性感染症の中でも、クラミジアに次いで感染者が多いといわれているのが淋病です。一度感染しても、抗体が生成されずに再発するケースもあります。
また、淋病を放っておくと感染拡大のリスクや合併症を引き起こす危険性があります。パートナーも同様に感染している恐れがあるので、早期の治療が必要です。
ここでは、淋病の感染の原因や治療法、淋病と診断された後の注意点などを解説していきますので、淋病に対する正しい知識を持って治療・予防に努めましょう。
淋病とは
淋病の正式名称は「淋菌感染症」といい、細菌の感染によって起こる性感染症の一種です。
日本での淋病感染者はクラミジアと並んで多いとされており、自覚症状が少なく、一度の性行為による感染確率は30%と高いのが特徴です。
淋病の主な症状は、性器を中心とした感染部位の炎症です。淋菌性の尿道炎になると尿道が狭くなり、尿がポタポタとしか出せなくなることが病名の由来といわれています。
淋菌そのものは弱く、人の体内のみでしか生存・増殖することができません。従って、性行為やそれに類似する行為以外の日常生活での感染はまれです。
淋病は2〜7日ほどの潜伏期間を経て発症し、男女の性器だけでなく喉や目、直腸などの部位にも炎症を引き起こします。また、男女でも症状や感染部位に差があります。
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淋病の初期症状
【男性の場合】
男性が感染すると、主に尿道に炎症を引き起こします。これを「淋菌性尿道炎」といい、似た症状のあるクラミジアと比べて症状が強いのが特徴です。
初期症状は以下のとおりです。
- 排尿時の痛み
- 黄白色の膿(量が多い)
- 尿道の不快感、かゆみなど
比較的自覚しやすい症状がありますが、人によっては無症状なケースもあります。
【女性の場合】
女性が感染すると、主に子宮入り口にある子宮頚管(けいかん)に炎症を引き起こします。これを「淋病性子宮頚管炎」や「膣炎」といい、男性に比べて症状が軽微で、無症状なケースが多いのが特徴です。
初期症状は以下のとおりです。
- 帯下(おりもの)が増える
- 不正出血
- 軽い異臭
- 性行為時の出血(粘膜へのダメージ)
- 下腹部痛
これらの初期症状は淋病特有の症状ではないため、別な要因や一時的なものとして見過ごされるケースがあります。女性は、男性に比べて感染源になりやすい傾向が強いので、体調の変化には注意が必要です。
男女共通の症状
【淋菌性咽頭感染】
淋病の喉への感染であり、喉の腫れや痛み、発熱などの症状があります。無症状のケースが多く、症状があっても風邪の症状と似ているため自覚しにくいのが特徴です。
放置してしまった場合、咽頭炎・扁桃炎などを引き起こすリスクがあります。
【淋菌性粘膜炎】
目への淋病の感染で、まぶたの腫れや目の充血などの症状があります。濃や目やにが出る、白目がゼリー状に盛り上がるなどの症状もあり、見た目にわかりやすいのが特徴です。
症状が悪化した場合、角膜を損傷し、失明する危険性もあります。
【淋菌性直腸感染】
肛門性交などによって淋菌が直腸粘膜に感染するケースです。
肛門のかゆみや不快感、激しい腹痛、下痢、血便などの症状があります。しかし、無症状のケースがほとんどであり、自覚しにくいため注意が必要です。
【播種性淋菌感染】
淋菌が血液中に入り、全身に影響を与えるまれなケースです。
発熱や倦怠感、髄膜炎、心内膜炎、関節炎、皮膚症状、肝周囲炎などの症状があります。
淋病と診断されたときの治療法
淋病感染が疑われる場合、尿検査を行ないます。検査結果は数日から1週間ほどかかりますが、症状がはっきりしている場合は、先に治療を行なうケースがあります。
主な治療方法は以下のとおりです。
- 点滴治療
- 抗菌薬治療
- 筋肉注射治療
それぞれの治療方法について解説します。
点滴治療
近年で一番有効とされる治療法で、セフトリアキソンという抗生物質を投与します。1回30分ほどの点滴を1回行なうだけで治療が完了するのが特徴です。
点滴治療のメリットは以下のとおりです。
- 成分が全身に素早く行き渡るため、有効性が高い
