ウレアプラズマとは性感染症の一種であり、症状が見られた場合は尿検査や膣分泌物検査、うがい液の検査が行われます。自然治癒することはないため、医療機関での治療が必要です。
この記事では、ウレアプラズマの症状や検査・治療方法などを紹介します。ぜひ参考にしてください。
ウレアプラズマとは
ウレアプラズマとは、細菌(ウレアプラズマ)が粘膜に接触することで発症する性感染症のことを指します。ウレアプラズマにはさまざまな種類がありますが、性感染症を引き起こすのはウレアプラズマ・ウレアリチカムとウレアプラズマ・パルバムです。
主に性行為によって感染し、通常のセックス以外にオーラルセックスやアナルセックス、キスによっても感染する恐れがあります。1回の性行為における感染率は約30〜50%で、日本で多く見られる淋病やクラミジアと同等の高確率で感染が認められています。
ウレアプラズマとマイコプラズマの違い
ウレアプラズマとマイコプラズマは、それぞれ感染の原因菌が異なります。
前述の通りウレアプラズマは「ウレアプラズマ・ウレアリチカム」と「ウレアプラズマ・パルバム」、一方マイコプラズマは「マイコプラズマ・ジェネタリウム」と「マイコプラズマ・ホミニス」による性感染症です。
ただし、どちらも非クラミジア性非淋菌性尿道炎を引き起こす点では同じ特性を持ちます。双方とも治療せず放置していると、生殖機能に悪影響を及ぼすリスクがあるため、適切な処置が必要不可欠です。
ウレアプラズマの検査方法
主な検査方法は、以下の通りです。
- 尿検査
- 膣分泌物検査
- うがい液の検査
男性は尿検査、女性は膣分泌物検査を実施し、咽頭に症状が見られる場合は男女ともにうがい液による検査を行います。こちらでは検査の具体的な内容を紹介しますので、参考にしてみてください。
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尿検査
男性の場合、採取した尿を検体として、核酸増幅法(PCR法)による検査を行います。
尿検査の際には、検尿用カップに尿をとり、指定の容器に入れ替えた上で提出するのが一般的です。
検査結果は、3日〜1週間ほどで出ます。
膣分泌物検査
女性の場合、膣分泌物を採取し、核酸増幅法によって検査を実施します。
スワブと呼ばれる綿棒のようなもので、子宮頚管から検体をとるのが検査の基本です。クリニックによって異なりますが、医師による採取か自己採取を選べる場合もあります。
また、生理中は検査ができないため、生理が終わってから受診しましょう。
検査結果は、男性と同様に3日〜1週間ほどで出ます。
うがい液の検査
男性・女性ともに咽頭への感染が疑われる場合は、うがい液による検査が可能です。
20ml〜40mlの生理食塩液(食塩水もしくはミネラルウォーター)で15秒間うがいをして検体を採取し、核酸増幅法によって検査を行います。検査結果が出るまでの期間は、3日〜1週間ほどです。
なお、性器に症状が見られる場合、咽頭にも重複感染している恐れがあります。感染を放置しないためにも、医師の指示に従い性器と咽頭の同時検査を検討するとよいでしょう。
ウレアプラズマの治療方法
ウレアプラズマは自然治癒しません。陽性がわかったら速やかに治療する必要があります。
治療は、ニューキノロン系やマクロライド系の抗生剤を1〜2週間ほど服用するのが一般的です。前述の通り、ウレアプラズマには2種類の原因菌が存在し、どちらに感染しているか確認した上で適合する抗生剤が処方されます。
適切な抗生剤を服用すれば、ウレアプラズマが治る確率は90%以上です。
ただし、抗生剤が効かない耐性菌に感染している場合は、1回の治療では治らない可能性があります。そのため、治療後は再検査によって完治を確認することが重要です。
ウレアプラズマの検査・治療費用
ウレアプラズマの検査・治療は保険適用外であり、全額自費負担になります。
こちらではウレアプラズマの検査・治療費用を表でまとめました。ただし、以下の金額はあくまでも相場であるため、費用の目安として参考にしてください。
【検査費用】
尿検査 | 5,980円〜9,000円 |
膣分泌物検査 | 5,980円〜9,000円 |
うがい液の検査 | 5,980円〜9,000円 |
【治療費用】
初診料 | 無料〜2,500円 |
飲み薬代 | 5,390円〜1万1,000円 |
処方料 | 無料〜220円 |
再診料 | 無料〜1,100円 |
ウレアプラズマの症状
ウレアプラズマは、1〜5週間ほどの潜伏期間を経て発症します。こちらでは主な症状について詳しく紹介しますので、疑わしい兆候がないかよく確認してみましょう。
性器の症状
性器に生じる症状は、男性と女性で異なります。男女別の具体的な症状は、以下の通りです。
【男性における性器の症状】
・性器からの異臭
・尿道の痒みや違和感
・排尿時の痛み
・尿道から膿が出る
【女性における性器の症状】
・おりものが増える
・性器周辺の痛み、痒み
・子宮頚部における炎症
ウレアプラズマは、クラミジアや淋病と似たような症状が出ることが多いとされています。そのため、「クラミジアや淋病と思って検査を行い、陰性だったので放置した」というケースも珍しくありません。
また、自覚症状を伴わないことも多いですが、放置していると症状が進行して悪化する可能性があります。感染が疑われるような機会があった場合は、症状がなくても検査を受けましょう。
喉の症状
ウレアプラズマは、キスなどで喉(咽頭)に感染する可能性もあります。主な症状は、以下の通りです。
【喉(咽頭)の症状】
・喉の痛み、腫れ、違和感
・咳が出る
喉に関しても、クラミジアや淋病と同じような症状が出ることがありますが、大半は自覚症状が現れないといわれています。たとえ性器の検査で陰性であっても、キスやオーラルセックスで感染者と接触する機会があった場合は、喉の検査も受けた方がよいでしょう。
