【放置は危険】淋病の感染経路や治療方法とは

淋病は無症状の場合が多く、女性のパートナーに症状が現れて初めて自分の感染を知る方も多いのではないでしょうか。今回は淋菌が感染するとどのような症状が起こるのか、よく似ているクラミジア感染症との違いや症状、検査、治療法について解説しています。

淋病の感染が気になる方やパートナーに気になる症状がある方は、早期発見と早期治療につなげられますので、参考にしていただければと思います。

淋病とは

淋病は細菌の一種である淋菌が体内に侵入し感染することにより発症します。クラミジアや尖圭コンジローマと同様に5類感染症へ位置づけられている性感染症です。世界各地で発症報告があり、日本でも通年報告例があります。

感染部位の粘膜や分泌物中に存在し、性行為や類似行為で直接粘膜に触れることによって感染します。そのためヒトからヒトへ感染するものとされています。

国立感染症研究所の調査によると、1999年以降は連続して増加傾向にあり、20代前半の若年層に感染が最も多いと発表されています。報告数の男女比としては男性の方が多いです。実際には自覚症状が乏しいため女性の受診機会の少なさが要因とされています。

淋病とクラミジアの違い

淋病に似た症状としてクラミジア感染症があります。感染経路や症状にさほど差はなく、病原体や治療方法が異なるのみです。そのため視診や問診だけでは淋病なのかクラミジア感染症なのかわかりません。

淋菌は人の粘膜から剥がれ落ちると、数時間で感染する力がなくなってしまいます。そのためタオルなどを介して触れることで感染することは稀でしょう。一方、クラミジアは分泌物が手に付着して状態で粘膜へ触れると感染する力は残ってるため注意が必要です。

淋病とクラミジアでは検査方法なども異なります。治療する場合には必ず受診した医師に確認しましょう。

【心あたりがない人必見】淋病の感染経路

淋病の感染経路はさまざま考えられます。以下が考えられる感染経路となります。

  • 性行為または性交類似行為による接触
  • 手指やタオルなどを介して間接的に感染する
  • 出産時に産道から母子感染する(産道感染)

性行為による粘膜同士の接触により感染する場合が一番多い感染経路です。また口腔性交により咽頭に淋菌が感染し、淋菌性咽頭炎となることもあります。性行為をした相手に淋病の症状が診られた場合には必ず検査を受けるようにしましょう。

前項でも少し触れましたが、淋病は感染者の粘膜から離れると数時間程度で感染能力がなくなってしまいます。そのためタオルや手指からの感染は稀ですが、性行為中に分泌物が着いた手指で相手の粘膜に触れると感染してしまう可能性があります。

母子感染では妊婦が性器に淋菌の感染があり、新生児が産道を通って出てくる際に接触することで感染するリスクがあるので注意しましょう(産道感染)。

【男女別】淋病の主な症状

淋病の症状は男女の違いや淋菌が感染する部位の違いによってさまざまです。症状は比較的無症状から軽度のため、気が付かないうちに感染してしまっていることも多いです。下記の症状に心あたりがある場合には必ず受診をしましょう。

共通の症状

共通の症状としては、肛門のかゆみ、直腸分泌物の混濁、出血、咽頭痛、発熱、移動性疼痛、関節腫脹などが出現します。症状が多岐に渡る理由は口腔性交によって口腔内感染する場合や肛門性交による直腸内感染する場合があるためです。具体的な病気は以下です。

  • 直腸淋菌感染症
  • 淋菌性咽頭炎
  • 播種性淋菌感染症
  • 淋菌性化膿性関節炎

直腸淋菌感染症は直腸に淋菌が感染することを指しますが、通常は無症状です。症状が出現する場合は肛門のかゆみ、直腸分泌物の混濁、出血などが見られます。直腸鏡による視診で発赤や膿が混じった浸出液が見られることもあります。

