淋菌感染症は代表的な性感染症のひとつですが、具体的にどのような症状が現れるのかわからない人も多いのではないでしょうか。淋菌感染症は、必ずしも症状が現れるとは限りません。
しかし、治療せずに放置すると重症化するリスクもあるため、症状の特徴や検査方法などについて正しく理解することが大切です。この記事では、淋菌感染症の症状や検査について詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
淋菌感染症はどんな病気?
淋菌感染症は、一度の性行為でも感染してしまうほど強い感染力をもつ性感染症です。性活動が活発な20~30代の若者に多くみられ、その感染者数は年々増加しています。男性は尿道炎を、女性は子宮頸管炎を引き起こしますが、女性は症状が出にくいため、感染に気付かず相手に移してしまう場合もある病気です。また、性器だけでなく喉や直腸、手指を介して眼に感染することもあります。
淋菌感染症の概要と症状
淋菌感染症は淋病の正式名称で、淋菌と呼ばれる細菌に感染することで発症する性感染症です。淋菌は「りんきん」と読み、強い感染力が特徴です。そのため感染が拡大しやすく、代表的な感染症の一つとも言われています。
症状は男女で異なり、男性は尿道から膿が出たり、排尿時に痛みを感じたりするなどの症状が挙げられます。女性の場合おりものの増加や悪臭、下腹部が痛むなどの症状が現れますが、自覚症状が乏しいことが特徴です。そのため、パートナーの発症から自身の感染に気付くケースも少なくはありません。
また、喉に感染すると咳や声のかすれなどの症状が現れますが、風邪と勘違いしやすいため、気づかず感染を広げてしまう場合もあります。自然治癒しないことから、治療しなければ重症化して深刻な病気を発症する可能性が高まるため注意が必要です。
淋菌感染症とクラミジアの違い
淋菌感染症は、クラミジアよりも強い症状が現れやすい傾向にあります。
具体的な違いは次の表をご覧ください。
淋菌感染症 | クラミジア | |
細菌 | 淋菌 | クラミジア・トラコマチス細菌 |
潜伏期間 | 数日~7日程度 | 1~3週間程度 |
男性の症状 | 尿道からの膿(黄白色・粘り気がある)尿道が熱を帯びる副睾丸の腫れ | 尿道からの膿(透明・白)精巣上体が腫れる |
女性の症状 | 黄や黄緑のおりものがでる外陰部が腫れる頻尿排尿時に痛みがでる膀胱炎のような症状がでる | 下腹痛 |
目の充血 | 感染の1~2日後 | 感染から1週間後 |
目やに | 膿性・量が多い | 膿性 |
特に大きな差が現れるのが目に感染したときの症状です。淋菌感染症は目の腫れが酷く、目やにも大量に出ます。また、淋菌は目の角膜にも感染するため、悪化すると角膜に穴が開いて失明する可能性もあるため注意が必要です。
淋菌感染症は発症が早く、症状も強く現れるため、少しでも異常が現れたら医療機関の検査を受けましょう。
淋菌感染症の原因と感染経路
淋菌感染症の主な原因は性行為による感染です。淋菌は湿った環境を好み、粘膜で増殖する特徴があります。感染経路となりやすい箇所は次のとおりです。
- 精液
- 腟分泌液
- 感染した部位の粘膜
淋菌感染症に気付きやすいのは性器から性器への感染ですが、近年はオーラルセックスによる性器から喉への感染も増加傾向にあります。キスによる感染は起こりにくいと言われていますが、喉に感染している時は避けたほうがよいでしょう。
また、妊娠中に淋菌に感染すると母子感染のリスクも高まります。妊婦さんが淋菌に感染すると早産や流産の危険もあり、赤ちゃんに感染すると命にかかわる症状がでる可能性もあるため注意が必要です。
あらゆる経路から感染するだけでなく発症にも気付きにくいため、感染しているとは知らずに広めてしまう悪循環になりやすいのです。
淋菌の検査について
淋菌感染症は医療機関や保健所で検査を受けることによって、感染の有無を調べることができます。少しでも感染の不安を感じたら、速やかに検査を受けましょう。淋菌感染症は症状が出にくく、女性であれば初期段階は無症状が大半です。しかし、淋菌感染症を放置してしまうと重症化し、深刻な病気を発症してしまう可能性も高まります。不妊症・無精子症の原因ともなるため、早めに検査して治療し、完治させることが大切です。
淋菌の検査はいつから?
