初期硬結とは、梅毒の初期症状としてよく見られる、数センチの大きさをしたニキビのようなしこりのことです。この記事では、初期硬結と梅毒の概要、検査方法、治療方法について解説します。気になるしこりができた方は、この記事を参考にした上で必要に応じて早めに医師と相談しましょう。
初期硬結は梅毒の初期症状としてよく見られる
初期硬結とは、梅毒の初期症状として見られる、約数センチの大きさをした硬いニキビのようなしこりのことです。軟骨程度の硬さで、中心が非常に硬く、不自然な盛り上がりが特徴です。小さな赤い斑点として現れることもあります。病原体が侵入した箇所か、侵入箇所が属するリンパ節に発生しやすいです。
初期硬結は徐々に広がるほか、周囲の湿潤がとひどくなり、中心に潰瘍(くぼみ)が現れます。これが「硬性下疳」です。
これらの症状は、梅毒に感染してから約3週間後に現れ、2~3週間程で消えていきます。痛そうな見た目をしていますが、痛みもかゆみもないことがほとんどです。通常は1つだけですが、複数個現れることもあります。治療せずとも放置することで症状が自然と消えていくため、治ったと勘違いしてしまうこともありますが、梅毒の原因菌は潜伏しており、症状が進行していくので注意が必要です。
男性における初期硬結が発症しやすい部位
男性における初期硬結が発生しやすい部位は、以下の通りです。
- 冠状溝
- 包皮
- 亀頭部
- 陰茎の間
- 性器周辺の皮膚
- 唇
- 喉
- 手指
女性における初期硬結が発症しやすい部位
女性における初期硬結が発生しやすい部位は、以下の通りです。
- 膣の中
- 大陰唇
- 小陰唇
- 子宮頸部
- 性器周辺の皮膚
- 唇
- 喉
- 手指
初期硬結とニキビの見分け方は?
梅毒は「偽装の達人」といわれるほどに、ほかの病気との見分けがつかない病気です。
初期硬結はニキビとの見分けが非常につきにくく、また自然に消えてしまうため梅毒と気付かないケースもあります。
以下は、受診するか迷っている方に向けた見分け方のチェックリストです。該当する項目が多いほど梅毒の疑いがありますので、早期に受診しましょう。
【見分け方チェックリスト】 □感染のリスクがある・心当たりがある □ 3ヶ月以内に性行為(キスのみも含む)を行った相手が梅毒になった □ 不特定多数との性行為がある □ パートナーは1人だが、付き合いだして1~3ヶ月目である □ クラミジアなどのほかの感染症にかかった □ 性器や唇に硬さが軟骨程度のしこりがある □ 性器や唇に厚い潰瘍がある □ 皮膚に発疹がある □ 手や足に発疹がある □リンパ節にしこりがある □ 喉が痛い |
梅毒の概要と原因
梅毒は、梅毒トレポネーマという細菌により引き起こされる性感染症です。主に性的接触によって、粘膜や皮膚の小さな傷などから感染し、血流に乗ってさまざまな症状を引き起こします。また、梅毒に感染している母親から、妊娠・出産時に子どもに感染することもあります。
梅毒は症状が出ては消えを繰り返すほか、ほかの病気と見分けがつかないこともあり、検査や治療が遅れる傾向にあります。治療せずに放置していると、心臓や脳にまで重い症状が起きる恐れがあります。
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梅毒の症状
梅毒は時間の経過によって現れる症状や場所が変化していくことが特徴で、大まかに「第1期」「第2期」「第3期」「第4期」と分けられています。
ここでは、梅毒のそれぞれの時期について、具体的な症例を解説します。なお、梅毒に感染したすべての人がこれらの症状を辿るわけではなく、異なる症状が現れる可能性もあることに留意してください。
第1期梅毒
梅毒に感染してから3週間程度で、感染が起きた部位もしくは感染箇所が属するリンパ節にしこりが現れます。また、鼠径部のリンパ節などが腫れる場合もあることが特徴です。傷みはないことがほとんどで、治療せずとも症状は自然に消えていきます。
