「ピルを服用したい」「ピルには色々種類があるみたいだけど、自分にはどれが良いのかな?」とお困りの方はいませんか?
本記事では、ピルの種類や、それぞれの特徴、目的別におすすめのピルを徹底解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
ピルとは
ここではまず、ピルについて基礎知識や期待できる効果、メリットデメリットをご紹介します。
【ピルの基礎知識】
ピルとは、女性の卵巣で作られる「卵胞ホルモン」と「黄体ホルモン」を配合した経口避妊薬です。
この2つのホルモンには卵胞の成熟を促す卵胞刺激ホルモンの分泌を抑制して排卵を止める働きがあります。これらが含まれたピルを服用することで、受精卵が子宮内膜へ着床するのを防いだり、卵巣を休ませた状態にし、排卵を起こさないようにして妊娠を防いだりする効果が期待できます。
また、ピルには避妊以外にも月経による症状の緩和やニキビ治療、子宮や卵巣に関する病気の発症率を低下させる効果も期待できるため、避妊以外の目的で服用する女性も増えています。
配合される黄体ホルモンの4つの種類
ピルに配合されている卵胞ホルモンはエストロゲンと呼ばれるものです。
そして、黄体ホルモンの種類は4種類あり、開発された順に第1世代~第4世代と呼ばれています。
- 第1世代:ノルエチステロン(NET)
- 第2世代:レボノルゲストレル(LNG)
- 第3世代:デソゲストレル(DSG)
- 第4世代:ドロスピレノン(DRSP)
ピルの服用周期やシート数、粒数の違い
ピルには服用期間やシート数、粒数など服用するピルによって違いがあります。
- 1シート21錠タイプ:1カ月のうち、21日間実薬を服用し、7日間の休薬期間
- 1シート28錠タイプ:1カ月のうち、21日間実薬を服用し、残り7日間は偽薬を服用
- フレックスタイプ:1シート28錠で最大120日間服用可能。その後は4日間休薬期間
- 連続服用タイプ:28錠タイプが2シート、21錠タイプを1シートで計77日連続して服用。3シート服用後は自分で7日間休薬期間を作る
このようにタイプによって実薬の服用期間や休薬期間が違うため、自分のライフスタイルに合ったピルを選ぶことで飲み忘れによる妊娠のリスクの高まりを防いだり、月経による症状の緩和を維持することができるでしょう。
ピルでよく耳にする〇相性とは
ピルは、1シート(21錠)に配合されているホルモン量によって「1相性」「2相性」「3相性」に分類されています。
1相性は全ての錠剤に含まれるホルモン量が全て一定のタイプのことで、生理周期を気にせずいつでも飲み始めることができる点が特徴です。
そして、2相性は錠剤に含まれるホルモン量が2段階で変わり、3相性は生理周期に合わせてホルモン量が調整されているタイプのことを指しています。
女性の体は生理周期によってホルモン量が変動しますが、その変動に合わせて配合量が違うピルを服用する2相性や3相性のピルのことを「段階型ピル」と呼びます。
ピルで期待できる効果
ピルで期待できる効果は以下の通りです。
- 避妊
- 生理周期のコントロール
- 月経に関する症状の緩和
- ニキビの改善
- 子宮や卵巣に関する病気の発症リスク低下
ピルと聞くと、避妊のために服用するというイメージが強いとされていますが、避妊以外にも生理に関する症状や病気(PMSなど)を緩和させたり、発症リスクの低下やニキビを防ぐ効果も期待できます。
ピルのメリットデメリット
ピルのメリットは、きちんと服用している場合約99.7%の避妊効果を得られるところです。
またその他にも、ピルで期待できる効果の項目で解説した効果に関しても女性にとっては嬉しいメリットです。
一方、飲み忘れなどが多発すると期待できる避妊効果が薄れたり、飲み方によってはピルの期待できる効果を減少させてしまったりするなどのデメリットが挙げられます。
その他にも、人によっては頭痛や吐き気などの副作用が起こることもデメリットと言えるでしょう。
4種類のピル
次は、4つの種類のピルについて徹底解説していきます。
①中用量ピル
中用量ピルは、緊急的な避妊や生理のコントロール、月経に関する症状など幅広いお悩みに対応しているピルです。また、アフターピルとして処方されることもあります。
中用量ピルは、低用量ピルと比較すると配合されているホルモン量が多いため、多少の飲み忘れでは期待できる効果にさほど影響は与えません。しかしその分、副作用が出やすい点が難点です。
中用量ピル一覧
- ノルレボ
- プラノバール
- エラ
②低用量ピル
低用量ピルは、中用量ピルと比較して、ホルモン量を少なくすることで副作用のリスクをできるだけ低下させてあるピルのことで、緊急性がない場合は、低用量ピルが処方されます。
期待できる効果は中用量ピルと同じく、避妊や生理に関する症状など幅広く適応しており、中用量ピルを服用すると副作用が強く出てしまう場合には、低用量ピルに変更されることもあります。
低用量ピル一覧
- トリキュラー
- マーベロン
- ラベルフィーユ
- ファボワール
③超低用量ピル
超低用量ピルは低用量ピルよりもエストロゲンの含有量が少ないピルのことです。
低用量ピルと比較すると、超低用量ピルに避妊効果は期待できないため、生理に関する症状や子宮内膜症の治療目的で処方されています。
超低用量ピル一覧
- ルナベルULD
- フリウェルULD
- ジェミニーナ
- ヤーズ
④ミニピル
ミニピルは、中用量ピルや低用量ピルに配合されているエストロゲンは含まず、黄体ホルモンであるプロゲストーゲンのみが含有されているピルのことです。
