疲れやだるさを感じることが多くなっている場合は、肝炎にかかっている恐れがあります。
肝炎の原因はウイルス性であることがほとんどです。ウイルス性肝炎はさまざまな型があり、感染経路もその型によって変わります。
では、肝炎とはどのような病気なのでしょうか。この記事ではウイルス性肝炎の特徴や症状、治療方法などを解説します。だるさや食欲が湧かないといった症状がある方は、ウイルス性肝炎の可能性があるため確認してみましょう。
そもそも肝炎とは?
肝炎とは、肝臓に炎症が起きることで肝細胞が破壊されてしまう肝臓の病気です。肝炎を発症すると、倦怠感や黄疸などの症状が現れるようになります。肝炎の原因はアルコールや薬剤、自己免疫によるものがありますが、約8割がウイルスの感染によるものです。
肝炎は「急性肝炎」と「慢性肝炎」に分けられます。急性肝炎は、一定期間潜伏した後に倦怠感や吐き気などの症状が現れるのが特徴です。ほとんどは1〜3ヵ月程度で自然に治癒しますが、ごくまれに脳症などの症状が起きることもあります。
慢性肝炎の場合、肝炎に見られる症状を自覚できないケースが少なくありません。急性肝炎とは異なり、軽度の肝障害が長期間持続するため、肝硬変や肝臓がんのリスクが高まります。
ウイルス性肝炎の概要と感染経路
ウイルス性肝炎は、肝炎ウイルスに感染することで肝臓の細胞が障害を受ける肝臓の病気です。A・B・C・D・E型と5つの種類に分類されています。
【ウイルス性肝炎の種類】
- A型肝炎ウイルス
- B型肝炎ウイルス
- C型肝炎ウイルス
- D型肝炎ウイルス
- E型肝炎ウイルス
型それぞれで特徴が異なり、AまたはE型は食品や飲料によって感染するケースが多く、B・C型は血液による感染がほとんどです。
特に注意が必要なのはB型とC型で、治療が遅れると慢性的な肝臓病につながってしまいます。なお、日本で感染する恐れがある型はA・B・C・Eの4つです。
A型肝炎ウイルス(HAV)
A型肝炎ウイルスは、貝類といった食品を食べることによる経口感染、上下水道など衛生環境の悪さ、性行為から感染するウイルスです。
感染によって発熱や倦怠感といった風邪に似た症状が現れるものの、無症状または軽度であるケースが多く、人によっては感染したことに気付かない場合もあります。A型肝炎は子どもと比べると成人の方が症状が出やすく、高齢者ほど重症化しやすいのが特徴です。急性肝炎の原因になることもありますが、劇症化するケースはあまりありません。感染経路の面から、衛生環境が良い日本での大流行は可能性が低いといえます。
B型肝炎ウイルス(HBV)
B型肝炎ウイルスの主な感染経路は血液や体液です。具体的には輸血や出産時の母子感染、不衛生な医療器具を使用する、刺青を彫る、性行為などが挙げられます。症状は倦怠感や嘔吐、色の濃い尿が出るなどです。
B型肝炎ウイルスは「一過性感染」と「持続性感染」に分けられます。一過性感染は、一度かかると身体がウイルスを排除して免疫ができますが、持続性感染は身体からウイルスを排除できず、慢性肝炎を発症する恐れがあります。慢性肝炎を治療せずに放置すると、肝硬変や肝臓がんに進行する場合があるため注意が必要です。
C型肝炎ウイルス(HCV)
C型肝炎ウイルスの感染経路は主に血液感染です。輸血や血液製剤の使用、不衛生な医療器具、刺青や性行為で感染します。症状は疲労感や食欲不振、嘔吐、黄疸などです。しかし、感染しても症状が軽度、もしくは無症状の場合が多く、感染に気付かないケースは少なくありません。
C型肝炎ウイルスの3割が身体から排除されますが、残りの7割は持続性感染として慢性肝炎に進行します。B型と同様に慢性肝炎から肝硬変や肝臓がんに進行してしまうことがあるため、早期発見と早期治療が重要です。なお、C型肝炎ウイルスにはワクチンがありません。
D型肝炎ウイルス
D型肝炎ウイルスは少し特殊なウイルスです。B型肝炎ウイルスと同時に感染するか、感染後にD型にも感染するケースに分かれます。D型肝炎ウイルスはB型肝炎ウイルスに関連しており、感染経路もB型と同様、輸血や不衛生な医療器具の使用、性行為などです。
