「同意書なしでも病院で中絶手術を受けられる?」
「同意書なしで中絶できるケースがあるのか知りたい」
望まない妊娠をした女性のなかには、このように悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
結論、人工中絶手術する場合には基本的に本人と男性パートナーの同意書が必要です。母体保護法といわれる法律に則り、双方の署名と捺印がなければ原則として手術はおこなえません。
ただし、相手がわからなかったり性被害を受けたりして妊娠した場合には、本人の同意だけで中絶できるケースもあります。
本記事では中絶手術を受けるときに同意書が必要な理由を詳しく解説します。あわせて、同意書なしで中絶できる場合も紹介しているため、望まない妊娠で悩んでいる方は参考にしてください。
中絶手術を受けるには同意書が必要

中絶手術を受けるためには、原則として本人と男性パートナーの同意書が必要です。
母体保護法といわれる法律により定められているため、双方が同意書へ署名と捺印をしなければ基本的に手術ではきません。
また、18歳未満の未成年が中絶手術を受ける場合は、パートナーだけでなく親の同意書も求められます。中絶手術は心身に大きな負担がかかるほか金銭的な問題も生じるため、保護者のサポートが必須です。
ただし、妊娠の経緯によっては同意書が不要となるケースもあります。たとえば相手がわからない、すでに亡くなっているなどで同意を得られない場合は医療機関へ相談するとよいでしょう。
ここでは、中絶手術に同意書が必要な理由を詳しく解説します。
中絶手術の同意書とは
中絶手術の同意書とは、本人と男性パートナーが中絶に同意の意思を示す書面のことです。
双方および未成年の場合は保護者の住所や氏名、電話番号などを記載し捺印をして医療機関へ提出します。
同意書は中絶手術を受ける医療機関で用意されているため、不明点があれば医師や看護師に聞いておきましょう。
また、母体保護法によると中絶に同意するパートナーとは配偶者にあたります。
婚姻関係がなくて実質的に夫婦と同じ関係にある事実婚の場合は法律上、同意書は必須ではありません。しかし、子の父親にあたる男性パートナーの同意を求める医療機関もあります。
中絶手術に同意書が必要な理由
中絶手術を受けるのに同意書が必要なのは、母体保護法によって義務付けられているからです。
母体保護法 第三章 母性保護

引用:e-GOV法令検索|母体保護法(昭和二十三年法律第百五十六号)
妊娠により母体が健康被害を受ける可能性がある、拒絶できなかったことにより望まない妊娠をした場合、医師が中絶手術をできるとしています。
母体保護法には「本人及び配偶者の同意を得て」と記載があるため、双方の同意がなければ法律的に中絶手術できません。
ただし、例外的にパートナーの同意なしで手術できるケースがあります。

引用:e-GOV法令検索|母体保護法(昭和二十三年法律第百五十六号)
相手が誰かわからない、亡くなっているため同意の意思を示せない場合は、本人の同意書だけで中絶手術を受けられます。
何らかの事情によりパートナーの同意を得られない方は医師へ相談してみてください。
中絶手術に関する不安や悩みがある方は、ルナレディースクリニックにご相談ください。

相手の同意書なしで中絶手術を受けられるケース

前述したように母体保護法の第百五十六号によると、パートナーの同意書なしでも中絶手術を受けられるケースがあります。
- 相手がわからない場合
- 相手と連絡が取れない場合
- 相手がすでに亡くなっている場合
- 性被害によって妊娠した場合
上記以外に、個別の事情によっては同意書が必要かどうか医師に相談できます。

クリニックの現場では、ここに書かれているようなご事情で相談に来られる方は決して珍しくありません。パートナーとの関係で深く悩まれ、一人で何とかしなければと、勇気を振り絞って来院されます。
法律は、あなたのような方を守るために例外を認めています。まずはご自身の安全を第一に、私たち専門家を頼ってください。
もし性被害で妊娠したなら、警視庁が設置している相談窓口(#8103)の利用を検討してください。性別や年齢にかかわらず利用でき、秘密を守ってくれるため安心して相談できます。
参照元:警視庁|性犯罪被害相談電話(全国統一)「#8103(ハートさん)」
未成年の中絶手術は親の同意書が必要

中絶手術には本人と男性パートナーの同意書が必要ですが、18歳未満の未成年だと親の同意も求められます。
保険適用外の中絶手術はある程度の費用がかかることから、未成年だけで解決するのは困難です。さらに、心身ともに負担がかかる手術のため保護者のサポートが必要不可欠です。
ただし、親に言いたくないからと自分で同意書を書くと犯罪になります。下記にて理由を詳しく解説するため、参考にしてください。
親の同意書を自分で書くのはNG
親の同意書を自分で書いたり、偽名を使ったりすると有印私文書偽造罪にあたります。
中絶手術の同意書を偽造したとして罪に問われてしまうからです。
家族にバレたくない、1人で手術を受けたいなどの理由で親の同意書を自分で書こくことは絶対にしてはいけません。