しかし、病原体は体内に潜伏している状態であるため、ほかの人にうつしてしまう可能性があります。
第2期梅毒
梅毒を治療せずに3ヶ月ほど経過すると、病原体が血流に乗って全身に運ばれてしまいます。手のひらや足の裏、体全体に赤い発疹が現れることが特徴です。これらの発疹はバラに似ていることから、「バラ疹」とも呼ばれています。
そのほか粘膜が発疹する、扁平コンジローマが現れる、発熱や倦怠感が現れるなどの諸症状を引き起こします。また、これらの症状は、第1期と同様に自然消滅することも特徴の1つです。
第3期梅毒
感染後数年が経過すると、全身に炎症が起きます。皮膚や筋肉、骨などにゴムのような腫瘍(ゴム腫)が発生し、場合によっては肝臓や腎臓といった臓器にもゴム腫やしこりが発生します。臓器にこれらが発生した場合、臓器機能の悪化が治らず、後遺症となる場合があります。
現在、日本国内では第3期まで症状が進行した例はほとんど報告されていません。
第4期梅毒
感染から10年程経過すると、大動脈や心臓、脳といった部位にまで病変が起きるほか、進行性麻痺や脊髄癆など神経にまで影響がおよび、最終的に死にいたる場合があります。脊髄癆にかかると体の痛みだけでなく、歩行障害や感覚障害、排尿障害を起こします。
第3期と同様、ここまで症状が進行した例はほとんどありません。
なお近年では、第4期の分類は無くなり、第3期の後期の状態であるとされることが多くなっています。
初期硬結ができたら何科を受診すればいい?
初期硬結ができていると判断した場合、性感染症内科を受診するとよいでしょう。ただし、性感染症内科のみを標榜する病院やクリニックは少なく、なかなか見つからないかもしれません。
その場合は、男性なら泌尿器科、女性なら産婦人科・婦人科を受診してください。
また、皮膚に症状がある場合、皮膚科を受診してもかまいません。感染しているかを調べたい場合には、お住まいの地域の保健所でも相談できます。梅毒の検査方法
梅毒の検査方法は、血液検査(抗体検査)が一般的です。ほとんどの医療機関で受けられます。また、病変から検体を採取する検査方法や、PCR検査が行われることもあります。地域によっては、無料や匿名で検査可能です。
ただし、感染から数週間から2ヶ月程度経過していなければ検査できません。これは、梅毒であったとしても血液検査では陰性となり、感染しているか判断できない時期があるためです。
血液検査は、即日で検査できるTP法と、精密検査できるRPR法に分かれています。ただしTP法では1度でも感染したことがある場合、一般的に生涯にわたり検査で陽性反応が出てしまうため、感染歴がある方は受けられないケースがほとんどです。
血液検査では、2〜6mlほど採血されます。TP法では30分程度、RPR法では2〜3日程度で診断結果が出るでしょう。 梅毒の治療方法
梅毒検査で陽性と出た場合、検査結果により2~12週間ほど服用するペニシリン系抗生物質が処方されます。病院によっては、持続性の薬剤を筋肉内に注射する方法で、1度の注射で治療を行う場合もあります。なお、ペニシリンにアレルギーがある方には、違う系統の薬が処方されます。
薬をすべて服用もしくは薬の持続期間が経過した後、1~2ヶ月経過してからRPR法による血液検査を行います。その後も半年ほど採血を行い、RPRによる数値の下がり具合から医師が判断し、治療判定が出ます。
まとめ
梅毒は現代でこそ簡単に治療できる病気ですが、ペニシリンが発見されるまでは死にいたる不治の病として恐れられていました。
ただし、梅毒を放置してしまうと重篤化する可能性があるため、恐ろしい病気であることには変わりありません。早期発見が極めて重要ですが、症状がほかの病気などに似ているため、気が付くのが難しい病気でもあります。
この記事ではチェックリストも用意していますので、少しでも心当たりがある方は必ず受診しましょう。
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