クラミジア肺炎と性病との違いは何?症状や感染経路・検査方法を解説

クラミジア肺炎は、クラミジアと呼ばれる細菌が原因で起きる感染症の一種ですが、性病ではありません。発熱や激しい咳などが続くのが特徴で、無症状のケースもあります。つばや咳、鼻水などの飛沫や母体が主な感染経路です。

ここでは、クラミジア肺炎の症状や感染経路などに加え、予防対策や治療方法についても解説します。当記事をご覧いただければ、クラミジア肺炎に対する正しい知識が身につき、どんな予防や治療をすれば良いかが明確になるでしょう。

クラミジア肺炎は性病?

クラミジア肺炎は性病ではありません。名称のとおり、クラミジア肺炎はクラミジアと呼ばれる細菌によって起こる炎症性の疾患です。

クラミジアは性病にも関連する細菌ですが、厳密にはクラミジア肺炎は性病に含まれません。この後から詳しく解説します。

「クラミジア肺炎」はクラミジアを原因とした感染症の一種

「クラミジア肺炎」は、クラミジアと呼ばれる細菌が原因で引き起こされる感染症の一種です。クラミジアは性病のみならず、肺炎や結膜炎などの原因にもなります。

クラミジアが原因だが「性病」ではない

性病の原因菌としても知られるクラミジアですが、クラミジア肺炎は性病ではありません。厳密には、クラミジア肺炎は性病の定義から外れるためです。

そもそもの性病の定義について、明確にしておきましょう。

「性病」とは?

性病(性感染症)とは、性行為で感染する病気の総称です。性行為の際、細菌やウィルスが性器、肛門、口腔などに接触することで感染します。症状が軽かったり、無症状だったりするケースもあるため、感染していることに気づかない人もいます。

つまり、クラミジア肝炎は性行為で発症する病気ではないため、性病には分類されません。

「性病」の代表的な病名

性病の代表的な病名と概要を紹介します。

病名原因菌症状
性器クラミジア感染症クラミジア・トラコマチス・不妊症・子宮外妊娠・肝周囲炎
淋菌感染症淋菌・発熱・尿道炎
・子宮外妊娠
性器カンジダ症カンジダアルビカンス・悪臭のあるおりもの・外陰部のかゆみ
性器ヘルペス単純ヘルペスウィルス・外陰部に疼痛を伴う水疱・排尿困難/歩行困難・口腔内や口唇のヘルペス
膣トリコモナス原虫トリコモナスバジナリス・悪臭のあるおりもの・外陰部のかゆみ

性器クラミジア感染症と、当記事で解説しているクラミジア肺炎は異なる病気です。性器クラミジア感染症は性行為の際、クラミジアトラコマティスへの感染によって引き起こされますが、クラミジア肺炎は別の感染経路で発症します。

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クラミジア肺炎の感染経路

クラミジア肺炎の感染経路は以下のとおりです。

・母体からの産道感染

・飛沫感染

子宮頚管炎を発症している母体から生まれる新生児や乳児は、間質性肺炎を発症する可能性があります。間質性肺炎は肺胞の壁の中や周辺に炎症が起こり、咳が出るほか、酸素がうまく取り込めなくなる症状です。

また、クラミジア肺炎はくしゃみや咳、つば、鼻水などの飛沫が感染源になることを覚えておきましょう。

クラミジア肺炎の主な症状は?

クラミジア肺炎の主な症状について解説します。クラミジア肺炎の症状は人によってさまざまです。新生児や乳児特有の症状にも注目しつつ、以下の内容をご覧ください。

無症状であることも多い

クラミジア肺炎は無症状であることも多い病気です。人によっては、これといった症状もないまま、自然治癒に至るケースもあります。

ちなみに、症状があらわれる場合の潜伏期間は3〜4週間程度です。

激しい咳や痰が続く

クラミジア肺炎に感染すると、激しい咳や痰が続くケースがあります。咳や痰以外の症状は以下のとおりです。

・鼻汁

・のどの痛み

・声のかすれ

・呼吸困難

高齢者や基礎疾患を持つ人は、重症化する可能性があるため注意が必要です。

発熱

クラミジア肺炎による発熱は38度未満であることが一般的です。発熱による苦しさはあまりありません。基本的には風邪のような症状であるため、症状だけでクラミジア肺炎の発症を疑うのは難しいでしょう。

