性器に感染するイメージが強い性感染症ですが、喉に感染するものもあります。そのなかでも特に感染者の多い性感染症の一つが淋病です。
喉に感染した淋病を咽頭淋病といいます。また、その場合パートナーも同時に感染している恐れがあるので、早期の治療が必要です。
ここでは、咽頭淋病の原因や検査方法、感染後の注意点などを解説していきます。咽頭淋病に関する正しい知識を身につけましょう。
咽頭淋菌はどういう感染症?
淋病の正式名称は「淋菌感染症」といい、クラミジアと並んで日本での感染者が多い性感染症です。淋病の主な感染経路は性行為であり、性行為や類似行為以外の日常生活での感染確率は低いとされています。
淋病が喉に感染するケースを「咽頭淋病」といい、主な感染経路はフェラチオやクンニリングスなどのオーラルセックスによる感染がほとんどです。オーラルセックスは、舌や喉などの口腔を用いた性行為のため、感染者の尿道分泌物や膣分泌物が咽頭粘膜に接触することで感染します。
また、通常のキスでは感染のリスクは低いとされていますが、粘膜の接触による感染リスクは完全には否定できません。
最近では、オーラルセックスが一般的になっており、淋病感染者は咽頭淋病にも同時感染している確率が高くなっています。逆に性器へ淋病感染していなくても、咽頭淋病に感染しているケースもあり、感染予防などの注意が必要です。
咽頭淋菌の症状
咽頭淋病は、喉に炎症を引き起こします。主な症状として、発熱や咳、喉の痛みや腫れなどがありますが、無症状や症状が軽いため、感染していることに気づかないケースも多い病気です。
淋病・咽頭淋病の潜伏期間は2~7日とされており、感染してから発症するまでが比較的早いのが特徴です。潜伏期間には個人差がありますので、目安として判断しましょう。
淋病に感染した人の10~30%が咽頭淋病に感染しており、感染者数も増加傾向にあるため、性器の検査と合わせて喉の検査もおすすめします。
風邪と間違える
咽頭淋病の症状は、風邪の症状とよく似ています。そのため、性感染症ではなく風邪だと判断し、症状を長引かせるケースが多いのです。
感染に気づかずに放置してしまうと、パートナーへの感染や喉以外の部位への拡大などのリスクが生じます。風邪のような症状を感じた人で、直近1週間以内に性交渉などに心当たりがある場合は淋病・咽頭淋病を疑ってください。
咽頭クラミジアとの違い
咽頭淋病と並んで感染が増加している咽頭クラミジアは、咽頭淋病に似た症状を発症する性感染症です。
どちらも風邪に似た症状ですが、症状の経過が異なるケースがあります。
- 咽頭淋菌:咽頭炎、扁桃炎を起こす恐れがある
- 咽頭クラミジア:耳や鼻のつまり、難聴、中耳炎などを起こす恐れがある
また、咽頭淋病と咽頭クラミジアは同時に感染しているケースも多いため、念のため両方の検査を受けることをおすすめします。
咽頭淋菌の主な検査方法
咽頭淋病の検査方法は、次の3つがあります。
- 即日検査(グラム染色法)
- 精密検査(核酸増幅法)
- 市販の検査キット
ここでは、それぞれの検査方法について解説していきます。どの検査方法でも、性行為後24時間以上が経過していないと菌が検出できませんので注意が必要です。
即日検査(グラム染色法)
グラム染色法は、検査結果の判明が早い即日検査と呼ばれる検査方法です。
綿棒を使って、感染部位から粘膜細胞や粘膜付着物を採取します。これをスワブ検体といい、検体のなかに淋菌が含まれているかどうかを観察することで判断します。
検査結果が早くわかるのがメリットですが、主に尿道炎での診断に使用される検査方法であり、咽頭や女性の子宮頸管(けいかん)などの淋菌以外の細菌の多い部位では非推奨とされています。
精密検査(核酸増幅法)
綿棒またうがい液を使って感染部位の検体を採取し、検体のなかにある淋菌の遺伝子を増幅させて検出する検査方法です。
遺伝子レベルで行う精度の高い精密検査で、4つの検査方法に分かれています。
- SDA法
- PCR法
- TMA法
- TRC法
いずれも症状なしで検査が可能であり、偽の陽性反応が出にくいのが特徴です。また、SDA法・TMA法・TRC法は淋菌とクラミジアの同時検査が可能といったメリットもあります。