- 性器だけでなく、淋菌性咽頭感染も治療できる
症状が悪化している場合は、複数回の点滴を受けるケースがありますが、基本的には1回の点滴で治療が完了します。
抗菌薬治療
3種類の治療法の中でも手軽な治療法で、アジスロマイシンやオーグメンチンなどの内服薬を処方してもらいます。抗生物質による治療が可能な軽微な症状や他の治療法が使えない場合などに使用されます。
抗菌薬治療のメリットは以下のとおりです。
- 他の治療法よりも比較的安価
- 忙しい人でも治療できる
他の治療法と併用して使われることが多く、クラミジアを合併している場合にも使用されるのが特徴です。また、治療期間は約1週間程度となっています。
筋肉注射治療
点滴治療と同様に効果的な治療法で、基本的に1回の注射で治療が完了します。症状の程度によっては注射回数が増えるケースもあります。
筋肉注射治療のメリットは以下のとおりです。
- 有効性が高い
- 腕への注射に比べて痛みを感じにくい
筋肉注射はスペクチノマイシンを臀部(お尻)に投与しますが、淋菌性咽頭感染の治療に不向きなため、点滴や内服薬での治療が必要です。
淋病の放置リスク
淋病は、放置していても自然に治癒することはありません。自覚症状がなくても、感染が疑われる場合は治療が必要です。
また、放置することで重症化する危険性があります。男女それぞれで重症化した場合のリスクを解説します。
重症化による症状【男性の場合】
男性の場合は、性器から前立腺や精巣上体(睾丸の後ろ側にある)へと感染が広がります。
重症化することで起こる症状
- 前立腺炎
- 精巣上体炎
精子の機能低下や、精子の通り道が閉塞してしまうことによる無精子症などの原因となり、改善には手術を要するケースもあります。
重症化による症状【女性の場合】
女性の場合は、膣や子宮頚管から感染を広げ、最終的に肝臓にまで感染が拡大する恐れがあります。
重症化することで起こる症状
- 子宮内膜炎
- 卵管炎
- 卵巣炎
- PID(骨盤内炎症性疾患)
- 肝周囲炎
主に腹部周辺に痛みをともなうことが多く、炎症が長期化した場合には不妊症の原因にもなりますので、早期の治療が必要です。
淋病になる原因
淋病の感染経路のほとんどは性行為によるもので、避妊具を使用せずに性行為を行なった場合が感染経路として最も多くなっています。
主な感染経路
- 性行為による感染
- 粘膜感染
- 母子感染
性行為だけでなく、粘膜への接触などによっても感染するリスクがあります。
性行為による感染
感染経路で最も多いとされるのが性行為です。特に、避妊具不使用での性行為の感染率は30~50%と感染率が高い傾向にあります。
さらに、フェラチオ(フェラ)やクンニリングス(クンニ)などのオーラルセックスが原因で、淋病に感染した場合の淋菌性咽頭感染の感染率は20~30%です。
通常のキスや回し飲み程度の接触であれば感染率は低くなっていますが、唾液を介した感染の可能性は否定できません。
粘膜感染
性行為だけでなく、淋病が付着した手指や感染者の使用したタオルや下着、浴槽の床などに接触することで、粘膜を通して感染するリスクがあります。
その他に、淋菌に感染した粘膜や体液を触った手指で目をこすった場合、目に感染するケースもあります。
淋菌は粘膜がなければ生存できない特徴がありますので、感染者の使用した下着などと一緒に洗濯しても感染することはありません。
母子感染
淋病の感染経路として、出産時の母子感染も挙げられます。一般的に生後2~5日目に発症し、新生児の目や関節、血液に感染し重症化した場合、失明や死亡するリスクがあります。
主に産道を通るときに感染する確率が高いので、出産前に治療しておくことが大切です。また、妊婦が淋病に感染した場合、早産や破水、流産の原因となるケースもありますので、早めに治療を行なう必要があります。
淋病と診断された後の注意点
淋病と診断された場合、完治するまでにいくつかの注意点があります。治療中は決して自己判断せずに医師の指示に従いましょう。
注意点は次のとおりです。
- 性行為をしない
- パートナーにも検査を受けてもらう