新生児・乳児独特の症状も

新生児や乳児は、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)と呼ばれる細菌の感染により、独特の症状が出ることがあります。具体的な症状は以下のとおりです。

・通常は熱が出ることはない

・呼吸が頻繁になる

・呼吸時に「ゼーゼー」「ヒューヒュー」などの音がする

・痰や喀血(気道からの出血)を伴う湿った咳が出る

クラミジア・トラコマチスによる肺炎はほぼ新生児や乳児に限られ、感染母体からの発症率は3〜20%と言われています。

出生時の体重が2,500gに満たない低出生体重児の場合、重症化するケースがあるため注意が必要です。

クラミジアの主な症状

肺炎以外のクラミジアの主な症状は以下のとおりです。

・子宮頸管炎

・尿道炎

・精巣上体炎

・直腸感染

・肝周囲炎

・子宮外妊娠、不妊症

クラミジアの症状は、男女によって異なります。性器に感染する場合、主に男性は尿道、女性は子宮頚管に感染するケースが多いです。潜伏期間は1〜3週間で自覚症状がほぼないため、感染していることに気づかないまま、性行為に及んでしまうケースは多いにあります。

ぜひこの機会にクラミジアへの知識を深めていただき、早期発見に役立ててください。

子宮頸管炎

子宮頸管炎は女性特有の病気で、膣や子宮頸管にクラミジアが感染します。主な症状は以下のとおりです。

・おりものの異常(においや量など)

・下腹部の痛み

・不正出血

・かゆみ

子宮頸管炎は無症状のケースも多く、感染に気づかず放置していると、不妊症の原因となり得ます。また、子宮頸管炎の母体から出産された乳児は、クラミジア肺炎を患う可能性がある点にも注意が必要です。

尿道炎

尿道にクラミジアが感染した場合、尿道炎が引き起こされます。尿道炎の主な症状は以下のとおりです。

・排尿時の痛み

・排尿時の違和感

・粘り気のある膿が出る

上記のほか、じっとしている時に性器にかゆみや不快感を覚えることもあります。

精巣上体炎

クラミジア感染に気づかず、放置してしまうと精巣上体炎を引き起こすケースがあります。主な症状は以下のとおりです。

・軽い発熱

・睾丸が腫れる

・お腹が圧迫されるような感覚になる

中年以下の男性が精巣上体炎になる場合、原因のほとんどはクラミジアと言われています。

直腸感染

性行為やアナルセックスなどにより、直腸に感染することがあります。主な症状は以下のとおりです。

・肛門痛

・軽い下痢

・排便時の出血

直腸感染の70%は無症状と言われるため、感染に気づかない人も多いでしょう。

肝周囲炎

クラミジアが卵管を経由して腹腔内に入り、肝臓の周囲に定着すると肝周囲炎を引き起こします。女性特有の症状で、激しい上腹部痛を伴う点が特徴です。肝周囲炎に罹患した場合、以下の症状と招く可能性があります。

・流産

・早産

・不妊症

・卵管妊娠

上記のほか、肝周囲炎を患っている母体からの産道感染により、新生児肺炎や新生児結膜炎などを発症するケースもあるため注意が必要です。

子宮外妊娠、不妊症 

クラミジアによる炎症が卵管に及ぶと、以下のような症状を引き起こすことがあります。

・不妊症

・子宮外妊娠

クラミジアは自覚症状が乏しいため、卵管が深刻な被害を受けていることに気づかないケースも多いです。場合によっては、卵管の手術を行う必要が生じます。不妊症や子宮外妊娠を防ぐためには、いかに早いタイミングでクラミジア感染を発見できるかがカギです。

診断・検査方法

クラミジアが発症したと感じたときの診断や検査方法について解説します。

クラミジアの検査は病院の内科・消化器科のほか、保健所でも可能です。性別による注意点もシェアするので、ぜひ本項の内容を参考にしてみてください。

受診するのは内科・消化器科

クラミジアの検査では、以下いずれかの科を受診します。

・内科

・消化器科

受診する科は、クラミジアの症状に合わせて決めても問題はありません。どの科を受診すればいいかがわからない場合は、電話で診察の予約を取るついでに確認してみると良いでしょう。

