ヘルペスに感染した場合、外用薬や飲み薬によって治療を行います。再発しないためには、体調管理を徹底することも大切です。しかし、ヘルペスについてよくわからず、どう対処すべきか迷うこともあるでしょう。
この記事ではヘルペスの治療法や予防法などを解説します。ヘルペスについて知りたい方に役立つ情報を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
ヘルペスとは?人にもうつる?
ヘルペスとはウイルス性皮膚炎の一種で、単純性疱疹とも呼ばれる疾患です。
病原体となる単純ヘルペスウイルスが粘膜や皮膚に感染すると自己複製によって増殖し、他の人にも移る可能性があります。ヘルペスに感染した粘膜や皮膚に直接触れるだけでなく、タオルや食器を媒介して伝染することもあるため注意が必要です。
また、主に口唇ヘルペスと性器ヘルペスの2種類があり、それぞれに症状が異なります。ヘルペスになった際は、適切な治療を受けてウイルスを減退させることが大切です。
ヘルペスの治療法
診察によってヘルペスであることが判明したら、適切な治療を受ける必要があります。こちらでは、ヘルペスの治療法について具体的に紹介しますので、参考にしてみてください。
外用薬
外用薬では、アラセナA軟膏やゾビラックス軟膏など、ウイルスの抑制作用を期待できる塗り薬を処方するのが基本です。飲み薬と比べて効果は劣ると考えられていますが、症状が改善しかけている場合や、軽症の場合に適しています。
また、外用薬は飲み薬より安い費用で済むのも特徴です。ドラッグストアなどで購入できる市販薬もありますが、使用できるのは過去にヘルペスの診断を受け、再発した人に限られます。初めてヘルペスを患った場合は医療機関を受診しましょう。
飲み薬
飲み薬の場合は、バルトレックス錠と呼ばれる抗ウイルス薬が処方されます。
初めて感染した人は10日、再発した人は5日が服用の目安です。なるべく初期の段階で飲み薬を服用することで、症状が悪化するのを予防できます。
なお、ヘルペスは体調の不具合によって再発する可能性が高い疾患です。再発を抑えるための治療法にはPITと再発抑制療法の2通りがあるため、詳しく確認してみましょう。
PIT
PITとは、事前に処方された薬を患者の判断で服用し、病院に行くことなく治療を開始する方法のことを指します。年に3回以上ヘルペスの再発を繰り返す人や、再発の初期症状を判断できる人が対象です。
ムズムズとした違和感や痒みがあればすぐに飲み薬を服用することで、症状が現れる前にウイルスを抑え込めます。ヘルペスの初期症状を感じても、忙しくてなかなか病院へ行けない場合によいでしょう。
再発抑制療法
ウイルスの増殖を抑える飲み薬を1日1回、1年間飲み続け、再発を抑制する治療方法です。1年に6回以上再発を繰り返している人が対象になります。再発を抑えられるだけでなく、無症状のままヘルペスを再発し、他の人に移してしまうのを予防できるのが特徴です。
ただし、再発抑制療法を取り入れたとしても、必ず再発しないというわけではありません。ストレスや疲労の度合いによっては、症状が出ることもあります。しかし、全く治療を行っていないときと比べれば軽症で済むでしょう。
ヘルペスの症状
ヘルペスは、ウイルスが感染した部位によってさまざまな症状が現れます。そこで、こちらでは主な症状について解説します。
口唇ヘルペス
口唇ヘルペスで現れる主な症状は、以下の通りです。
- 唇や唇周りの水ぶくれ
- ムズムズとした違和感
- ピリピリとした痛み
- 火照り
- 痒み
など
初めは唇の違和感から始まり、小さな水ぶくれがいくつか発生したあとにカサブタへと変化していきます。アトピー性皮膚炎を患っている場合、患部を掻いて他の部位に転移したり、他の人へ移したりするリスクが高まるでしょう。また、初感染で症状が重くなると、リンパ節の腫れや発熱を生じることもあります。
性器ヘルペス
性器ヘルペスは、皮膚や尿道に症状が出ます。各部位ごとの症状を確認しましょう。
皮膚の症状
ウイルスが皮膚で増殖すると、痒みや違和感が現れたあと、性器とその周辺に小さな水ぶくれや赤いポツポツがたくさん出現します。数日後、水ぶくれが潰れて潰瘍が出現し、激しい痛みを伴うでしょう。
男性の場合、症状が現れるのは冠状溝や包皮、陰茎の亀頭などです。女性は外陰部のみならず、子宮頸部や膣にも水ぶくれが生じる場合があり、排尿時に痛みを感じたり、歩行困難になったりする恐れがあります。