主な症状は発熱や疲労感、食欲不振などが現れます。D型とB型が一度に感染した場合は、急性肝炎を発症すると重篤化しやすい傾向です。D型は日本での発症事例が少なく、世界的には欧米諸国で多く見られます。
E型肝炎ウイルス
E型肝炎ウイルスは、主に経口感染が感染経路になります。具体的には、加熱不足の猪肉や鹿肉を食べる、生の豚レバーを食べる、E型肝炎ウイルスが混ざった動物の排泄物に汚染された飲食物を食べるなどです。また、A型肝炎ウイルスと同様に、衛生状態が悪い環境でも感染します。
以前は発展途上国に多いウイルスでしたが、近年では日本でも感染が確認されているため注意が必要です。
E型肝炎ウイルスの潜伏期間はおよそ2週間〜9週間で、発熱や食欲不振、嘔吐などの症状が現れます。症状はA型と似ていますが、致死率はA型よりも高い傾向です。E型の場合は急性肝炎として発症することが多く、予後は安定していますが、妊婦が感染すると悪化しやすいといわれています。
ウイルス性肝炎の症状と潜伏期間
ウイルス性肝炎の症状は型によって異なります。潜伏期間は、長いと約180日も潜む型があります。ここでは、ウイルス性肝炎の具体的な症状や潜伏期間、慢性化するかどうかなどを見ていきましょう。
肝炎 | A型 | B型 | C型 | D型 | E型 |
潜伏期間 | 15~50日 | 30~180日 | 15~180日 | 30~180日 | 15~50日 |
慢性化 | ✕ | 〇 | 〇 | 〇 | ✕ |
ワクチンの有無 | 〇 | 〇 | ✕ | ✕ | ✕ |
肝炎における慢性化(慢性肝炎)とは、肝臓の炎症が6ヵ月以上続いていることです。急性肝炎の場合はおよそ1〜3ヵ月程度で自然に治癒しますが、慢性肝炎はそうではありません。慢性肝炎は倦怠感など症状がありますが、自覚できないケースがほとんどです。放置すると肝硬変や肝臓がんに進行してしまう恐れがあります。
A型肝炎
A型肝炎ウイルスは、2〜7週間の潜伏期間を経た後に症状が現れます。平均的な潜伏期間は28日間です。
A型肝炎では主に以下の症状が現れます。
- 全身の倦怠感
- 発熱
- 食欲不振
- 頭痛
- 腹痛
- 吐き気や嘔吐
- 黄疸
- 褐色尿
- 白色便
A型に感染した場合、症状の発現前だけでなく、消失後にもウイルスを排泄するため注意が必要です。しかし、B型・C型とは異なり、A型は慢性化しません。また、A型は一度罹患すると生涯免疫を得られます。
B型肝炎
B型肝炎ウイルスに感染した場合、潜伏期間はおよそ1〜6ヵ月です。感染しても症状が現れないケースもあります。
B型肝炎の主な症状は以下のとおりです。
- 全身の倦怠感
- 食欲不振
- 疲労感
- 吐き気や嘔吐
- 黄疸
- 褐色尿
黄疸が現れるピークは2週間ほどで、その後数週間かけて落ち着いていきます。しかし、B型は放置すると慢性化してしまうため注意しましょう。また、まれに肝臓機能の低下が早まる「劇症肝炎」という病気を発症することがあり、最悪の場合は死に至ります。
C型肝炎
C型肝炎ウイルスの潜伏期間は2〜14週間ほどです。症状を自覚できることが少ないため、気付いたときにはすでに病状が進行している場合が多くあります。
C型肝炎の主な症状は以下のとおりです。
- 全身の倦怠感
- 食欲不振
- 疲労感
- 吐き気
- 黄疸
C型は感染者の約7割がウイルスを排除できず、慢性化してしまいます。慢性肝炎になると肝硬変や肝臓がんに進行してしまうケースが多く、体重減少など顕著な症状が現れてくるのが特徴です。
D型肝炎
D型肝炎ウイルスの潜伏期間は、B型と同様に約1〜6ヵ月です。
D型肝炎では主に以下の症状が現れます。
- 発熱
- 食欲不振
- 疲労感
- 吐き気や嘔吐
- 黄疸
- 褐色尿
- 関節痛
D型に感染すると、慢性化してしまうケースが多い傾向です。D型は、B型と同時あるいは後に感染するウイルスですが、B型よりも合併症を発症する確率が高いとされています。日本での発症事例は多くありませんが、注意は必要です。