「親にだけは絶対に知られたくない」そのお気持ちは、痛いほどわかります。ですが、同意書を自分で書いてしまうことは、法的な問題以上に、手術後のあなたの体を守るという点で、とても危険なことです。
万が一、体調が急変したとき、一番近くにいるご家族が何も知らないという状況は絶対に避けなければなりません。私たちは、どうすればあなたにとって一番安全な方法をとれるか、一緒に考えることができます。
また、中絶後は出血したり下腹部痛をともなったりする可能性もあり、安静に過ごす必要があります。手術当日はもちろん、手術したあともサポートが必要になるため親に相談して同意をもらいましょう。
親の同意を得るのが難しければ病院に相談を
親の同意を得るのが難しい、どうしても親に言いづらい方は1人で抱え込まずに医療機関へ相談するのがおすすめです。
中絶手術ができる基準は、通常妊娠満22週未満と母体保護法で定められています。22週以降になると、いかなる場合でも中絶手術は受けられません。
最適な方法を医師と一緒に考え早めに決断するためにも、妊娠が判明したら医療機関へ相談しましょう。
中絶手術を受ける場合、妊娠22週未満までに決断が必要です。一人で悩まず、早めに専門家に相談しましょう。

中絶手術の同意書に関するよくある質問

中絶手術の同意書に関して、よくある質問を紹介します。
親の同意書が必要なのは何歳まで?
親の同意書が必要となるのは、成人年齢となる18歳未満の方です。
17歳までは必要で、19歳から親の同意書はいりません。
未成年の中絶で親にバレない方法はある?
通常、未成年の中絶は親の同意書が必要になるため隠し通すことは困難です。
バレたくないからと親の同意書を自分で書くと偽造と見なされ、罪に問われてしまいます。
さらに、未成年の中絶は金銭面や心身の負担を考えると保護者のサポートが必要不可欠です。同意書をもらうためにも親への相談は必須ですが、どうしても言いづらい場合は医療機関へ相談してみましょう。
誰にも言えない。公的な相談窓口はありますか?
クリニックに直接相談する前に、まずはあなたの気持ちや状況を親身に聞いてくれる場所があります。これから紹介するのは、すべて無料・匿名で相談できる公的な窓口です。相談した内容が、あなたの許可なく外部に漏れることは決してありません。
あなたの味方になってくれる専門家が、どうすれば安全に問題を解決できるか、一緒に考えてくれます。
- #8008 (はれれば)
配偶者からの暴力に関する相談窓口 (DV相談ナビ)。最寄りの配偶者暴力相談支援センターにつながります。 - #8891 (はやくわんすとっぷ)
性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター。産婦人科医療やカウンセリング、法律相談などの専門機関と連携しています。 - #8103 (ハートさん)
警察の女性に対する暴力の相談窓口につながります。
その他にも、全国各地に窓口があり電話やメールで相談できる「妊娠SOSネットワーク」や、24時間対応の電話やメール、チャットで専門の相談員につながる「DV相談プラス」があります。
まとめ

中絶手術を病院でするためには、原則として同意書が必要です。母体保護法に定められていることから、本人と男性パートナーの署名と捺印がなければ原則として手術はおこなえません。
未成年の場合は保護者の同意書も求められます。家族にバレたくないからと、親の同意書を自分で書くことは有印私文書偽造罪にあたるため、絶対にやめてください。
ただし、例外的に同意書なしでも中絶手術できるケースがあります。たとえば、相手がわからなかったり、すでに亡くなっていたりして連絡できないときは本人の同意だけで手術可能です。
望まない妊娠をしてしまった方は、中絶手術への不安や精神的ダメージが大きく、誰に話したらよいのかわからない場合もあるでしょう。
中絶手術は通常妊娠満22週未満と母体保護法で定められているため、早めの決断が重要です。1人で抱え込まずに周囲や病院の医師へ相談し、最適な方法を考えていきましょう。

たくさんの情報に触れ、不安な気持ちでいっぱいかもしれません。中絶手術は、心にも体にも大きな負担がかかる、とても大切な医療です。どんなご事情があっても、ご自身を責めないでください。
私たちは、あなたが安全な環境で適切な医療を受け、そして、心穏やかな日常を取り戻せるよう、全力でサポートします。


