「生理が2週間以上続いていて、もしかして更年期?それとも病気?」 と不安に感じる方もいるでしょう。
結論から言うと、更年期に伴う生理の変化で2週間以上続くことはあります。しかし、子宮筋腫や子宮体がんなど、治療が必要な病気が隠れている可能性もゼロではありません。
この記事では、生理が長引く原因と疑われる病気の症状について解説します。
- 「2週間続く生理」は正常?異常?
- 更年期以外に考えられる7つの病気と症状
- 「今すぐ受診すべきか、様子見でよいか」を見極めるチェックリスト
「更年期だから多少の遅れは仕方がない」といって放置していると、病気の進行を招くことにもなりかねません。早期発見のためにも、ご自身の症状を本記事の内容と照らし合わせてみてください。
更年期で生理が2週間以上続くことはある?

結論、更年期による生理の変化で、2週間以上続くことはあります。
更年期(閉経前後5年、一般的に45〜55歳)を迎えると、女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)の分泌が不安定になります。その結果、以下のような生理の変化が起こります。
- 生理周期が乱れる(短くなったり長くなったり)
- 経血量が増えたり減ったりする
- 生理期間が2週間以上続くことがある
なぜ更年期には生理が長引くの?
更年期には排卵を伴わない無排卵月経の確率が高まり、卵巣からの卵子の放出が不規則になります。無排卵月経では、通常の生理周期とは異なり、卵胞が正常に成熟しないため、排卵が起こりません。
その結果、子宮内膜が十分に剥がれずに厚くなりすぎることがあり、長期間の出血や周期の乱れを引き起こす可能性があるのです。
- 排卵がないため、プロゲステロン(子宮内膜を剥がすホルモン)が分泌されない
- 子宮内膜が厚くなりすぎる
- 剥がれ落ちるタイミングが遅れ、出血が長引く
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更年期以外で生理が長引く場合に考えられる原因

