性感染症の1つである梅毒。しこりや潰瘍などの初期症状はあるものの、無痛だったり自然に軽快する時期があったりするため感染に気づいていない方もいるでしょう。しかし、進行性の病気である梅毒は、積極的に治療しないと完治しないどころか、放置すると命にかかわる危険性があります。
本記事では、梅毒が進行する経過や、治療方法などについて解説します。少しでも気になる点がある方は、積極的に検査を受けて健康体を守りましょう。
梅毒とは
梅毒(ばいどく)とは、「梅毒トレポマーネ」と呼ばれる細菌による感染症です。性的な接触により感染することが多いため、性感染症の1つとして知られています。
主な症状は、しこりや潰瘍、赤い発疹などがあげられます。別名「模倣の名人」とも呼ばれ、全身にさまざまな症状をきたすケースもあり、医師でも梅毒かどうかの見分け方が難しいこともあります。適切な治療を行わなければ、深刻な健康状態に陥る可能性もあるため、梅毒にかかっているかもしれないと感じたら、必要な検査を受けるよう心がけることが大切です。
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【梅毒の症状】初期~第2期に注意!
梅毒に感染すると、初期症状にしこりや潰瘍などがみられるものの、痛みを伴わないことが多くあります。「無症状性梅毒」とも呼ばれ、部位によっては発症に気づかないことも。また一時的に、自然治癒のように軽快するため、治ったと勘違いしてしまう方もいます。
現代では検査体制が整っているため発見・治療が早く、第3期や第4期の症状があらわれる方はほとんどいません。しかし、梅毒の感染力が強いのは、感染から1年未満の第1期~第2期とされているため、少しでも気になる症状があらわれたり身近な方の感染が判明したりするさいには、必ず検査を受けるよう心がけましょう。
第1期(初期症状)
初期症状では、しこりや潰瘍などの皮膚症状が多くみられます。鼠径部のリンパ節が腫れるケースもあり、あらわれる症状には個人差があります。症状の多くは、痛みを感じない「無症状性梅毒」と呼ばれ、発症部位によっては、気づかぬまま第2期に移行していくことも。
気づきにくい部位に症状があらわれたり、自然に軽快したりするため、自覚症状がないまま進行してしまうリスクがあります。
第2期(3か月以上経過)
梅毒に感染して数か月が経つと、病原菌が血液中をまわり全身に症状があらわれるようになります。
梅毒性バラ疹 | 四肢や体幹、性器周辺に無痛性の紅斑ができる |
梅毒性脱毛 | 頭部全体にまだら状の脱毛がおきる |
扁平コンジローマ | 肛門周辺や外陰部にできるイボ軽い痛みやかゆみなどの不快感がある |
梅毒性粘膜疹 | 口周りや性器などの粘膜にできる口内炎のような赤や白の斑点ただれたり潰瘍を伴う場合もある |
第2期では、肝臓や腎臓など全身の臓器に影響を及ぼしている可能性があります。現代の梅毒は、この時点で発見・治療開始するケースが多く、第3期へ進行するケースはほとんどありません。しかし、ほかの感染症やアレルギー症状ではないかチェックするのも大切です。正しい診断や治療で、適切な処置をしましょう。
第3期、第4期
数年から数十年経過すると、第3期、第4期へと移行します。現代の日本では、検査体制が整っている点や、適切な抗菌薬の普及が進んでいることから、第3期まで進行してしまう患者はほとんどいません。
第3期では、「結節性梅毒」と呼ばれる、ゴム腫ができます。腫瘤が皮膚や筋肉、骨などに出て、周囲の組織を破壊してしまいます。また、第4期では、心臓系欠陥や中枢神経にまで病原菌が到達します。大動脈瘤の形成や、大動脈破裂を引き起こすと、命の危険があるため、早急な治療を心がけましょう。
【梅毒】国内感染者数の推移
日本では、1948年から梅毒に感染した方の数を追っています。梅毒患者は、2011年以降から増加しています。
男性 | 女性 | |
2011年 | 497 | 124 |
2012年 | 650 | 177 |
2013年 | 692 | 183 |
2014年 | 993 | 235 |
2015年 | 1,284 | 377 |
2016年 | 1,930 | 760 |
