状があらわれます。これを放置すると、精巣(睾丸)の横にある精巣上体(副睾丸)にまで感染し、陰嚢が腫れたり、激しい痛みで歩行困難になったりすることもあるのです。治療が遅れると、無精子症になる恐れもあるので注意しましょう。
女性器にうつった場合は、自覚症状が軽いか全くないケースが多いものの、放置することで不妊症や子宮外妊娠の要因となることがあります。心当たりがあれば放置せず、早期の検査・治療が重要です。
淋病の症状
咽頭淋病は風邪に似た症状が多く、風邪薬を飲んでしまうことがあります。しかし、淋病に風邪薬は効かないため、症状が改善することはありません。人によっては、全く症状が出ないこともあるので注意が必要です。ここでは、咽頭淋病に感染したときの症状について、詳しく解説します。少しでも心当たりがある方は、すぐに医療機関を受診し、検査を受けましょう。
喉の痛みや腫れ
咽頭淋病は、喉の痛みや腫れなどの症状が出ます。喉の中を調べても、これといった変化がないことのほうが多く、痛みも激痛というよりは「多少イガイガする」や「喉が詰まっているような感覚」といった症状が発症します。
発熱
個人差はありますが、37~38度程度の熱が出ることがあります。また、吐き気や頭痛、倦怠感や腹痛など、インフルエンザや風邪に似た症状を発症するケースがあるのです。
淋病の原因
淋病は、淋菌の感染で起こる病気です。淋菌は、セックスやオーラルセックス、キスなどの性行為により、感染部位の粘膜と接触したり分泌物と接触したりすることで、人から人に感染します。感染力は強く、1回の性交で約30%の確立で感染するといわれています。
咽頭淋病の場合は、淋菌に感染した性器にオーラルセックスをすることで、発症する場合がほとんどです。咽頭淋病では、口の中に淋菌が生息するため、キスしただけでうつるのではないかと考えてしまいます。うつる危険性があることは否定できませんが、ディープキスなどでなければ、病原菌への接触は少なく、感染するリスクは極めて低いとでしょう。
淋病の検査方法
淋病の検査方法は大きく分けて「即日検査」と「通常検査」の2種類です。種類によって、検査結果が出るまでの時間や検査の精度が異なります。即日検査はその名の通り、結果がすぐ分かります。通常検査は結果が出るまでに時間はかかりますが、検査精度は高いというメリットがあるのです。どちらも性行為後から24時間以上経過していれば検査できます。
ここからは、即日検査と通常検査に加えて検査キットについて詳しく解説します。
即日検査
即日検査には2種類あります。「イムノクロマトグラフィー法」と「グラム染色法」です。どちらも検査結果が出るまでにかかる時間は10~60分で、既に症状が出ている方に有効だといわれています。結果がすぐ分かるため、速やかに治療を開始できるのです。
イムノクロマトグラフィー法
既に性器に何らかの症状が出ている方に向いている検査方法です。
尿や膣分泌液から抽出液を作り、テストデバイスに滴下し、感染の有無を目視で確認・判断します。抗体検査や妊娠検査と同じように、簡単に検査が行えます。10~15分程度で結果を確認できるため、速やかに必要な治療に移れることがメリットでしょう。ただし、喉や肛門など、性器以外の部位の検査はできないので、注意してください。
グラム染色法
分泌物の淋菌をグラム染色で染め、顕微鏡で確認する方法です。ピンク色でコーヒー豆のような形をした「グラム陰性双球菌」が、多核白血球の細胞質内に存在していることを確認します。
通常検査
通常検査では、「核酸増幅法」が採用されています。検査方法は「SDA法」「TMA法」「TaqMan PCR法」「Real-time PCR法」があります。結果が出るまで時間はかかりますが、検査精度の高さが特徴です。
SDA法
症状がなくても検査できます。医療機関によっても異なりますが、検査会社に委託するケースが一般的です。結果が出るまで2~7日程度かかります。
TMA法
症状がなくても検査可能です。医療機関で専門機器を使って検査を実施します。検査結果は、当日もしくは翌日には判明します。
TaqMan PCR法
細菌の遺伝子の一部分をコピーし増やす「遺伝子増幅法」です。一般的な細菌培養では検出が難しい淋菌を、DNAを用いて検出できます。
Real-time PCR法
従来の「TaqMan PCR法」と比較して、淋菌の量がどのくらい増えているかまで分かることが特徴です。高い検査精度を実現しています。
検査キット
淋病の不安があっても、「性器は見られたくない」や「誰にも知られたくない」などの理由で、自宅で検査したいと考える方は多いでしょう。このような方に向いている方法が淋病検査キットです。陰部の検査であれば、男性なら「尿検体」、女性なら「膣検体」、咽頭の検査であれば、「うがい検体」を自分で採取し、テスターで確認したり検査機関に送ったりします。
現在の検査キットは、多くの性感染症に対応しています。淋病以外では、クラミジア、梅毒、性器ヘルペス、尖圭コンジローマの検査が可能です。さらに、HIVやB型肝炎などの検査もできます。
検査キットの価格は3,000~5,000円程で、調べる項目が増えれば価格も変わります。入手方法は、薬局などでは販売していないため、メーカーからのネット購入が一般的です。主な検査キットを紹介します。