少しでも淋菌感染症の症状に思い当たった場合は、速やかに検査を受けましょう。淋病は潜伏期間が短く、感染して1週間以内には症状が現れます。おりものの異変や腹痛、尿道からの膿など異変が出たときは医療機関で検査を受けてください。ただし、次の場合は正確な検査が行えませんので注意が必要です。
- 抗生剤を服用している
- 生理中
喉に発症した時、風邪の症状と似ているため抗生剤を服用することがあります。しかし、抗生剤を服用した状態で淋病の検査を受けてしまうと、正しい判定が行えません。服用した時は検査前に医師に相談しましょう。
生理中も経血が邪魔をしてしまい、正しい判定が行えません。再検査となる可能性が高いため控えたほうがよいでしょう。淋菌感染症は自然治癒しないため、正しい治療を行って完治させる必要があります。違和感があればすぐに検査を受けることが大切です。
淋菌の検査は大きく分けて2種類
淋菌の検査は大きく分けて「即日検査」と「通常検査」の2種類があります。即日検査は名前のとおり、検査してすぐに判定結果が分かります。通常検査は判定に時間はかかりますが、精度の高い検査が可能です。
即日検査 | 通常検査 | |
特徴 | 精密検査より精度は低い結果がすぐにわかる | 感染が疑われるときに有効無症状でも検査できる |
検査結果が出る時間 | その日のうち | 1~2週間 |
向いている人 | すぐに結果を知りたいすでに症状が出ている | 症状が出ていないが検査を受けたい |
強い症状が現れている時は即日検査を、症状はないけれど感染の不安があるときは通常検査を受けましょう。その際、淋病の検査とあわせてクラミジアの検査も同時に受けるのがおすすめです。20~30%の淋病感染者がクラミジアを併発していると言われています。感染の不安がある場合は、忘れずに2つの病気を検査しましょう。
淋菌即日検査(イムノクロマトグラフィー法)
性器に強い症状が出ている人向けの検査方法です。精密検査ほどの精度はありませんが、15~30分程度で判定が出ます。
向いている人 | すぐに結果が知りたい性器に強い症状が出ている |
不向きな人 | 精度の高い検査を受けたいのどや肛門に症状が出ている |
検査は簡易キットを使って行います。尿や膣分泌液を採取して抽出液をつくり、検査キットに滴下して感染しているかを確認します。短い時間で結果がわかるため、淋菌の感染がみられればすぐに適切な治療を受けられるメリットがあります。
ただし、淋菌即日検査は性器の検査であるため、喉や肛門の感染は判定できません。目も同様です。性器以外に症状が現れたときは対応できませんので、注意しましょう。
淋菌検査(リアルタイムPCR法)
淋菌検査は、無症状でも検査が受けられます。精度も高いため、淋菌の増え方の変化までわかります。
向いている人 | 症状が出ていないが検査を受けたい喉や肛門に症状が出ている |
不向きな人 | すぐに結果が知りたい |
簡易キットを使った検査とは違い、病原体の遺伝子をターゲットにして検査を行います。症状が出ていなくても感染の有無がわかるため、少しでも不安を感じたときに最適な検査方法と言えます。
ただし、無症状の場合は検査を行うタイミングに注意が必要です。淋病の潜伏期間は2~7日程度であるため、感染した可能性のある日から最低でも2~3日以上経過しなければ検査は受けられません。
また、検査は医療機関で実施しますが、検体は専門の外部機関に委託されているため、結果の判定に時間がかかるというデメリットもあります。正確な判定結果が得られる特徴がありますが、デメリットも理解したうえで検査を受けましょう。
淋菌の検査に関するQ&A
淋菌感染症は放置すると重症化するリスクがあるため、すぐに医療機関で検査を受けて治療することが大切です。しかし、病院で検査を受けたくない人や、無料で検査を受けたい人もいるでしょう。これらの悩みから検査を先延ばしにしてしまう人もいるかもしれません。
ここからは淋菌の検査に関する疑問を解説していきます。それぞれメリット・デメリットがありますので、それらを踏まえて自分にあった検査方法を選択してください。
1.淋菌感染症は保険適用される?
