「低用量ピルの服用方法は?」
「ピルを飲み忘れたらどうなるの?」
このような疑問をお持ちの方もいるでしょう。
低用量ピルは「プロゲステロン(黄体ホルモン)」と「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と呼ばれる2種類の女性ホルモンを配合した薬で、正しく服用を続けると高い避妊効果があります。
この記事では、低用量ピルの服用方法や飲み忘れたときの対処法、服用の注意点まで解説します。
低用量ピルの服用を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
低用量ピルの服用方法
低用量ピルを服用する際は、1日1錠を決まった時間に服用するのが基本です。
ただし、以下2つのポイントについては、ご自身の生活スタイルや好みに合わせて選択できます。
- シートの錠数
- 飲み始めるタイミング
それぞれ説明します。
シートの錠数
低用量ピルは「21日間、毎日1錠服用」を1サイクルとした後、7日の期間を空けて次のサイクルを開始します。
1サイクル分の薬は1枚のシートにまとめられており、シートには「21錠タイプ」と「28錠タイプ」の2種類があります。
21錠タイプと28錠タイプの違いは、偽薬(ホルモン成分が含まれていない錠剤)の有無です。
■21錠タイプ
21錠タイプのシートは、薬の成分が入っている錠剤のみで構成されていて、1シート分(21日分)の薬を飲み終わったら、薬を飲まない休薬期間を7日間設けます。
7日間の休薬後は、新しいシート(21日分)を服用し始めます。
休薬後に次のサイクルをスタートし忘れるケースがあるため、飲み忘れ防止にスマートフォンのリマインダー機能や、アプリなどを活用するのもおすすめです。
■28錠タイプ
28錠タイプのシートは、薬の成分が入った錠剤(21日分)と偽薬(7日分)で構成されており、シートの薬をすべて飲めば自動的に7日間の休薬ができるよう工夫されています。
1シート分を飲み終えたら続けて次のシートを飲み始められるため、休薬後の飲み忘れが心配な方は28錠タイプを選ぶといいでしょう。
飲み始めるタイミング
低用量ピルを飲み始めるタイミングには、主に以下2つのパターンがあります。
ご自身の生活スタイルや好みに合わせて選択しましょう。
- Day1スタート:生理1日目から服用し始める方法
- Sundayスタート:生理開始後、最初の日曜日から飲み始める方法
生理1日目とは、生理のはじまりから24時間以内を指します。
たとえば「朝起きたら生理が始まっていた」という場合には、生理に気づいた日を生理1日目とカウントすれば大丈夫です。
Sundayスタートを選んだ人は、月曜〜土曜日の間に生理が始まった場合は次の日曜日から服用を始めます。
もし、日曜日に生理がきた場合は、その日に服用し始めましょう。
Day1スタートとSundayスタートには、それぞれ以下のメリット・デメリットがあります。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
Day1 スタート | 飲み始めた日から避妊効果がある | 服用開始のタイミングによっては、 週末に消退出血(生理に似た出血)が重なる |
Sunday スタート | ・消退出血(生理に似た出血)が週末に重ならない ・服用開始日が日曜日に固定されるため、 2サイクル目以降にも飲み忘れにくい | 最初の1週間は、避妊効果が 得られない可能性がある |
Day1スタートはピルを飲み始めた日から避妊効果を期待できるため、なるべく早くピルの避妊効果を得たい人に向いています。
一方でSundayスタートの場合、最初の1週間は十分に避妊効果を得られない可能性があります。
飲み始めの1週間は、コンドームなど他の避妊方法を併用しましょう。
Sundayスタートでピルを服用し始めると、週末に消退出血(生理に似た出血)が重ならないため、生理を気にせず週末を楽しみたい方におすすめです。
低用量ピルを飲み忘れた場合の対処法
低用量ピルの避妊効果を維持するためには「毎日1錠ずつ、同じ時間帯に飲み続けること」が大切です。
しかし、どんなに気を付けていても、うっかり飲み忘れてしまう場合があります。
低用量ピルを飲み忘れた場合にどのように対処すべきかは、飲み忘れたピルの数によって変わります。
そこで、以下2つのパターンに分けて解説しますので、参考にしてください。
- 1錠を飲み忘れた場合
- 2錠以上を飲み忘れた場合
また、28錠タイプを服用している場合、第4週目に飲む偽薬には薬の成分が含まれていないため、飲み忘れても影響はありません。
第4週目の錠剤を飲み忘れた場合は気にせず、飲んだものとしてカウントしましょう。
1錠を飲み忘れた場合
1錠飲み忘れた場合は、飲み忘れに気づいた時点ですぐに、飲み忘れた分のピルを服用してください。
その後は、いつも通りに服用を続けます。