E型肝炎
E型肝炎ウイルスの場合、潜伏期間はおよそ2〜9週間でA型に似た症状が現れます。
E型肝炎の主な症状は以下のとおりです。
- 発熱
- 食欲不振
- 腹痛
- 吐き気や嘔吐
- 黄疸
- 褐色尿
E型はA型と同様に、急性肝炎を発症する恐れがあります。急性肝炎に進行すると、上記の症状に加えて肝機能障害や肝腫大といった症状も現れます。E型の予後は良好ですが、致死率はA型よりも高いのが特徴です。
ウイルス性肝炎の治療法
ウイルス性肝炎を発症してしまった場合、どのような治療方法があるのでしょうか。以下に、それぞれの肝炎について治療方法をまとめました。
【ウイルス性肝炎の治療法】
A型肝炎 | 慢性化の心配がないため、基本的には安静に過ごすことで自然治癒を目指します。ただし、肝障害が強い場合は入院が必要です。 |
B型肝炎 | ウイルスを完全に排除できないため、抗ウイルス療法や薬物療法を行いウイルスの活動を抑える治療を行います。 |
C型肝炎 | 主に薬物療法を行ってウイルスを身体から排除します。 |
D型肝炎 | 薬物療法を行ってウイルスを身体から排除する治療法が取られていますが、現在も治療薬が開発されています。 |
E型肝炎 | 慢性化しないため、自然治癒を行います。 |
自然治癒するウイルスもあれば、薬物療法などを行わなければ治らないウイルスもあります。症状が疑われる場合は、早急に病院にかかりましょう。
肝炎の検査方法と診断方法
国が定めた制度により、住んでいる自治体で肝炎の検査を受けられます。市町村での検診、あるいは保健所で肝炎ウイルス検査が可能です。また、企業健診や手術・出産前の検査としても受けられる場合があります。
肝炎の検査方法は血液検査です。採血を行って調べますが、時間はかかりません。検査結果が出るまでは数週間待つことになります。
B型肝炎ウイルスの検査では「HBs抗原」、C型肝炎ウイルスの検査であれば「HCV抗体」が存在しているかどうかを検査し、陽性であればそれぞれB型あるいはC型に感染していると診断できます。
ウイルス性肝炎の予防法
ウイルス性肝炎は経口摂取や血液感染するウイルスがほとんどですが、予防策を取ることで感染を防げます。ワクチン接種によって抗体を得て予防することもできますが、ワクチン以外にも食べ物や衛生状態などに気をつけましょう。
ワクチンによる予防
ワクチン接種で予防できるウイルス性肝炎は、A型とB型です。
・A型肝炎
A型肝炎ウイルスのワクチンは、計3回接種します。まずは2〜4週間の間で2回接種、その半年後に3回目を接種します。
A型は衛生環境が悪い地域で感染しやすいため、そういった場所に行く際はあらかじめワクチンを接種しておいた方が安心です。
・B型肝炎
B型肝炎ウイルスは、半年間で計3回のワクチンを接種します。接種後に抗体検査を行い、陽性化を確認する流れです。
ワクチン以外の予防
A型とB型は、ワクチン接種以外でもウイルスを予防することが可能です。
・A型肝炎・E型肝炎
衛生状態の悪い食べ物や水、生肉などを摂取しないようにします。口に入れる際は加熱や煮沸をしましょう。
・B型・C型肝炎
むやみに他人の体液や血液に直接触らないようにしましょう。ピアスを開ける際は清潔な器具を使用する、性行為の際はコンドームを付けることが予防になります。
・D型肝炎
D型のワクチンはありません。そのため、B型肝炎ウイルスの予防接種を行うことがD型感染の予防につながります。
まとめ
肝炎の発症は、ストレスや飲酒といった理由以外に肝炎ウイルスが関係しています。ウイルス性肝炎は、肝炎そのものの原因の多数を占めており、ワクチンや予防対策を行って未然に防ぐことが重要です。
肝炎をそのまま放置してしまうと慢性化し、肝硬変へと悪化、さらには肝臓がんへと進行してしまう恐れがあるため、症状や違和感があったら早急に病院にかかるようにしましょう。肝炎の治療には早期発見と早期治療が大切です。
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