キット名 | 価格(税込) | 検査項目 |
さくら検査研究所 | 3,860円~ | 1~10項目 |
予防会 | 3,550円~ | 1~15項目 |
あおぞら研究所 | 4,730円~ | 1~17項目 |
メディカル・コア | 4,510円~ | 1~10項目 |
淋病の治療法
淋病の主な治療方法は「内服薬」「点滴」「注射」の3種類です。2種類の治療法を併用することもあります。それぞれの治療法について見ていきましょう。
・内服薬
内服薬による治療の特徴は、「他の治療法より安価」「治療に時間を要さない」などです。「アジスロマイシン」や「オーグメンチン」などが処方されます。3種類ある中で一番手軽な治療方法です。
・点滴
点滴治療の特徴は、「有効性が高い」「病院でしか受けられない」「自費診療の場合、治療費が高くなる」などです。主に「セフトリアキソン」を点滴します。静脈に有効成分を入れる治療方法で、素早く全身に成分が行き渡るため、即効性があります。
・注射
注射治療の特徴は、「有効性が高い」「病院でしか受けられない」「自費診療の場合、治療費が高くなる」などです。主に「スペクチノマイシン」や「セフトリアキソン」が使われます。スペクチノマイシンは筋肉注射でセフトリアキソンは静脈注射と、注射部位が成分によって異なります。
検査費用の目安
保健所では無料で検査できますが、感染が判明しても治療は行えないので、検査から治療までを行う医療機関の受診をおすすめします。
医療機関での検査費用は、保険適用かどうかで異なります。また、医療機関によって保険適用の基準が異なるので、事前にチェックしましょう。一般的に症状がない場合は、自由診療で保険適用外になります。費用は検査する感染症の数にもよりますが、5,000~10,000円程です。症状がある場合は保険が適用されるため、数千円必要になります。
治療に必要な期間
治療に必要な期間は、治療方法によって異なります。それぞれの治療に必要な期間について解説します。
・内服薬による治療の場合
治療期間は4~7日程度です。薬を処方してもらえば自宅で治療が行えるため、忙しくて通院できない方にとっては大きなメリットといえます。
・点滴による治療の場合
治療期間は一般的には15~30分の点滴を1回行いますが、重症度によっては点滴回数や期間が変わるので医師と相談しながら治療しましょう。
・注射による治療の場合
治療期間は重症度にもよりますが、一般的には1回の注射で治療が終了します。何度も通院できないという方にとっては大きなメリットでしょう。
なお、淋病は菌が消滅して初めて完治になります。治療が終了してから2~4週間後に検査して陰性であれば完治です。治療終了から検査までの期間については、医師の指示を仰ぎましょう。点滴や注射での治療後に、すぐに性行為をすることは厳禁です。また治療中には、症状が出なくなったからといって、薬の服用を自己判断で止めないようにしましょう。
予防法
咽頭淋病(淋病)は、症状がなかったり、症状が軽くて自覚できなかったりするケースが多いため、予防が難しいといわれています。もし、原因に心当たりがあって「微熱がある」「喉に違和感がある」などの症状がある場合は、念のためセックスやオーラルセックス、キスなどの性行為は控えるようにしましょう。その他にも性行為中に実践できる予防法があるので、ここで紹介します。
コンドームを使用する
オーラルセックス時でも、性器との接触を防ぐのに有効なコンドームの使用が推奨されています。コンドームを付けることによって、咽頭淋病から喉の粘膜を守れるのです。ゴム臭くて苦手という方には、フレーバー付きコンドームなどもあるため、試してみてはいかがでしょうか。オーラルセックスで使用したコンドームは、表面に淋菌が付着している恐れがあるため、挿入前は必ず新しいものに付け替えましょう。
パートナー以外と性交渉しない
パートナー以外の不特定多数の人と性交渉した場合、感染率は高くなります。淋病の感染者数は性感染症の中でも国内で2番目に多いため、注意が必要です。また、パートナー以外と性交渉しないことは、「パートナーとのトラブル」「感染源が分からなくなる」「感染のまん延」といった問題へ発展するのを防いでくれます。
まとめ
オーラルセックスに対する抵抗感が少なくなったことから、咽頭淋病の感染者が増えています。咽頭淋病は、感染しても症状が出ないか軽いため、本人が感染を自覚しないまま性行為を繰り返し、相手に感染させてしまうことが問題です。
また、治療が遅れれば重症化したり、治癒しにくくなったりします。淋病は自然治癒することがないため、いかに早期発見、早期治療するかが重要です。「医療機関での検査は恥ずかしい」「周りに知られたくない」「通院の時間が取れない」といった方でも、自宅で簡単に検査できる検査キットがあるので、症状の有無にかかわらず、検査を受けてみましょう。
もし、感染しているのであれば、パートナーも感染している恐れがあります。一人だけ治療しても感染が繰り返されるだけです。検査や治療は、必ずパートナーと二人で行うようにしてください。
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