更年期障害の症状によって生理が長引くことは、珍しいことではありません。しかし、病気など他の理由で生理が長引いている可能性もあります。
生理が長引く主な原因は、以下のとおりです。
- 一時的なホルモンバランスの乱れ
- 無排卵性周期症
- 子宮筋腫
- 子宮腺筋症
- 子宮内膜ポリープ
- 子宮体がん
- 子宮頸がん
それぞれ解説します。
一時的なホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスの乱れは、生理周期や出血量にも影響をもたらす要因の一つです。
- 生活のストレス
- 不規則な生活リズム
- 食生活の乱れ
このような要素は一時的にホルモンバランスを乱し、生理パターンに影響するケースがあります。
ホルモンバランスが乱れると、女性ホルモンの分泌量が増加または減少し、子宮内膜が正常に剥がれ落ちなくなってしまいます。その結果、生理が長引き、出血が止まらなくなるのです。
無排卵性周期症
無排卵周期症は、生理の出血があるにもかかわらず、排卵がない状態をさします。無排卵性の月経では、生理の周期が極端に乱れ、生理期間が通常よりも短い、もしくは8日以上長引くのが特徴です。
卵巣が卵子を十分に成熟させられず、排卵が発生しないもしくは排卵が不完全な形で起こります。その結果、生理周期が不規則になり、生理が長引きます。
更年期における排卵性周期症のおもな原因は、卵巣機能の低下です。
以下の症状がある場合、無排卵性周期症が疑われます。
- 経血量が極端に多い・少ない
- おりものが茶色やピンク色
- 基礎体温が高温期と低温期に分かれない
経血の量やおりものの色を注意深く観察するようにしましょう。
子宮筋腫
子宮筋腫(きんしゅ)は、子宮の筋肉層にできる良性の腫瘍です。原因は明確ではありませんが、エストロゲンの影響を受けて成長すると考えられています。
子宮筋腫の場合、できた腫瘍による血流の変化や子宮内の圧迫により、生理が長引きます。また、子宮内膜の正常な剥離を妨げることも出血の要因です。
下腹部周辺に違和感を感じるほか、下記のような症状がある場合は腫瘍が育っている可能性があります。
- レバーのような月経血
- 月経痛や腰痛・腹痛
- 下腹部の圧迫感や膨満感
- 頻尿
痛みや月経量の増加により、生活にも影響がおよぶ可能性があるため、上記のような症状がみられる場合には、婦人科を受診するようにしましょう。
子宮腺筋症
宮腺筋症は、子宮内膜に似た組織が子宮の筋層内に入り込み、増殖することで起こる病気です。原因は明確に解明されていませんが、慢性的な炎症やホルモン環境の影響が関与すると考えられています。
子宮内膜が子宮の筋層に侵入して増殖するため、正常な生理周期での剥離が困難になります。子宮内膜が適切に剥がれ落ちず、生理が長引くのです。
生理が長引く際に下記の症状が伴う場合は、子宮腺筋症かもしれません。
- 性交痛
- 排便痛
- 慢性骨盤痛
- 腹満感
子宮腺筋腫も、自然によくなることはないため、気になる場合は早めの受診がオススメです。
子宮内膜ポリープ
子宮内膜ポリープは、子宮内膜が増殖してイボ状のポリープができる良性の病気です。
ポリープの成長や生理時の出血の程度によって、周囲の子宮内膜が破壊されることがあります。破壊された子宮内膜が再生されるまでに時間を要すため、生理が長引いてしまうのです。
子宮内膜ポリープでは、下記のような貧血の症状が見られます。
- 不正出血
- 貧血
- 動悸・息切れ
子宮内膜ポリープは、不正出血以外の特徴的な症状や検査所見が認められるものではなく、術前に疑うことが難しい病気です。
子宮体がん
子宮体がんは、子宮内膜から発生するがんです。
子宮体がんの原因は、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンのバランスの崩れです。
通常、プロゲステロンはエストロゲンの増殖作用を抑える役割を果たします。しかし、この2つのホルモンのバランスが何らかの原因で崩れ、持続的なエストロゲン刺激が続くことで、子宮内膜の異常な増殖が起こり、がん化するリスクが高ま離ます。
子宮体がんは子宮内膜から発生するがんで、腫瘍部分から出血が生じます。そのため生理が長引いているように感じますが、実際は不正出血です。
不正出血のほか、以下のような下腹部に違和感を感じる場合、子宮体がんの可能性があります。
- おりものに血が混ざる
- 下腹部の痛み
- 性交時の痛み
- 腰痛
- 下肢のむくみ
これまでと異なる症状が出現し不安な場合には、迷わず婦人科を受診するようにしましょう。
子宮頸がん
子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)と呼ばれるウイルスによって引き起こされる、子宮の入口にできるがんです。
ほとんどの場合、HPVに感染しても免疫システムによって排除されますが、約10%の感染は排除されずに持続し、最終的に子宮頸がんに進展します。
子宮頸がんが進行すると、子宮頸部の組織が傷つき、腫瘍部分や周辺組織の出血が増加します。そのため生理の期間が長引く可能性があるのです。
下記の症状が見られる場合、子宮頸がんが進行している可能性があります。
- おりものの異常
- 骨盤や下腹部、腰の痛み
- 性交痛
- 血尿・血便
- 下肢のむくみ
更年期の症状として放置していると、病気が進行するリスクが高まります。生理が2週間以上続いている場合は、婦人科の受診を検討しましょう。
生理が長引くときの対処法