ウレアプラズマの治療における3つのポイント
ウレアプラズマを治療にあたっては、以下の3つのポイントを意識することが大切です。
【ウレアプラズマの治療における3つのポイント】
1.処方された抗生剤は飲み切る
2.パートナーと治療を受ける
3.再検査して完治したかどうかを確認する
誤った認識を持っていると、せっかく治療をしても完治しない可能性があります。どのような点に気をつけるべきか確認し、治療を受けていきましょう。
1.処方された抗生剤は飲み切る
治療では、医師から処方された抗生剤を飲み切ることが重要です。症状が緩和したからと服用をやめると、死滅しきれていない菌によって症状がぶり返す恐れがあります。
また、死滅しなかった菌は抗生剤に耐性を持つ場合があり、中断前のような効果を得られなくなる可能性があります。適切な治療を行わないことで完治が困難になるリスクが高まるため、医師の指示に従い、抗生剤は全て飲み切るようにしてください。
2.パートナーと治療を受ける
検査で陽性がわかった場合、パートナーも陽性である可能性が高いため、本人だけでなくパートナーも検査を受けて一緒に治療を行う必要があります。パートナーが感染したままでいると、本人が治療を行って完治しても、パートナーと接触することで再び感染するリスクが高いでしょう。
パートナー間で感染を繰り返すことをピンポン感染と呼び、放置していると完治が難しくなります。「性病であることをパートナーに打ち明けづらい」と感じるかもしれませんが、自分とパートナーの体を守るためにも、一緒に検査と治療を受けるよう促してください。
3.再検査して完治したかどうかを確認する
治療後は、完治したことを確かめるために再検査を受けましょう。なぜなら、ウレアプラズマの原因菌は抗生剤に耐性を備えている場合があり、治療を行っても完治しない可能性があるからです。
クリニックによって異なりますが、治療開始から約2週間ほどで再検査を行うことになりますので、必ず受けてください。「抗生剤を飲み切ったから、完治しただろう」と自己判断で再検査を受けずにいると、実はまだ完治しておらず、再び症状が現れる恐れがあります。
ウレアプラズマの予防方法
ウレアプラズマは、コンドームを正しく着用し、粘膜との接触を避けることで予防できます。
コンドームを着用する際は、表面を上にした状態で亀頭の上に置いてください。コンドームの先端にある精液だまり部分を軽く押さえて空気を抜き、男性器の皮を下方向へ下げます。コンドームをゆっくり引き下げ、男性器の皮を調節しながら根本までおろしたら完了です。
ただし、コンドームを着用してもウレアプラズマを始めとする性感染症を完璧に予防できるわけではありません。不特定多数との性行為は感染リスクを高めるため、避けるようにしましょう。
ウレアプラズマに関するよくある質問
こちらでは、ウレアプラズマに関するよくある質問と回答を紹介します。Q&Aを通して、性感染症に対する理解を深めていきましょう。
ウレアプラズマは再発するの?
抗生剤によって治療を行い、再検査で完治が確認されていれば、再発することはないといわれています。完治後に再度症状が現れたのであれば、再発ではなく、感染者から再びウレアプラズマをうつされたと考えられるでしょう。
例えば、本人のみが検査・治療を行い、パートナーは何もせずにいると、パートナーから再感染する恐れがあります。また、抗生剤の服用を中断した場合も再び症状が現れる可能性が高まるでしょう。本人とパートナーは、一緒に適切な検査・治療を受けることが大切です。
ウレアプラズマは不妊の原因になる?
ウレアプラズマは、不妊の原因になり得ると考えられています。男性の場合、感染状態を放置していると症状が精巣上体炎に進展し、無精子症を始めとした男性不妊に陥ることがあるでしょう。
女性の場合、膣炎から炎症が広がったり、腹膜炎などで命に危険が及ぶほど重症化したりすると、不妊になる可能性があります。ウレアプラズマは治療を行えば完治できる病気ですので、将来的なリスクを排除するためにも、速やかに医療機関を受診してください。
ウレアプラズマの抗生剤は市販されている?
治療で使う抗生剤は医師からの処方箋が必要であり、市販はされていません。インターネット経由で海外の治療薬を手に入れられる場合がありますが、購入は避けましょう。
医療知識のない人が無闇に抗生剤を使うと、症状が悪化したり、副作用が起きたりする恐れがあります。また、インターネットで販売されている薬が安全なものであるか判断するのも困難です。
ウレアプラズマが疑われる場合は、まず医療機関を受診してください。
ウレアプラズマは自然治癒する?
ウレアプラズマは、自然治癒しません。完治のためには、医療機関を受診して適切な抗生剤を処方してもらう必要があります。「症状が軽い」「症状が消えてきた」と感じたとしても、菌が体外に排除されたわけではないため注意が必要です。
全く何もせずに放置していると症状が悪化し、発熱などの全身症状が現れたり、不妊の原因になったりします。また、パートナーにうつすリスクもあります。自然治癒は期待せず、きちんと治療を受けてください。
まとめ
ウレアプラズマは他の性感染症と比べると認知度が低く、クラミジアや淋病と症状が似ているため、混同してしまう場合があります。症状が出た場合は医師の指示に従い、あらゆる可能性を考慮した上で検査を受けてください。治療の際は処方された抗生剤を飲み切ること、再検査によって完治を確かめることが重要です。
また、パートナーがいる時は、一緒に検査・治療を受けるようにしてください。感染状態を放置していると症状が悪化したり、感染を広めたりといった恐れがありますので、速やかに医療機関を受診しましょう。
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