- 処方された薬は飲み切る
それぞれの注意点について解説します。
性行為をしない
感染を拡大させる恐れがあるため、治療中の性行為は禁止です。避妊具を使用しても「絶対安全」ではありませんので注意しましょう。
また、性行為に準ずるオーラルセックスも、パートナーの喉に感染するリスクがあります。基本的に性器や喉など、粘膜同士の接触は禁止となります。
パートナーにも検査を受けてもらう
淋病は性行為による感染経路がほとんどのため、パートナーも感染している恐れがあります。パートナーに症状が出ていなくても、男女で症状の程度などが異なるため、一緒に検査を受けるのがおすすめです。
淋病は再感染する危険性があり、どちらかが完治していないと「ピンポン感染(卓球のように、お互いにうつしたりうつされたりを繰り返すこと)」する危険性があります。自分だけの病気ではなく、パートナーにも関係がある病気だという認識が必要です。
また、淋病と診断された場合クラミジアに同時に感染している危険性があり、淋病の治療完了後にクラミジアの感染が進行していたというケースもあります。
このような見逃しを防ぐために、淋病検査を受ける際はクラミジアの検査も受けることをおすすめします。
処方された薬は飲み切る
抗菌薬治療法やその他の治療法と一緒に内服薬を処方された場合は、淋病の症状がなくなっても、薬を最後まで飲み切るようにしましょう。自己判断で治療を止めてしまうと、淋菌が再び活性化する恐れがあります。
処方された薬を飲み切った後、尿検査によって淋菌が完全に消失したことを確認するまでは、完治とはいえません。
また、近年発見された淋菌の中には、治療薬に耐性のあるものが存在します。この場合、治療後に陽性反応となりますが、治療薬の用量増加や他の抗生物質への変更・併用などによって治療が可能です。
淋病にならないための予防法
淋病の感染予防としては次の2つが挙げられます。
- 必ず避妊具を使用する
- 不特定多数の相手と性行為をしない
これらの方法は完全に予防するものではなく、あくまでもリスクを減らすものです。感染を拡大しない・感染しないという意識を高めることが重要です。
必ず避妊具を使用する
淋病は粘液の接触で感染します。避妊具を正しく使用することで、感染部位との接触を避けられます。
避妊具は挿入時だけでなく、オーラルセックス時にも必ず使用しましょう。避妊具なしの場合、パートナーの喉への感染リスクが高くなります。
また、挿入時には新しい避妊具に取り替え、性器への感染を防ぐことをおすすめします。
不特定多数の相手と性行為をしない
避妊具の有無に関わらず、不特定多数の相手との性行為は、人の数だけ感染リスクが高まります。
さらに、誰から感染したのかの判別が付きにくく、ピンポン感染の原因にもなります。自分だけでなく、パートナーのためにも特定の人とだけ楽しむようにしましょう。
また、特定の相手としか性行為を行なっていなくても、数ヵ月に1回程度は検査を受けることをおすすめします。淋病は性行為をするなら誰でも感染リスクがあり、感染しても無症状なケースもありますので注意してください。
まとめ
クラミジアと並び日本での感染率が高い淋病は、人によって症状の程度が大きく異なり、見た目だけでは感染しているかどうかを判断できません。
感染の主な原因は、性行為やオーラルセックスによる粘膜の接触によるものです。また、感染者の使用した衣類などに淋菌が付着している場合にも感染する恐れがあります。
さらに、妊婦の場合には早産、流産などの危険性や新生児への感染のリスクもあります。新生児が感染した場合、失明や命を失う可能性もあり、早期治療が必要な病気です。
心当たりがあったり、性器などに異変を感じたりする場合は、パートナーと一緒に早めに検査を受けましょう。感染しているかどうかに関わらず、パートナーを守るためにも検査をして安全を確かめることが重要です。
自分自身とパートナーのために、淋病を含む性感染症に対する正しい知識を身につけて、性感染を予防しましょう。
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