生理が長引く場合は、まず婦人科医に相談しましょう。婦人科では専門の医師による問診や内診、症状に応じた必要な検査をおこなってくれます。
月経不順で婦人科を受診すると、まずは基礎体温表をもとに診察を開始します。そのため、普段から基礎体温を記録しておくと診察がスムーズに進むでしょう。
- 決まった時間に測る
- 4時間以上の睡眠の後に測る
基礎体温には高温期と低温期のサイクルがあり、変化のバランスを診ることで医師が生理のトラブルをより正確に評価できます。日常的に基礎体温を記録しておくと、生理周期や異常のパターンを把握しやすくなるのです。
基礎体温からわかる身体のリズムは、以下のとおりです。
- 生理周期のパターンが把握できる
- 排卵の有無がわかる
- 妊娠しやすい時期がわかる
- ホルモンバランスの変化がわかる
基礎体温は0.01℃刻みで細かく体温を測定するので、正しい測り方で計測しないと正確な記録が取れません。
以下の方法を守って、測定するようにしましょう。
寝たままで、起き上がらずに基礎体温を測定します。毎朝同じ時刻に測るのが理想ですが、できない場合は測定した時間を記録しておきます。
婦人体温計の先を舌の裏の中央にあるすじの左か右のくぼみに当て、口を閉じて測定します。息をしないように注意してください。測定時間は婦人体温計によって異なります。
婦人体温計に表示された体温をグラフに点で記入し、点を線で結びます。アプリを使うと、体温を入力するだけで基礎体温表が作成できるのでおすすめです。
※測り忘れた日は空欄にして、線で結ばないようにしてください。
自己判断は危険
更年期に入ると生理の周期が乱れやすくなりますが、月経不順のすべてを「更年期だから仕方ない」と受け入れるのは危険です。
特に子宮体がんや子宮頸がんなどのがんは初期症状がわかりにくく、自覚症状が現れるまでに時間がかかります。早期発見と治療は、治療の成功率を高めるためにも重要です。
更年期の症状と婦人科疾患の症状は一部重なることがありますが、決して自己判断をせず、迷わず婦人科を受診するようにしましょう。
ルナレディースクリニックは、待ち時間なしで診察を受けられます。お気軽にご相談ください。

更年期で生理が長引くときの治療法

更年期障害によって生理が長引く際の治療法の一つに、ホルモン補充療法(HRT)があります。
ホルモン補充療法(HRT)とは、女性ホルモンのレベルが低下したり、不均衡になったりすることで生じる症状を緩和するために、欠けているホルモンを補う治療法です。
ホルモン補充療法は、主に更年期障害の症状を緩和するために用いられ、閉経後にかかりやすい病気の予防効果も期待できます。
ただし、以下のような副作用やデメリットも存在します。
- つわりのような症状や胸の張りなどの副作用
- 乳がんリスクが上がる可能性がある
- 不正出血
- 血栓のリスクがある
ホルモン補充治療で、つらい更年期の症状の緩和が期待できますが、デメリットがあることも忘れてはいけません。治療を検討する際は、医師と相談の上、納得した上で治療をスタートさせましょう。
生理不順と更年期に関するよくある質問

- 生理が10日続くのも受診すべき?
- 通常の生理期間は、3〜7日です。8日以上続く場合は「過長月経」と呼ばれ、受診をおすすめします。特に鮮血が続く場合は、要注意です。
- 更年期は何歳くらいから起こる?
- 日本人女性の平均閉経年齢は、約50歳です。更年期は、閉経前後5年(45〜55歳頃)を指します。ただし個人差が大きく、40代前半から症状が出る人もいます。
- 基礎体温をつけていないけど、受診してもいい?
- もちろんです!基礎体温表がなくても、問診・内診・検査で十分に診断できます。ただし、今後のために測り始めることをおすすめします。
- 子宮筋腫と診断されたら、必ず手術?
- いいえ。小さな筋腫で症状が軽ければ、経過観察で問題ありません。症状が強い場合は、薬物療法または手術を検討します。
- 閉経後の出血は絶対に受診すべき?
- はい、必ず受診してください。 閉経後の出血は、子宮体がんや子宮内膜増殖症のサインの可能性があります。少量でも放置せず、婦人科を受診しましょう。
まとめ

生理の乱れが更年期障害の場合も、婦人科を受診すれば症状を緩和する治療が受けられます。その際、あらかじめ基礎体温を測って基礎体温表をつけておくと検査がスムーズにすすみます。
更年期障害の症状を緩和する治療の一つとしてホルモン補充治療がありますが、副作用のリスクもあるため慎重な検討が大切です。医師と相談の上、納得して治療を始めましょう。
また更年期の症状以外で生理が長引くケースは、以下のような婦人科系の病気が原因かもしれません。
- ホルモンバランスの乱れ
- 無排卵性周期症
- 子宮筋腫
- 子宮腺筋症
- 子宮内膜ポリープ
- 子宮体がん
- 子宮頸がん
生理周期が遅れる以外にも腹痛や下半身の違和感がある場合、すみやかに婦人科を受診しましょう。