クラミジア感染症全体の診断

クラミジア感染症の診断は一般的に、以下の流れで行われます。

①症状のヒアリング(問診・視診)

②性感染症が疑われる場合は尿検査

③咽頭にクラミジア感染がある場合は綿棒やうがい液による検査

④数日後に検査結果が出る

クラミジア特有の症状が明確に見られる場合、結果が出る前に検査当日から治療を行うこともあります。次項では男性と女性に分けて、クラミジア感染の検査について見ていきましょう。

男性

クラミジアの感染有無を検査する際、男性は泌尿器科を受診するのが基本です。ただし、症状によっては違う科に足を運ぶ必要があります。

たとえば、尿道に症状が出ているなら泌尿器科で良いですが、喉の痛みや発熱など、泌尿器以外の部位にトラブルがあるなら、内科(性感染症内科)を受診しておけば間違いはありません。

・男性は泌尿器科を受診するのが基本

・泌尿器以外の部位にトラブルがあるなら内科(性感染症内科)を受診する

また、昨今ではメンズクリニックで性病を始めとする疾患の検査を受け付けてもらえます。

女性

女性がクラミジアの検査を受ける場合、婦人科を受診するのが一般的です。ただし、症状によっては別の科を選ぶ必要があります。

たとえば、おりものや外陰部、膣など女性の性器にトラブルがある場合は婦人科が適切ですが、性器周辺の皮膚や、顔、鼻、口の中などに問題が生じているなら、内科(性感染症内科)や皮膚科を受診すると良いでしょう。

・女性は婦人科を受診するのが基本

・性器以外の皮膚に問題があるなら内科(性感染症内科)や皮膚科を選ぶ

何かしら疑問や不安があるなら、事前に電話でスタッフにヒアリングしておくと安心です。

保健所でも検査ができる場合がある

県の保健所などでも、クラミジアの検査ができる場合があります。自宅や職場の付近に保健所がある場合、クラミジア検査の可否を電話で問い合わせてみると良いでしょう。

原則として、保健所では匿名かつ無料で検査を受けられるため、気軽に活用してみてください。

検査される内容

クラミジアの検査は、尿や膣、咽頭、肛門などに対して行われます。

尿男性は尿を採取
女性は綿棒で膣の分泌物を採取(生理中は検査不可)
咽頭生理食塩液でうがい
肛門細い綿棒を肛門に数センチ入れる

上記の部位別検査のほか、病院によっては即日の精密検査も可能です。クラミジアの検査は、感染機会から24時間経過していれば実施できるため、早めに済ませておきましょう。

治療方法

クラミジア肺炎の治療方法は、抗生物質の投与、もしくは抗菌薬の服用が効果的です。成人と新生児および小児では、適切な抗生物質の種類が異なります。

・成人:テトラサイクリン系・ニューキノロン系

・小児:マクロライド系

抗生物質の投与は10日〜2週間ほどかけて投与するのが望ましいです。病院から処方される治療薬のため、処方箋を渡す際に詳しい説明を確認しておきましょう。

肺炎の症状が激しく、入院が必要な場合はミノサイクリンと呼ばれる点滴静注を行います。また、咳や鼻水が激しい時は鎮咳剤や鼻水止めなどの薬剤も用いられます。

まとめ

クラミジア肺炎や性病について、さまざまな視点から解説しました。

クラミジア肺炎はクラミジアによって起こる炎症性の疾患ですが、性病ではありません。性病とは、性器クラミジア感染症や淋菌感染症などが代表的な例で性行為による感染が原因のものを指します。

クラミジア肺炎になると激しい咳や痰が続くこともありますが、無症状のことが多いです。しかし、放置していると子宮頸管炎や尿道炎、不妊症などを引き起こす危険性があります。

クラミジアの感染を疑った場合は、内科や消化器科で検査を受けましょう。保健所でも匿名で受診できる場合もあります。

クラミジアは無症状のケースも多く、感染していることに気づかない可能性もあります。少しでも心配なら、今すぐ病院や保健所などで検査を受けてみてください。保健所なら匿名かつ無料で検査を受けることができます。

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