「クラミジアの検査をしたら自分は陽性だったがパートナーは陰性だった」、「クラミジアの検査をしたら陽性だったが感染経路に心当たりがない」、クラミジアの検査に関してこのような不安がある人もいるでしょう。
この記事ではクラミジアの検査で偽陰性になる確率や検査方法、クラミジアの感染経路等を説明します。記事を読めば、クラミジアの検査方法やそれぞれの検査で偽陰性になる確率、偽陰性の原因などが分かります。
クラミジアの感染経路に心当たりがない人や、パートナーと検査結果に差が出て気になっている人はぜひ最後までご覧ください。
クラミジア検査で偽陰性になる確率
クラミジアの検査で偽陰性になる確率は、簡易検査キットと病院での検査により異なります。検査キットは自宅で採取できるため、手軽に利用できる反面、精度は病院より低いです。一方、病院で検査する場合は結果が出るまでに時間がかかりますが、その分検査キットよりも精度は高くなります。そこで、ここからは偽陰性になる確率について、それぞれの検査パターンで紹介していきます。
簡易検査キットで検査した場合
簡易検査キットの偽陰性の確率は約30%と言われています。とある検査キット結果の分析によると、検査キットで陰性と出た人から更に精密検査をしたところ、28.4%が陽性だったとの報告があがっています。そのため、簡易検査キットで結果が陰性だったとしても、偽陰性の可能性があるため注意が必要です。
簡易検査キットは、精密検査と比較すると検査の精度は低いですが、迅速に検査結果が出るためスムーズに治療に移れます。尿道炎や子宮頚管炎など、明らかに症状が出ている人には簡易検査キットがおすすめです。
病院で検査した場合
病院で精密検査を受ける場合は、偽陰性が出る確率は約3.4%と少なく、検査精度は高いです。精密検査には大掛かりな装置が必要であるため、ほとんどのクリニックでは外部の医療機関に検査を委託しています。そのため検査結果が出るには時間がかかりますが、非常に高い精度の結果を得られるでしょう。
「症状はないが、パートナーが陽性だったため自分も検査を受けたい」、「定期的に検査を受けてクラミジアに感染していないか知りたい」という人は病院で検査を受けるのがおすすめです。
クラミジアの検査方法
クラミジアの検査は検体を採取して、検体の中にクラミジアの病原体がいないか確認します。検査は唾液を採取するうがい検査と尿検査の2つです。女性の場合は、長期感染により腹腔内に感染していると尿検査では検出できない場合があります。その場合、この2つだけではなく血液検査も併行しますので注意が必要です。
ここでは、病院で検体を採取し病原体の有無を確認する検査方法を紹介します。
うがい検査
うがい検査は採取した検体の中に、クラミジアの病原体がいるかを検査する方法です。性行為などの感染機会から、24時間以上経過していれば検査できます。
うがい検査は、生理食塩水で約20秒のうがいを行う、簡単で負担の少ない検査です。病原体の増殖と検出が同時に行えることから、正確な結果が期待できます。ただし、うがいの前に飲食や歯磨きをすると検査に結果が出る可能性があるため注意しましょう。
検査は採取した病院ではなく、検査機関で行うため結果が出るまでに3~4日程度かかります。
尿検査
尿検査は尿をカップなどに採取し、検体の中にクラミジアの病原体があるかを検査する方法です。尿検査では男性では尿道や膀胱(ぼうこう)、女性では膣や子宮頚管(けいかん)への感染の有無が分かります。
健康診断などでは尿の成分を検査するため中間尿を採取しますが、クラミジアの検査では尿道の雑菌を調べて病原体があるかを検査するため、出始めの尿を採取します。検査前の1~2時間程度はトイレに行かず、尿によって雑菌が洗い流されないように気を付けましょう。
クラミジアの菌が少量で偽陰性になることを避けるため、性行為後3日程度経過してから検査をするのがおすすめです。尿検査もうがい検査と同じく、検査結果が出るまで3~4日程度かかります。
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クラミジアの感染経路は?
