月経による生理痛や出血が原因で、大事な予定を楽しめない方も多いのではないでしょうか。
月経移動ピルを服用することで、自分の都合に合わせて生理日を調整できます。
ただし、ピルの服用はホルモン剤の影響を受けるため、正しい飲み方と注意点を押さえなければなりません。
本記事では、月経移動ピルで生理日をずらす方法や正しい服用のタイミング、失敗しないポイントを丁寧に解説します。
月経移動ピルについて理解し、生理に左右されない快適な生活を送りましょう。
月経移動ピルで生理日をずらす方法
大事な予定と生理がかぶらず快適に過ごせるよう、日程を調節するために用いるのが「月経移動ピル」です。
「低用量ピル」または「中容量ピル」を服用して、生理が始まるタイミングをずらします。
- 低用量ピル・・・生理を早めるときに使用することが多い
- 中容量ピル・・・生理を早めるとき、遅らせるときのどちらにも使用する
生理には、エストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンの分泌量が大きく関係しています。
女性ホルモンが含まれるホルモン剤「ピル」の服用によってホルモン量を調節することで、生理日をずらせるメカニズムです。
低用量ピルか中容量ピルのどちらを使用するかは病院によって異なるため、必ず受診して自分に合ったピルを処方してもらいましょう。
医師の指示に従った正しいピルの服用により、無理なく生理日の調整ができます。
生理を早める場合のピルの飲み方
生理日を早めたい場合、直近の生理初日から7日目までに低用量または中用量ピルの服用を開始します。
ピルは、10~14日ほど継続して服用するのが一般的です。
ピルの服用が終わったあとは2〜3日ほどで次の生理が始まるため、本来の予定よりも生理日を早めることができます。
ただし、ピルの副作用として不正出血が起こる可能性を視野に入れましょう。
「服用中止後に生理がなかなかこない」「早めた生理が長引く」など、大事な予定とかぶってしまう恐れもあります。
また注意点としては、前回の生理初日から7日の間にピルを飲み始める必要があるため、イベントが直前に決まった場合は生理を早められません。
生理を遅らせる場合のピルの飲み方
生理日を遅らせたい場合は、次に来る予定日の5~7日前から中用量ピルの服用を開始し、生理を止めたい日まで服用します。
ピルを遅らせる月経移動は、ピルの飲み忘れがなければ月経移動の成功率が高く、早める場合よりも確実な方法です。
イベントが直前に決まった場合も1週間前を目安にピルの処方を受ければ、月経移動に間に合うでしょう。
ただし、大事な予定日にもピルを服用する必要があるため、イベントの当日に副作用が出る可能性もあります。
忙しいなかでピルの飲み忘れにも注意しなければいけません。
生理を遅らせる方法の場合、排卵日以降にピルの服用を開始するため、妊娠の可能性がある方は内服できない点に注意しましょう。
月経移動ピルに副作用はある?
月経移動ピルは生理日の調整に有効で気軽に飲める薬ではありますが、副作用が出る可能性もあります。
月経移動ピルの服用による主な副作用としては、以下の症状が考えられます。
【月経移動ピルによる副作用】
- 吐き気・嘔吐
- 頭痛
- 倦怠感・眠気
- 乳房の張りや痛み
- 血栓症 など
副作用の現れ方や程度には個人差がありますが、ホルモン量の多い「中用量ピル」で生理周期を変更する場合、副作用が出る可能性が高くなります。
特に、服用開始当初は経過観察が重要です。
ピルの内服によって排卵後と同じ状態になるため、「体温が高く感じる」「胸の張りや少しむくんだりする」などの軽い症状が出ることもあるでしょう。
ただし、強い副作用が現れた場合はすぐに服用を中止し、医師に相談のうえ処方内容の変更を検討する必要があります。
こんな場合には服用を中止して受診しましょう
月経移動ピルの副作用のなかでも「血栓症」の症状が出た場合は、すぐに服用を中止して医師の診察を受けましょう。
血栓症とは、主にふくらはぎにある深部静脈に血液の塊ができ、静脈が詰まる病気です。
血栓症の疑いのある症状と血栓症防止のためにできる対策は、以下のとおりです。
【血栓症の疑いのある症状】
- 足の痛み・むくみ・しびれ
- 押しつぶされるような胸の痛み
- 息切れ・呼吸困難
- 激しい頭痛・めまい
- 視力異常・意識障害
【血栓症を防止するためにできること】
- 長時間同じ姿勢を取らず適度に体を動かす
- 水分をしっかりとる
- ストレスを溜めない
- 禁煙・肥満に気をつける
血栓症のリスクを減らすためにも、上記の対策を行いながらピルを服用することをおすすめします。
気になる症状が出た場合はすぐにピルの服用を中止し、医療機関を受診してください。
月経の移動に失敗しないためのポイント
月経移動ピルを使って生理日を調整する際に、失敗しないためのポイントを紹介します。
【月経の移動に失敗しないためのポイント】
- 生理周期を把握する
- 生理周期が乱れないよう生活習慣を整える
- 月経移動の方法をよく理解しておく
- ピルの飲み忘れに注意する
まずは自分の生理周期をしっかり把握し、規則正しい生活を心がけましょう。
睡眠不足や過度のストレスは、生理不順の原因にもなります。
月経移動のピルの飲み方について正しく理解できているかも重要です。
ピルを飲み忘れたり不規則に服用したりすると、ピルの効果が薄れ、月経移動に失敗してしまう恐れがあります。
月経移動はホルモンバランスの調整をともなうため、医師の診断によって決められた方法を守りながら適切に行いましょう。
月経移動ピルに関してよくある質問
月経移動ピルに関して寄せられる質問のなかから、代表的なものをいくつか紹介します。
【月経移動ピルに関しるよくある質問】
- 生理は早めるか遅らせるかどっちがいい?