2017年 | 3,189 | 1,386 |
2018年 | 3,931 | 1,895 |
2019年 | 4,591 | 2,416 |
2020年 | 4,387 | 2,255 |
2021年 | 3,902 | 1,965 |
2022年 | 5,261 | 2,717 |
上記の表を見ても、ここ10年ほどで感染者が増加しているのがわかります。さらに、近年では20~30代の男女に多く、妊娠出産を控える女性の感染には特に気をつける必要があります。
梅毒の検査方法
梅毒かどうか診断するには、医師の診察と検査を用いて判断します。主に血液検査を導入している病院が多いものの、病変から検体を採取して顕微鏡で観察する検査や、PCR検査を行うところもあります。
検査は、病院や保健所のほか、インターネットや郵送を利用する機関などさまざまです。病院や保健所なら、即日検査で結果がわかる点がメリットといえます。一方で、検査キットを使用して郵送するタイプなら、自身の都合に合わせて検査できるため、仕事が忙しくて受診できない方や、誰にも知られずに検査したい方に向いています。
病院での検査
梅毒かなと感じたら、男性なら皮膚科や泌尿器科、また女性なら皮膚科や産婦人科で検査が可能です。
気をつけたいポイントは、感染機会から一定期間を空けないと、正しい検査結果にならない可能性がある点です。それぞれの検査方法に合わせて、適切な期間を空けてから受診しましょう。
病院では主に、2つの検査方法を採用しています。
TP法(TP抗体検査) | 感染機会から2ヶ月経過でOK | 即日結果が出る血液検査既往歴がある方は陽性反応が出るので注意 |
PRP法(PRP抗体定量検査) | 感染機会から4カ月経過でOK | 陰性・陽性だけでなく、数値と併せて判断する精密検査翌日以降に結果が出る血液検査既往歴がある方は、数回検査して数値の変化で判断することも |
そのほか、感染の可能性がある時期や状況などの問診もあるため、なるべく正確な情報を医師に伝えるよう注意しましょう。
検査キット
毎日忙しくてなかなか病院へ行けない方や、誰にも知られずに検査したいと考えている方に向いているのが、郵送での検査キットです。インターネットなどで検査キットを取り寄せれば、自宅で都合のよいタイミングで検体採取をし、郵送するだけで検査できます。結果はインターネット上で確認できたり、万が一陽性だった場合に協力医療機関の受診ができたりと、サポート体制が整っているのも魅力です。
また、各自治体の保健所で検査をする方法もあります。匿名・無料で検査可能な自治体も多く、HIVやほかの性感染症の検査がセットになっている場合があります。即日検査が可能なところもあるため、早く検査結果が知りたい方は、保健所の利用を検討するのもよいでしょう。
梅毒の感染経路について
梅毒は、粘膜や皮膚の接触が主な感染経路です。一番多いのは性行為で、アナルセックスやオーラルセックスはもちろん、キスだけで感染するケースもあります。
稀なケースですが、日常生活での感染もゼロではありません。
- 温泉やプールに入る
- 感染者が使用したトイレを使う
- くしゃみや咳がかかる
- 握手する
梅毒トレポネーマは、体外に排出されると数時間で死滅するといわれています。そのため、過度に心配する必要はないでしょう。また、傷口から菌が侵入するケースや、母子感染も否めません。近年、感染者が増加している背景も踏まえて、少しでも気になる点があれば、検査を受けることが大切です。
感染する確率
感染から1年未満の患者と性行為をした場合、コンドーム未装着の状態で1度の行為で感染する確率は15~30%といわれています。また、挿入せずとも、キスやオーラルセックスで感染するリスクもあるため、注意が必要です。
また、気をつけたいのが妊娠中の女性です。お産間近の妊婦が感染している場合、胎児に感染する「先天性梅毒」の可能性は60~80%といわれています。先天性梅毒は、早産や死産を招くほか、出生後に障害が残る可能性も否めません。症状は、生後すぐではなく数年経ってからあらわれる場合もあります。万が一、妊娠中に感染していると発覚したら、すぐに医師に相談し早期治療を目指しましょう。