たとえば、毎晩21時に飲んでいる人が薬を飲み忘れ、翌日のお昼に薬の飲み忘れに気が付いた場合、気が付いた時点で1錠飲み、夜の21時にも1錠飲みます。
飲み忘れたのが1錠だけであれば、基本的に緊急避妊は必要ありません。
ただし、低用量ピルは7日以上連続で服用しないと十分に避妊効果を発揮できないため、休薬期間の前後の時期に飲み忘れてしまった場合は注意が必要です。
- 同じサイクル内ですでに1回以上飲み忘れている
- 前のサイクルの最終実薬週(第3週目)に飲み忘れがあった
- 飲み忘れたのが第1週目の初めの時期である
以上の条件にあてはまる場合は、アフターピルといった緊急避妊を検討しましょう。
2錠以上を飲み忘れた場合
2錠以上続けて飲み忘れた場合、つまり直前にピルを服用してから丸2日以上経ってしまった場合は、飲み忘れに気づいた時点ですぐに飲み忘れた錠剤のうち直近のものを服用してください。
その後は予定通り服用を続けますが、飲み忘れに気づいて服用を再開してから7日以上連続で服用するまでは、コンドームなど他の避妊方法を使いましょう。
3錠以上続けて飲み忘れて生理が始まった場合は、そのシートは使い続けられません。
服用を中止して、次の生理から新しいシートのピルを飲み始めてください。
2錠以上を飲み忘れた場合には、何週目に飲み忘れたかによって避妊効果への影響が違います。
服用サイクルの何週目に飲み忘れたのか、状況に合わせて以下のように対応しましょう。
服用を忘れた週数 | 対処法 |
---|---|
第1週 | 休薬期間または第1週目に性交を行った場合は緊急避妊を検討する |
第2週 | ・飲み忘れる前の7日間に、連続で服用していたなら緊急避妊は不要 ・7日間連続で飲めていなかった場合はアフターピルを検討する |
第3週 | 今使用しているシートの実薬を終了したら、 休薬期間を設けず、次のシートを服用開始する |
避妊効果を維持するためには、毎日ピルを飲み続けることが大切です。
飲むタイミングを決めておく、リマインダーを設定するといった対策をし、飲み忘れを防ぎましょう。
低用量ピル服用の注意点
低用量ピルを服用するときは、以下の3点に注意しましょう。
- 避妊効果は100%ではない
- 避妊効果は8日目から得られる
- 3カ月以内に不正出血が起きる可能性がある
それぞれ説明します。
避妊効果は100%ではない
低用量ピルの避妊効果は99.7%であり、コンドームの98%と比較しても効果が高い避妊方法です。
しかし、避妊効果は100%ではありません。
さらに、ピルを飲み忘れてしまったり、毎日同じ時間帯に服用しなかったりすると、避妊効果は91%にまで下がってしまいます。
低用量ピルの服用で避妊するためには、毎日1錠、決まった時間帯に飲み続けましょう。
また、避妊効果は100%ではないため、妊娠を望まない場合はコンドームと併用すると安心です。
避妊効果は8日目から得られる
低用量ピルの服用を始めても、すぐに避妊効果を得られるとは限らない点にも注意が必要です。
生理が始まった日から低用量ピルの服用を開始した場合は、初日から避妊効果を期待できます。
しかし、Sundayスタートで生理開始2〜5日目に服用を開始した場合、避妊効果を得られるのは連続で7日間ピルを服用した後、つまり服用8日目からです。
妊娠を望まない場合、低用量ピルを服用し始めた最初の1週間はコンドームなど他の避妊方法と併用しましょう。
3カ月以内に不正出血が起きる可能性がある
低用量ピルを服用し始めると、不正出血が起きるケースがあります。
不正出血の原因は、ピルに含まれる女性ホルモンにより体内のホルモンバランスが崩れることであり、服用を始めて1~3カ月の時期に多く起こります。
ピルの服用を続けるうちに改善していきますが、3カ月を経過しても不正出血が続く場合は、性感染症や子宮頸がん、妊娠といったピルの服用以外の原因も考えられます。
以下のような場合は、ピルを処方してもらった病院に相談しましょう。
- 服用開始から3ヶ月経過しても不正出血が続く
- 出血量が多く腹痛などの症状がひどい
- 出血や腹痛に対して不安がある
検査の結果、原因となる病気などがなかった場合には、体に合ったものにピルの種類を変更する選択肢もあります。
ピルの服用開始から3カ月を経過しても不正出血が起こる場合には、病院を受診して相談しましょう。
まとめ
この記事では、低用量ピルの服用方法や飲み忘れた時の対処法、服用の注意点について紹介しました。
低用量ピルの避妊効果を得るためには、毎日同じ時間帯に服用を続けることが大切です。
シートの錠数や飲み始めるタイミングなど、自分の生活スタイルに合った低用量ピルを選び、正しく服用しましょう。
服用を続ける中で不正出血が続く場合や、腹痛などの症状がひどい場合は、性感染症や子宮頸がんなどの病気が隠れている恐れもあります。
不安を感じた場合は、早めに婦人科を受診しましょう。