淋菌性咽頭炎は口腔性交により、咽頭に淋菌が付着して感染するものです。こちらも通常は無症状ですが、咽頭痛が生じる場合もあります。

播種性淋菌感染症は関節炎-皮膚炎症候群とも呼ばれており、発熱や移動性疼痛、関節腫脹などの症状が特徴です。肘、手、膝、足の関節などの局所で発症すると淋菌性化膿性関節炎といわれ、発熱や重度の関節痛、運動制限が見られることもあります。

男性の症状

男性の場合、最小限の症状しか見られないケースもありますが、無症状の方はほとんどいません。男性特有の症状として、通常膿性の分泌物や排尿時痛が現れます。その原因の主な疾患として下記が挙げられます。

  • 男性尿道炎
  • 精巣上体炎

男性尿道炎は性行為など心あたりがある日から2~14日(文献によっては9日間)が潜伏期間です。軽度の尿道不快感から始まり日が経つにつれて陰茎の重度圧痛と疼痛が出現します。また排尿困難と膿性分泌物が出現し、尿道の後方になるにつれて尿意切迫や頻尿も生じます。

精巣上体炎は尿道から侵入した淋菌が精巣上体(コイル状の管で精巣上部にある)に感染することが原因です。精巣上体に炎症が起きることで片方または両方の陰嚢が腫脹し熱感を持ちます。また圧痛と疼痛を伴って尿道周囲膿瘍やカウパー線、前立腺などに感染をきたすこともあります。

女性の症状

女性で淋病に感染した場合、約10~20%の方は無症状とされています。もしも下腹部の不快感や著明な圧痛、肛門の掻痒感などがあれば、女性は子宮や骨盤内の臓器があるため感染しているリスクが高く、下記のような病気の併発が考えられます。

  • 子宮頸管炎
  • 骨盤内炎症性疾患
  • フィッツ・ヒュー・カーティス症候群

子宮頸管炎の潜伏期間は通常10日以上です。症状は人により軽度から重度までさまざまで、症状としては帯下の排尿困難です。膿性の分泌物を内診で確認でき、子宮口の発赤や膣鏡を挿入するだけで出血することもあるでしょう。

感染した女性の約10~20%が骨盤内炎症性疾患を生じます。骨盤内炎症性疾患とは卵管炎や骨盤性腹膜炎、骨盤内膿瘍の総称です。両側の腹部不快感や性交時の痛みや圧痛を伴うこともあります。また骨盤内炎症性疾患から腹膜炎になり肝周囲炎となるものをフィッツ・ヒュー・カーティス症候群と呼びます。

女性は感染により子宮頸管炎や骨盤内炎症性疾患を伴うことで不妊の原因ともなるため、注意しましょう。

淋病の潜伏期間

淋菌の潜伏期間としては、2日間から9日間とされています。心あたりがあれば、心あたりがある日より2日以上経過していた場合に検査を受けられます。症状がないからといって、この期間に改めて性行為を行うとピンポン感染(片方の治療後に再度感染させてしまうこと)となる危険性があるため、必ず不特定多数との性行為は控えましょう。

また淋菌は一度感染しても免疫を得ることができません。潜伏期間は症状が出るまでの増殖期間ですので、この時期に性行為を行うと感染リスクが大幅に高まります。潜伏期間を終えて自覚症状がないものの、すでに感染はしている無症状期間である可能性もあるかもしれません。

自覚症状がないため感染した日がわかりにくいですが、少しでも心あたりがあれば受診を検討しましょう。そしてパートナーにも受診するように促すことが大切です。

淋病の主な検査方法

淋病は早く見つけられれば、症状の悪化を防ぐことができて早期治療が可能です。淋病の検査はさまざまあるため、自分に合った方法を医師と相談して決めましょう。検査の種類は多くありますが、今回はイムノクロマト法とTMA法、PCR法を紹介します。

イムノクロマト法

イムノクロマト法は抗原抗体反応を利用して抗体を検出する検査方法です。検体をキットに垂らして一定時間放置したのち、目視で反応を確認します。大がかりな設備がいらず、検査を簡易・迅速に行うことが可能です。