梅毒の潜伏期間
梅毒の潜伏期間には個人差があり、1週間~13週間といわれています。一般的には3週間ほどで発症する方が多い一方で、先天性梅毒の場合、3ヶ月以内に症状が出ることが多くありますが、出生から数年後に発症する場合もあります。
梅毒の治療法
梅毒を治療するには、ペニシリン系の抗菌薬を使用します。2019年以降、国内で「ベンジルペニシリンベンザチン筋注製剤」の製造・販売が承認されたため、早期梅毒や後期梅毒、早期先天性梅毒に効果的な治療が可能になりました。注意すべきは、治療開始後24時間以内に発熱や発疹などの症状があらわれる場合がある点です。
第1期から第2期にかけて、ペニシリン系の抗生物質を服用する治療法が一般的といえるでしょう。
主な服用期間は以下のとおりです。
時期 | 服用期間 |
第1期 | 2~4週間 |
第2期 | 4~8週間 |
第3期 | 約12週間 |
このほか、症状により治療方法を変えることもあり、神経梅毒の治療には抗菌薬の点滴を行います。いずれにしても、梅毒は早期発見・早期治療で完治が目指せる病気です。
自然治癒しない
梅毒は進行性のため、自然治癒しません。第1期や第2期で、自然と軽快する時期はあるものの、治っているわけでなく、気づかないうちに第3期へと進行する可能性があります。なんとなく症状が落ち着いたからと放置してしまうと、気づいた時には取りかえしのつかないところまで進行しかねません。
梅毒は、第4期まで進行してしまうと、全身症状や臓器症状など、命にかかわる重篤な状態に進行する可能性のある病気です。少しでも気になる症状がある場合は、速やかに検査を受けましょう。万が一、陽性となった場合でも、決して自己判断せず、医師の指導のもと治療に取り組むことが大切です。
完治まで治療をやめない
自然治癒しない梅毒は、医師の管理・指導のもと完治を目指すことが重要です。梅毒は進行性の病気のため、途中で治療をやめてしまうと悪化する可能性が考えられます。自己判断で治療を中止するのは絶対にやめましょう。
病院では、抗生物質を服用するなどの治療をすすめながら、効果が出ているかどうかの検査を行います。
- PRP検査(PRP抗体定量検)
- 数値をみながら薬を処方
- 飲み終えたあと1~2ヶ月後に再度PRP検査を実施
- 6ヶ月間、経過確認をしながらフォロー
- PRP数値の下がり具合で判断
薬を飲み終えてから半年近くは、医師のチェックが必要とわかります。また、検査には性行為がない状態で行うなど制約も増えるでしょう。確実に完治するために、根気よく治療にのぞみたいものです。
梅毒の予防手段
梅毒への感染を予防する一番の方法は、感染者との性行為を避けることです。そのためにも、不特定多数との性行為は控えましょう。また、コンドームを適切に使用することも大切です。100%の予防策ではないものの、一定の予防効果はあるといえます。気をつけたいのが、性交渉の相手自身も病変に気づいていない可能性です。その場合でも、コンドームを正しく使用していれば、病変と粘膜や皮膚の接触を避けられるため、感染リスクを軽減できるでしょう。
また、少しでも異変を感じたら、早めの検査や医師に相談することも大切です。梅毒は早期に発見できれば治療期間も短く済みます。検査は、夫婦やパートナーと共に行うのもおすすめです。梅毒は、完治後に再感染する可能性がある病気です。自分だけ治しても、パートナーが罹患していたら再度感染してしまうリスクがあります。予防手段のひとつとして、身近な人と一緒に治療するのがよいでしょう。
まとめ
梅毒は治療をしないと命の危険がある病気です。しかし、きちんと検査や治療を行えば過度に心配する必要はありません。少しでも気になる症状に気づいたら、積極的に検査を受けることが大切です。家族やパートナーと健康的に過ごすためにも、予防手段を意識しながらコミュニケーションを取りましょう。
また、万が一感染してしまった場合は、早期治療と完治を目指しましょう。医師の管理・指導のもと治療すれば、きちんと完治します。適切な治療を心がけて、心身ともに健康的な日々を送ってください。
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