クラミジアは性感染症であり、感染経路の多くは性行為によるものです。一方で、性行為をしていなくても、クラミジアに感染する可能性があります。クラミジアの潜伏期間は1~3週間で、クラミジアに感染している場合、症状が出ていなくても菌は存在し続けます。そのため保菌者の粘膜に直接接触することで、クラミジアに感染する可能性があります。ここでは、クラミジアの感染経路について「性行為」と「性行為以外」にわけて説明します。
クラミジアは性行為で感染する
クラミジアの最も多い感染経路は性行為です。クラミジアに感染している部位と粘膜が直接接触することで感染します。
具体的には以下のような経路が挙げられます。
- 膣性交により性器に感染
- オーラルセックスにより喉に感染
- アナルセックスにより肛門・直腸に感染
性行為と聞くと、膣性交を思い浮かべる人もいると思いますが、クラミジアは感染している部位から細菌が粘膜に接触することで感染します。また、クラミジアの感染率は1度の性行為で約30~50%、コンドームなしで性行為をした場合は約50%です。膣性交だけが感染経路ではないため、注意しましょう。
感染経路に心当たりがない場合
クラミジアは性行為によって感染しますが、人によっては感染経路に心当たりがないといった場合もあります。例えば、妊娠中の母親から子供に感染することも性行為以外の稀なケースです。
このように、クラミジアが性行為だけではなく、他の感染経路から発覚したケースを紹介します。
キスからの感染
クラミジアがのどに感染している場合、キスによる唾液の付着で感染することがあります。また、のどにクラミジアが感染している場合、約90%が無症状だといわれており、感染に気付かないことが多いです。そのため口腔内に傷がある状態でディープキスをすると感染確率が上がってしまいます。
仮にクラミジアの症状が出たとしても、のどの痛みや腫れ、発熱などが現れるため、風邪と勘違いしやすいです。風邪を疑って内科や耳鼻科を受診しても、クラミジアの検査は行われることが少ないため、クラミジア感染に気付かないことがあります。
のどに風邪のような症状が出た場合や、パートナーが陽性で自分は無症状だという場合も、泌尿器科や性感染症内科で検査を受けることをおすすめします。
眼への感染
感染している部位に触れ、菌が付いた手で眼をこするとクラミジアに感染する可能性があります。
クラミジアが眼に感染すると結膜炎を発症することがあり、クラミジア感染による結膜炎は、一般的にトラコーマと呼ばれます。主な症状は膿んだ目やに(膿性眼脂)や充血、リンパ節の腫れ、目の痛み等です。
まぶたの裏に大きなブツブツ(分泌物が溜まった袋状の組織)が形成されるのが特徴のため、これらの症状がある人は、一度病院で精密検査を受けることをおすすめします。
母子感染
妊娠している女性の子宮頸管にクラミジアが感染していると、分娩時に胎児が産道を通る際に感染することがあります。クラミジアに感染していても多くは無症状であるため、妊婦健診で初めて母親のクラミジア感染が発覚することも多いです。日本産婦人科医会の研究によると、妊婦のうちおよそ2~3%が妊婦健診で初めてクラミジア感染が発覚すると分かっています。
母体からクラミジア感染した新生児は、20~30%の確率で生後3か月の間にクラミジア肺炎を発症すると報告されています。新生児への感染を予防するためにも、出産前に検査を行い、陽性だった場合は夫婦同士で移しあわないよう治療を受けましょう。
ストレスによって感染するのか?
キスや目、母子感染いずれの感染経路にも心当たりがない場合は、ストレスが原因と考える人もいるかもしれません。しかし、ストレスによってクラミジアに感染することはありません。
確かに、ストレスが原因で免疫力が低下し、なんらかの感染症に感染する可能性はあります。しかし、クラミジアは接触感染であり、クラミジアの病原体は人の細胞に寄生しなければ生きていられない細菌です。ストレスにより免疫力が低下したとしても、クラミジアの病原体に接触しない限りは発症しません。
クラミジアの検査に関する質問
クラミジアの検査をするにあたっては、不安に思うことも多いでしょう。ここでは、クラミジアの検査に関して、よくある質問を紹介します。
どちらかが陰性というケースもある?