TMA法は当日もしくは翌日、TRC法は最短2時間で検査結果が判明します。SDA法・PCR法については2~7日ほどかかりますので、余裕を持って検査を受ける必要があります。
また、最も早いTRC法の場合、追加費用が発生することがありますので、事前に受診する医療機関に費用を確認しておきましょう。
市販の検査キット
自宅でも簡単に検査できるキットがインターネットなどで購入できます。
検査キットには、検査申込書検や査の手順書、うがい液用カップ、スポイトなどが同封されており、手順に従って簡単に検査できます。検査器具はすべて使い捨てとなっており、衛生面も安心です。
標準的な検査の流れ
- 検査キットの購入
- 自宅で検査
- 同封のレターパックを使用して郵送
- Webなどで結果を確認(最短1~2日程度)
通院などで人の目を気にすることもなく、自宅で簡単に検査できますが、陽性反応が出た場合は病院での治療が必要です。病院では精度の高い検査も受けられますので、二度手間を防ぐ意味でも病院での検査をおすすめします。
咽頭淋菌の検査費用
医療機関での咽頭淋菌の検査費用は、保険適用であれば3,000円程度が相場です。検査費用以外に初診料や診察料、処方箋料などが別途かかる場合があります。
また、淋病であれば尿道、喉などのように部位ごとに料金が発生します。各部位セットやクラミジアとの同時検査の場合は、1つの検査だけよりも1,000円程度安く受けられる病院もありますので、事前に受けたい検査について問い合わせてみてください。
自宅で検査キットを使用する場合は、インターネットで3,000円~6,000円程度で購入可能です。クラミジアとの同時検査ができるタイプなども販売されており、タイプによって値段が異なります。
咽頭淋病の治療方法
咽頭淋病の治療は、性器に感染する淋病と同様の治療方法、治療薬が使用されます。
治療方法は次のとおりです。
- 抗菌薬治療
- 点滴、静脈注射治療
ほとんどの場合は抗生物質による治療が行われ、経口薬としてセフィキシムやアジスロマイシンなどが処方されます。ただし、淋菌・咽頭淋菌は薬が効かない耐性菌が増えているため、静脈注射や点滴を併用する場合もあります。
静脈注射・点滴はセフトリアキソンを使用します。ただし、性器感染の際に用いられる筋肉注射のスペクチノマイシンは、咽頭淋病への効果が薄いので使用されません。
治療後は必ず再検査
一度の治療で効果が得られないケースもありますので、治療後は必ず再検査が必要になります。一般的に治療後2週間ほど経てから再検査します。
また、治療が完了しても「陰性」の結果が出るまでは、完治したとはいえません。自己判断で治療を止めたり、再検査を受けなかったりすると感染拡大のリスクが高くなりますので、十分に注意しましょう。
咽頭淋菌に感染したら注意すべきこと
咽頭淋菌に感染した場合、いくつかの注意すべきことが存在します。正しい知識がないと感染拡大や重症化する恐れがありますので、しっかりと把握しておきましょう。
注意すべきことは次のとおりです。
- 放置しない
- パートナーにも検査を受けてもらう
- 治療中は性行為を行わない
それぞれの項目ごとに解説していきます。
放置しない
淋病・咽頭淋病は、放置していても自然治癒する病気ではありません。
感染に気づかないなどの理由で放置してしまうと重症化します。さらに、そのまま性行為をしてしまい、喉から性器へと感染するケースやパートナーを感染させてしまうケースが多いのです。
重症化してしまうと扁桃炎や咽頭炎を引き起こし、男性が喉から性器に感染すると前立腺炎や精巣上体炎を併発します。精子の機能低下や精子の通り道がふさがってしまうことで無精子症の原因となるケースも少なくありません。
女性が喉から性器に感染した場合は、膣や子宮頸管から徐々に炎症が広がり、最終的には不妊症の原因になるケースがあります。
特に妊娠中に感染した場合、新生児にも感染する恐れがあり、重症化すると失明や命を落とす危険性がありますので、早期の治療が必要です。
パートナーにも検査を受けてもらう
咽頭淋菌は、主にオーラルセックスによって感染します。また、キスによる感染も完全には否定できません。自分だけでなく、パートナーも感染している恐れがありますので、パートナーと一緒に検査を受けましょう。