- すでに低用量ピルを服用中でも生理をずらせる?
- 月経移動ができない人ってどんな人?
- 生理をずらしたい場合いつ受診すればいい?
安心してピルを服用できるように、次の項目で月経移動ピルに関する疑問を解決していきます。
生理は早めるか遅らせるかどっちがいい?
イベントや旅行などの予定が早めにわかっている場合は、生理を早める方法がおすすめです。
生理を早める場合、イベントの当日中にピルを飲む必要がありません。
低用量ピルでも対応できるため、副作用のリスクが低くなるメリットもあります。
ただし、生理を早める場合は前回の生理中からピルの服用が必要なため、イベントが直前に決まった場合は、生理を遅らせる対応になるでしょう。
すでに低用量ピルを服用中でも生理をずらせる?
すでに低用量ピルを服用している場合でも、医師の指示のもとで生理日をある程度ずらせます。
ただし、現在服用中のピルの種類によって月経移動ができるかは異なります。
服用中のピルを飲むタイミングを変更する対応も必要です。
ピル服用中に生理をずらしたい場合は、自己判断で服用せず、必ず医師に相談しましょう。
月経移動ができない人ってどんな人?
なかには、月経移動のためのピルの服用が難しい方もいます。
以下の項目に当てはまる方はピル服用のリスクが高いため、月経移動はおすすめできません。
- 40歳以上
- BMIが30以上
- 妊娠中もしくは授乳中
- 喫煙本数が35歳以上で1日15本以上
- 偏頭痛持ち
- 既往歴に血栓症
- 肝機能障害・心疾患や腎疾患
- 糖尿病
- 高血圧 など
一般的には、生理のサイクルが規則的で、健康上の問題がない方であれば月経移動は可能です。
自分の体の状態を正しく理解したうえで、月経移動ができるかどうか医師の診察を受けましょう。
生理をずらしたい場合いつ受診すればいい?
生理を早めるか遅らせるかによって、月経移動ピルをいつから飲み始めるかが異なります。
それぞれの受診の目安と受診の際に必要な情報は、以下のとおりです。
【受診の目安】
生理を早めたい場合 | ずらしたい生理の1つ前の生理開始前、もしくは開始から5日以内に受診 |
生理を遅らせたい場合 | ずらしたい生理の1週間前までに受診 |
- 最後の生理日
- 次回の生理予定日
- 生理になりたくない日
ピルを飲み始めるタイミングがずれると、上手く生理を移動できない可能性があります。
普段から自分の生理周期を把握し、大事な予定に合わせて早めに受診しましょう。
まとめ
「毎月の生理の症状がつらい」「旅行やイベントなど大切な日に生理が重ならないよう調整したい」という悩みを抱える方にとって、月経移動ピルは強い味方になってくれるでしょう。
月経移動にはホルモンバランスの調整がともなうため、医師の適切な判断と指導が不可欠です。
特に、血栓症の疑いのある症状が現れた場合はすぐに服用を中止し、医療機関を受診しましょう。
生理日を上手く移動させるには、早めの準備と正しい服用方法に加え、生理周期の把握と規則正しい生活を心がけることが大切です。
月経移動ピルによる生理日調整で生理と上手く付き合い、つらい症状を気にせず大事な予定を楽しみましょう。