性行為によってパートナー同士で感染した場合、多くの場合はどちらも陽性となります。しかし、何らかの理由によって、どちらかが陽性・陰性と結果が分かれてしまうケースも起こり得ます。
どのような理由が原因で分かれるケースがあるのかみていきましょう。
原因1.検査のタイミングが早かった
クラミジアが検査可能になるのは、感染機会から24時間以上経過してからになります。感染機会から検査までの時間が短すぎると、検体採取する時に菌の数が少なく、感染していても結果が陰性になる(偽陰性になる)可能性があります。
また、尿道に感染している場合は尿によって菌が洗い流されやすいため、尿検査は感染機会から3日以上空けて検査をするのがおすすめです。
原因2.検査方法が不適切だった
検体を採取する方法が不適切だと、正しい結果が得られない可能性があります。考えられる原因は、尿検査の不適切な採取方法です。尿検査の採取のタイミングは、一般的な健康診断とクラミジア検査で異なります。
一般的な健康診断では、尿の成分を検査するため、出始めの尿は捨てる必要があります。出始めの尿には、尿道や皮膚の雑菌や汚れが含まれていることが多く、これらを検体に入れないようにするためです。対して、クラミジアの尿検査は尿道や皮膚の雑菌や汚れの中にクラミジアの病原体がいるかを調べます。そのため、クラミジアの検査では出始めの尿が必要です。
さらに、排尿によって尿道内の雑菌が流れた場合も、偽陰性が出る確率が高まります。そのため尿検査では、1~2時間程度トイレを我慢し、かつ出始めの尿を採取するようにしましょう。
原因3.別の病気の薬でクラミジアが治った
クラミジアは症状がないからといって放置していても自然治癒することはありません。そのため、どちらかに陰性が出た場合は、現在治療中の病気に使っている薬で、クラミジアも一緒に治癒した可能性があります。
クラミジアの治療薬は、肺炎や気管支炎、扁桃炎の治療薬としても処方される抗生物質です。具体的にはマクロライド系、テトラサイクリン系、ニューキノロン系といった抗生物質になります。そのため、肺炎や気管支炎などの治療として抗生物質を内服している人は、クラミジアに感染していたとしても元々の病気と一緒に治癒した可能性があります。
現在治療中の疾患がある人は、現在や過去に抗生物質を内服しているか確認してみましょう。
原因4.クラミジアがのどに感染していた
パートナーとオーラルセックスをしていた場合は、両方が感染していても感染部位が異なる可能性は十分に考えられます。例えば、オーラルセックスをすることで女性は子宮頚管に感染し、男性はのどに感染するという場合です。
クラミジアがのどに感染していても、約90%の人は症状が出現しないとされており、自分で感染に気付くことは難しいです。
検査をしたとしても、尿検査では細菌が検出されずに検査結果は陰性になります。
尿検査で陰性だった人は、感染部位が違う可能性があるので、うがい検査でのどの検査も行うことをおすすめします。
まとめ
クラミジアは無症状であることが多く、感染していることに気付かず、他の人に移してしまう可能性が高い性感染症です。自分に症状があったり、妊婦健診などで検査を受け陽性だったりした場合は、パートナーも感染している確率が高いため検査を受けてもらいましょう。
ただし、「パートナーは陰性なのに自分は陽性だった」という状況は起こり得ます。パートナーだけ本当に感染しておらず陰性だったという場合もありますが、実際に感染しているのに不適切な検査方法によって偽陰性が出ている場合の人が多いです。
性感染症の治療は、本人とパートナー同時に治療を始め、完治まで継続するというのが原則です。病院で適切な検査、治療を受けることを心がけましょう。
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