プロゲストーゲンは、プロゲステロンと合成ホルモンである「プロゲスチン」を合わせたもので、このプロゲストーゲンのみが含有されているミニピルは、POPと呼ばれることもあります。
期待できる効果は避妊や子宮内膜の改善で、低用量ピルでも副作用が強く出てしまった場合には、このミニピルに変更されることもあります。
またミニピルは、エストロゲンが含有されるピルを処方できない喫煙者や授乳中の女性にも処方することができることや、副作用の少なさ、継続しやすい点が魅力です。
ミニピル一覧
- セラゼッタ
- ノリディ
ピルの副作用
次は、ピルの副作用について「飲み始め」と「使用を中止するべき副作用」をご紹介します。
ピルの飲み始めに多い副作用
- 吐き気
- 頭痛
- 胃のむかつき
- むくみ
- 乳房の痛みなど
ピルを服用し始めると最初の4日~5日間は上記のような副作用が現れることがあります。
その他にも、少量の不正出血が起こることもありますが、たいていはピルに体が慣れると治まるものですので数日間様子を見てください。
直ちに使用を中止するべき副作用
- 片側だけ下肢にむくみ
- 突然の息切れ
- 四肢の脱力
- 激しい頭痛
- 胸痛
- 急性視力障害など
上記の症状はごく稀に発症する可能性のある血栓症の症状です。
血栓症は、血管内で血液が固まって塊となった血液が血管を詰まらせる病気のことで、最悪臓器の壊死を起こす可能性があります。
また動脈血栓症は心筋梗塞や脳梗塞、静脈血栓症は肺塞栓症を起こす病気のため、上記のような症状を感じたらただちに使用を中止して処方を受けた病院へ相談してください。
【目的別】おすすめのピル
次は、目的別におすすめのピルを徹底解説していきます。
避妊
避妊目的でピルを服用する場合は「中用量ピル」または「低用量ピル」がおすすめです。
72時間以内にピルを服用することが大切で、服用する時間が早い程避妊効果は高くなります。
肌荒れ
ニキビなどの肌荒れ改善目的でピルを服用する場合は「低用量ピル」がおすすめです。
ニキビの原因は様々ですが、ピルに含有されているエストロゲンには黄体ホルモンの種類でも解説したアンドロゲン作用である「体重減少」や「食欲増加」を減少させるはたらきがあります。
そのため、皮脂の過剰分泌を抑制して肌荒れを改善したり、エストロゲンとプロゲステロンによって体内のホルモンバランスを整えたりすることができるため、肌荒れの改善効果が期待できます。
生理をコントロール
生理のコントロール目的でピルを服用する場合は「中用量ピル」がおすすめです。
生理をコントロールしたい日の5日~7日前から中用量ピルを服用することで、最長7日間生理を遅らせることができます。
しかし、個人差があるため全ての方が最長7日間生理を遅らせることができるわけではありません。
また、服用をやめると2日~3日程度で生理が来るため、ナプキンなどの生理用品の準備をしておくと良いでしょう。
ただし、注意点として中用量ピルを服用している最中で生理が来た場合は、服用を中止して処方を受けた病院へ相談することをおすすめします。
生理痛緩和
生理痛の緩和目的でピルを服用する場合は「低用量ピル」がおすすめです。
低用量ピルは、避妊や月経不順などに効果的なだけでなく、排卵を抑制する作用で子宮内膜を厚くなりにくくする効果も期待できます。これにより経血量が減少して生理痛の改善につながると考えられています。
PMS
PMS(月経前症候群)の改善目的でピルを服用する場合は「低用量ピル」「超低用量ピル」がおすすめです。どちらもホルモンバランスが乱れる時期である生理前に服用することで、ホルモンバランスを整えてPMSの症状を改善する効果が期待できます。
低価格
低価格でピルを服用したい場合は「ミニピル」がおすすめです。
ミニピルは、ピルの中でも比較的安価であるため、継続的に服用して避妊効果を得たい場合や子宮内膜症を改善したい場合は、ミニピルの服用をおすすめします。
ピルの種類に関するよくある質問【Q&A】
次は、ピルの種類に関するよくある質問【Q&A】に回答していきます。
- 処方されたピルを別種類のピルに変更することはできますか?
- はい。処方されたピルの副作用が強くて服用が続けられない場合や、服用目的が変わった場合は処方を受けている病院へ相談してください。
- ピルは種類や使用目的によって保険は適用されますか?
- ピルが保険適用となるのは医師の診断の結果、月経困難症や子宮内膜症と判断された場合です。
その他にも、経血量が多い場合や生理痛がひどい場合に適用される場合もあります。
ただし、避妊目的で処方されるピルは保険適用外です。
- ピルの種類の中で副作用が強く出やすいのはどれですか?
- ホルモンの配合量が多い中用量ピルは副作用が強く出る可能性があります。
個人差があるので、もし副作用が心配な場合は服用目的と副作用について医師と相談し、ご自身に合ったピルを処方してもらってください。
- ピルの種類から高容量ピルがなくなったのはなぜですか?
- 高用量ピルは重篤な副作用リスクを踏まえて、現在ではほとんど処方されることはありません。
ピルについて更に詳しく知りたい方はルナレディースクリニックへ
今回はピル種類やよくある質問【Q&A】などを徹底解説しました。
ルナレディースクリニックはお客様一人ひとりの悩みに寄り添い、ベストな対処法を提案させていただきます。今回の記事も、参考になれば幸いです。
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