最近陰毛の部分がかゆい、という人はいませんか?かゆみの原因の一つに毛ジラミ症という病気があります。「今でもシラミっているの?」 と疑問に思う人もいるかもしれません。毛ジラミ症は、現代でも感染する可能性のある病気です。
性感染症のひとつである毛ジラミ症とは?
毛ジラミ症は「ケジラミ」という1mmに満たない小さな寄生虫が陰毛に寄生することで発症する性感染症です。症状として激しいかゆみが現れるのが特徴です。検査方法は比較的簡単なうえに、治療用のシャンプーやパウダーなどで完治することのできる病気です。毛ジラミ症について知っておくことで、「もしかしたら毛ジラミ症かもしれない」と思ったときに適切な対応ができるでしょう。
ケジラミとアタマジラミは違うの?毛ジラミ症の特徴は?
「シラミ」と聞くと、アタマジラミを思い浮かべる人が多いと思います。人に寄生するシラミ類はアタマジラミ、ケジラミ、コロモジラミの3種類がおり、アタマジラミとケジラミは別の寄生虫です。シラミ類のうち、性行為での感染する「性感染症」となるのはケジラミだけです。
ケジラミの大きさはおよそ1mmほどで、陰毛の根元の部分に虫眼鏡などをかざせば見つかることもある大きさです。ケジラミの主な感染経路は性行為で、主に陰毛に寄生します。
一方、アタマジラミの大きさはおよそ2~4mmで、頭頂部や襟足、耳の後ろなどで発見されます。アタマジラミは人の髪の毛に寄生し、10歳以下に多く見られる病気です。頭同士が接触することで感染します。
このようにケジラミとアタマジラミは違うものですが、予防法や治療法は同じです。アタマジラミの場合は皮膚科、ケジラミの場合は皮膚科や婦人科を受診することをおすすめします。
見るだけでわかる?意外とかんたんな毛ジラミ症の検査方法
毛ジラミ症の検査方法は、どのようなものなのでしょうか?ケジラミの検査は主に陰毛の毛根部分の視診で診断できます。
ケジラミは、血を吸っていない状態では白っぽく見えるため、フケと間違うこともあります。しかし、卵は毛の根本部分に産みつけられ、フケと違って触ってもかんたんには取ることができません。また、下着に黒い点のようなものがつくことがありますが、これはケジラミが排泄した糞です。
ケジラミがいた場合はピンセットで採取してスライドガラスにのせ、顕微鏡で観察をすることで診断ができます。また、産みつけられた卵を確認することでも診断可能です。
毛ジラミ症は、ケジラミを見つけることができれば、症状が出ていなくても検査可能です。かゆみがないからと放っておかず、ケジラミかもしれないと思ったらすぐに病院を受診して検査を受けましょう。
毛ジラミ症だったけどどうしたらいい?治療方法を教えて!
毛ジラミ症であると判明したら、すぐに治療を開始しましょう。では、治療方法にはどのようなものがあるでしょうか?
もっとも簡単な方法は、陰毛を剃ってしまうことです。これにより、陰毛だけに寄生した卵やケジラミであれば除去することが可能です。しかし、陰毛以外の部分に寄生している場合には、陰毛の剃毛だけでは駆除しきれません。その場合、治療用のパウダーやシャンプーを用いることで治療が可能です。
ただし、このシャンプーやパウダーは、卵に対してはあまり効果がありません。孵化をしてから確実に殺虫できるよう、3~4回ほど2日ごとに繰り返して使用しましょう。完治するまで確実に治療を続けることが大切です。さらにケジラミは、人から離れても48時間程度は生存可能といわれています。タオルや毛布などからもうつしてしまう可能性があるため、寝具やタオルなども洗濯しましょう。
そして何よりも重要なのが、感染中は性行為を控えてパートナーにうつさないようにすることです。どちらかが治っても、一方が感染しているままでは、再び感染する可能性があります。パートナー以外の家族も感染している可能性があるため、一緒に治療することをおすすめします。
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かゆみとさよなら!毛ジラミ症の感染を予防するには?
毛ジラミ症を予防することはできるのでしょうか?毛ジラミ症は多くの場合、感染した人の陰毛に接触することで感染します。そのため、コンドームなど避妊具の使用では陰毛の接触を防げないため感染を予防できません。感染している人、感染しているかもしれない人との性行為を避けることは一番の予防になるでしょう。
それ以外の予防法としては、タオルや毛布などを他人と共用しないことです。もしもパートナーが風俗に通っていたら、毛ジラミやそのほかの性感染症にかかっている恐れもあります。パートナーの行動や体調にも注意が必要です。
まとめ
ほかの性感染症と比較すると、毛ジラミ症は深刻な病気ではありません。しかし、かゆみはとても不快なものです。毛ジラミ症かもしれないと思ったら早めに受診し、完全に治療をしてしまいましょう。
そして、感染がわかったらなるべく早くパートナーも一緒に治療を受けることが何より大切です。タオルや寝具などを介して他人に感染させてしまう可能性があるため、こまめに洗濯をすることで予防していきましょう。
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参考文献
・日本感染症学会:ケジラミ症
http://jssti.umin.jp/pdf/guideline2008/02-9.pdf