尿道の症状
性器ヘルペスに初感染した場合、強い症状によって尿道にも小さな水ぶくれや潰瘍が現れることがあります。排尿時に痛みが生じ、リンパ節の腫れや痛み、全身の倦怠感も感じるでしょう。
また、潰瘍から他の菌が入り込み、粘膜の下で炎症がさらに広がる可能性もあります。
その他全身の症状
初めての感染では、全身のだるさや倦怠感、発熱、神経痛、足の付け根にあるリンパ節の腫れといった症状に悩まされる場合があります。
なお、再発であれば発熱を伴わないケースがほとんどです。症状が悪化しないよう、早期に検査を行いましょう。
ヘルペスの検査方法
ヘルペスの検査には、抗原検査と抗体検査の2種類があります。各検査方法について詳しく解説します。
抗原検査
抗原検査は、主に水ぶくれの症状がある場合に行われます。患部から直接浸出液を採取するため、ヘルペスによる症状か否かをすぐに判別できるのが特徴です。浸出液の採取後、10〜15分ほどで結果が出ます。
すでにヘルペスと見られる症状が出ており、できるだけ早く検査結果が必要な場合に適しているでしょう。
ただし、抗原検査は信頼度の高い検査であるものの、病変が小さい場合は偽陽性となる可能性があります。
抗体検査
抗体検査は、ウイルスの抗体の有無を調べる検査です。
血液を採取して抗体を確認するため、皮膚などに具体的な症状が出ていない場合も検査できます。症状がないものの、感染の恐れがある場合に適した検査だといえるでしょう。
ただし、抗体検査にはヘルペスウイルスと類似したウイルスの抗体も検出するという欠点があります。また、再発時は抗体の量が変わらない場合があり、抗体検査だと正確に診断できない可能性があることも注意しておきたいポイントです。医師の診察を受けたうえで、最適な検査方法を選ぶ必要があります。
ヘルペスの予防方法
ヘルペスウイルスは、一度感染すると体外に排出することができません。免疫力が弱まったり、体力が低下したりすると再発する可能性が高まります。
ここではヘルペスを予防するためのポイントを紹介しますので、感染や再発を抑えるための参考にしてください。
コンドームをつける
性器ヘルペスの感染を防ぐには、性行為の際にコンドームをつけるのがおすすめです。
コンドームをつけても完全にヘルペスを予防できるわけではありませんが、感染率を抑えられます。
なお、射精前でも男性器から分泌液や精液が出るため、性行為の前からコンドームをつけておくとよいでしょう。
また、コンドームを2重にすると、効果が高まると思われるかもしれませんが、反対に破れやすくなります。正しい使用方法を確認したうえで装着してください。
通気性のよい下着を着用する
下着の内部が蒸れていると、痒みや痛みなどの症状が悪化したり、再発したりする原因になります。ポリエステルやアクリルなどの化学繊維素材は吸水性に乏しく、空気も通しにくいため蒸れやすくなるでしょう。
コットンやシルクなど、通気性・速乾性に優れた天然素材の下着を使うのがおすすめです。また、天然素材と化学繊維を組み合わせた下着なら、履きやすく蒸れにくいので、天然素材に慣れていない方にも適しています。
体調に気をつける
ヘルペスは、体調不良や免疫力が低下した際に再発しやすくなります。栄養不足や睡眠不足、過度なストレスは再発の原因になるため、体調管理が重要なポイントです。
日頃から規則正しい生活を心がけ、バランスのよい食事を摂るようにしましょう。また、しっかりと休み、心身ともにリフレッシュしてストレスを溜め込まないことも大切です。疲労が溜まり、体調が優れないときにチクチクとした違和感があればヘルペスの前触れだと考え、休息を取るようにしてください。
まとめ
ヘルペスに感染した場合、全てのウイルスを体外に排出するのは困難ですが、適切な治療によってウイルスの増殖を抑えることは可能です。再発を繰り返す場合は、PITや再発抑制療法といった方法もあるため、医師と相談しながら治療を行ってください。
また、ヘルペスにかからないための予防策を取り入れ、体調管理に気をつけることも重要です。自分の健康を保つのはもちろんのこと、周りの人にヘルペスを広めないためにも日頃から注意しましょう。
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