淋菌感染症の検査は、症状の有無によって保険の適用が異なります。症状が出ていない場合は自由診療となり、検査費用を全額負担しなければなりませんので注意しましょう。
保険適用 | 症状が出ている |
保険適用外(自由診療) | 無症状検査結果が陰性 |
症状が出ている場合は、治療費に保険が適用されます。ただし、検査費用はクリニックによって異なりますので、価格が気になる人は検査前に問い合わせましょう。
無症状の場合や、検査結果が陰性となると保険適用外となるため、検査費用が高くなります。自由診療は費用の観点からデメリットが大きく感じますが、もちろんメリットもあります。例えば、自由診療は匿名で受けられるため、周囲に検査を受けたことを知られにくいという利点があります。保険適用外であるため、「医療費のお知らせ」も届きません。
2.無料で検査をするには?
無料で検査を受けたい場合は、保健所を利用するとよいでしょう。保健所であれば費用がかからず、匿名でも検査が受けられます。ただし、デメリットもあるため注意が必要です。
メリット | 無料で検査を受けられる匿名検査可能 |
デメリット | 検査できる病気が限られている検査日が限定されている1日の定員が決まっている |
基本的に保健所で検査できる病気は、淋病・梅毒・クラミジア・HIVの4種と限られているため、精密な検査を受けたい人には不向きです。さらに、検査が可能な保健所が限られていることから、近場で検査が受けられるとは限りません。保健所を利用する際は、必ず事前に淋病の検査が受けられるか確認してください。
また、診断書は発行されないため、治療を受ける医療機関で有料の検査を受けることになります。無料であること以外にメリットは少ない点を頭に入れておきましょう。
3.病院で検査したくない人は?
病院で検査したくない人は、検査キットを活用することで手軽に感染を調べられます。検査キットでの検査が向いているのは以下に当てはまる人です。
- 病院での検査に抵抗がある
- 病院で検査を受ける時間が取りづらい
検査キットは医療メーカーからネット購入できますので、自分に合ったキットを選んでください。主な検査キットは次の3つです。
検査名 | キットの使い方 |
膣分泌液採取キット | 膣内に綿棒を3~4cm挿入して分泌液を拭いとる採取容器に綿棒を入れる |
うがい液採取キット | キットのコップに水を入れ、すべて口に含んでうがいをする水をコップに吐き出し採取容器を使ってうがい液を採取する |
尿検査 | 起床後の尿を採取し、採取容器の目安量まで入れる |
検体を採取したら指定された専門機関へ郵送することで、2~5日ほどで判定結果が出ます。結果はメールや電話、ネットからも確認できるため、陽性反応が出た場合は速やかに医療機関で治療を受けましょう。
4.パートナーの検査も必要?
少しでも淋病の症状が現れたときは、パートナーと一緒に検査を受けましょう。淋病は感染力の強い病気です。たった一度の性行為でも感染してしまうと言われているため、自身に症状が現れたときはパートナーも感染している可能性があります。
また、どちらかが完治しても相手が完治していなければ、もう一度淋病を発症してしまうことがあります。これは「ピンポン感染」と呼ばれており、同時に治療を行わないことで淋病を移し合ってしまうのです。淋病は適切な治療をすれば、再発することはありません。しかし再感染は起こりますので、ピンポン感染が起きると悪循環に陥ります。
感染の可能性があればパートナーとともに検査を受け、陽性であればすぐに治療を受けましょう。治療後は必ず再検査を行い、お互い完治しているか確認することが大切です。
まとめ
この記事では淋菌感染症の概要・検査方法についてまとめました。淋菌感染症は初期症状が軽いものの、重症化すると不妊リスクが高まる病気です。性器だけでなく喉や直腸にも感染し、目に感染した場合は最悪失明してしまう危険性もあります。
特に女性は無症状であることが大半であるため、感染に気付かず相手に移してしまうこともあり得るのです。そのため、少しでも不安に感じたときは、早めに医療機関・保健所・簡易検査キットを使って検査しましょう。パートナーと共に検査を受け、どちらかが感染した場合は完治しても再検査を忘れずに行ってください。
性行為にはコンドームを使用するなど、感染を防ぐことも大切です。淋菌感染症は自然治癒しないことを理解して、早期発見・適切な治療を行いましょう。
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