また、淋病・咽頭淋病は感染しても抗体を生成せず、何度でも再発するのが特徴です。自分の治療後にパートナーが持つ菌によって再感染を引き起こすなどのピンポン感染(お互いにうつしたりうつされたりを繰り返す)が起きるケースが多く、その場合治療を始めからやり直すことになります。
さらに、淋病・咽頭淋病に感染した場合、クラミジアに同時感染しているケースがあります。クラミジアの感染に気づかずに重症化してしまう恐れがありますので、淋病検査を受ける際はクラミジアの検査も受けるのがおすすめです。
治療中は性行為を行わない
咽頭淋病は、挿入を伴なわなくても感染する淋病の一つです。治療中の性行為やそれに類似する行為は避けましょう。コンドームなど避妊具を使用しても「安全」ではありませんので注意してください。
また、症状が治まったとしても淋菌が感染部位に残っており、感染を拡大する恐れがあります。治療中の性行為やそれに類似する行為は、パートナーと協力して控えるようにしましょう。
咽頭淋病にならないための予防法
咽頭淋病にならないための予防法は次のとおりです。
- 避妊具を正しく使用する
- 不特定多数の相手と性行為をしない
どちらの方法も予防法として有効ですが、完全に予防できるわけではありません。あくまでリスクを減らす方法と考え、感染を拡大しない・感染しないという意識を持つのが重要です。
避妊具を正しく使用する
咽頭淋病は、オーラルセックスなどによって喉に感染する淋病の一つです。挿入時だけでなく、オーラルセックス時にもコンドームなどの避妊具を装着することで、感染拡大を予防できます。
また、オーラルセックス後に挿入することで、性器などへ感染する恐れがありますので、挿入時には新しい避妊具に取り替えることをおすすめします。
普段から避妊具を使用していない場合やパートナーが装着してくれない場合などは、パートナーとしっかり話し合い、協力して感染予防に努めましょう。
不特定多数の相手と性行為をしない
咽頭淋病の感染は挿入の有無に左右されないため、性風俗店利用や不特定多数の相手との性行為によって感染リスクが高くなります。
特に性風俗店を利用した場合、感染元の判別が困難です。ピンポン感染の温床にもなっていますので、十分に注意してください。
また、特定のパートナーとしか性交渉をしていなくても、性行為をするのであれば感染リスクがあります。感染していても無症状で気づかないケースも少なくありませんので、少しでも違和感を覚えたら検査を受けることをおすすめします。
まとめ
淋病感染者のほとんどが感染しているとされる咽頭淋病は、フェラチオやクンニリングスなどの主にオーラルセックスによって感染する性感染症です。
咽頭淋病の症状は、発熱や咳、喉の痛みなどであり、風邪とよく似ていることから感染に気づかないことがあります。気づかないことで放置した結果、重症化してしまうケースが少なくありません。
また、オーラルセックス後に挿入することで、喉から性器へと感染拡大のリスクがあります。コンドームなどの避妊具を装着していても完全に予防できないため、十分に注意が必要です。
感染に心当たりがある、喉だけでなく性器にも異変を感じるなどの場合は、早めに検査を受けるようにしましょう。パートナーも感染していることが考えられますので、必ず一緒に検査をして安全を確かめることがお互いにとって重要になります。
咽頭淋病だけでなく、その他の性感染症を同時に感染している恐れもありますので、性感染症に対する正しい知識を身につけて、自分とパートナーを守りましょう。
医療機関へ行くのが難しい方は自宅で検査できる「FemCHECK」がおすすめ
医療機関へ行くのが恥ずかしい、忙しくて病院へ行く時間が確保できない方はFemCHECKで自宅で簡単に性病の検査ができます。
FemCHECKは婦人科医が作った、自宅で検査ができる郵送の性病検査キットです。
結果が陽性であった場合は、オンライン診療で診察からお薬の処方まで自宅で完結させることが可能です。
おりものの異常がある、性病の心配がある方は一度検査してみることをお勧めします。
以下のバナーから注文することができます。時期によっては品薄になる場合があるのでご注意ください。