TMA法

TMA法はrRNAを利用した精密検査ですが、即日結果が判定できる迅速性も兼ね備えています。rRNAをターゲットにしているため、数千個の淋菌のrRNA遺伝子を対象としており、精度も高いです。精密検査と迅速検査のメリットを併せもっている検査といえるでしょう。

男性は採尿、女性は膣の分泌物を採取するのみで遺伝子検査が可能です。生理中の場合には検査ができないため、生理期間が終了してから実施します。高精度の検査で早く結果を知りたい方には向いている検査方法です。

検査をする場所によってはTMA法を行っていないクリニックもあるため、あらかじめ電話にて確認したほうがよいでしょう。

PCR法

PCR法はTMA法と違い、淋菌のDNAをターゲットにして検査をします。DNAは熱により分解され、酵素が付着してDNAを伸ばし増幅させる方法です。そのため、検体を採取してから結果が出るまでに2~4日ほどかかってしまいます。

精度としては約9割以上の検出率があるため、信頼できる検査といえるでしょう。また男女ともに採尿のみで検査可能で、検体採取をする抵抗感は少なくて済みます。時間を要する検査ですが、検体採取が簡単で精度も申し分ないため、急がない場合には選択してもよいでしょう。

淋病の治療法

淋病の治療法は抗生物質の点滴、飲み薬、筋肉注射から選択して行われます。場合によっては併用して治療が行われることもあります。

点滴治療

近年では点滴による単価投与での治療が一般的になってきました。尿道や子宮頸部、直腸、咽頭などに合併症のない状態であれば、セフトリアキソンの静脈内注射とアジスロマイシンの内服単回投与で治療を行います。もしも合併症がある際には他の抗菌剤を投与します。

淋菌性関節炎を伴う播種性淋菌感染症であれば、初回投与は抗菌薬(セフトリアキソン24時間毎、セフチゾキシム8時間毎、セフォタキシム8時間毎)の筋肉注射または静脈内注射を症状がなくなるまで24時間~48時間行います。その後は抗菌薬の経口治療へ移行します。

抗菌薬治療

第一選択薬として合併症がない場合には点滴治療と併せて、アジスロマイシン1gを経口投与します。アジスロマイシンにアレルギー反応を示す方やすぐに吐いてしまう方の場合には、アジスロマイシンの代わりにドキシサイクリンを1日2回内服し7日間の継続が推奨されています。

他にもセファロスポリン系の使用ができない場合には、下記の組み合わせで抗菌薬の内服投与を行います。

  • ゲミフロキサシンとアジスロマイシンの経口投与
  • ゲンタマイシンの筋肉注射とアジスロマイシンの経口投与

以前の単剤療法であるフルオロキノロン製剤やセフィキシムは薬剤耐性がつくられるため、現在は推奨されていません。

筋肉注射治療

淋病に対する筋肉注射は、点滴による治療と同様に推奨されている薬剤があります。合併症がなければ、セフトリアキソンとスペクチノマイシンを使用することが可能です。しかしアレルギーがあり使用できない場合には、他の抗生物質や飲み薬が選択されることもあります。

【放置は危険】淋病を放置する危険性

淋病は自然治癒はしないため、無症状のままパートナーへと感染していく場合もあります。パートナーのどちらかに症状が出てきて淋病の症状だと気が付いた場合には、すぐ一緒に受診をしましょう。放置しておくと下記のような危険性があります。

  • 不妊
  • 子宮外妊娠
  • 流産
  • 早産
  • 無精子病
  • 淋菌性結膜炎
  • 失明

特に女性の場合は妊娠、出産のリスクに関わってきてます。症状が無症状だからといって、そのまま放置してはいけません。またパートナーと一緒に受診し、同時に治療をしなければピンポン感染となり、再感染してしまいます。

下記のような症状が見られると重症化が考えられるので注意しましょう。

男性尿道不快感、排尿困難、膿性分泌物、患部の圧痛、陰嚢痛、陰嚢腫脹 など
女性排尿困難、膿性帯下、性交痛、発熱、右上腹部痛、悪心、嘔吐 など

まとめ

淋病は淋菌が感染することにより、さまざまな症状を呈します。クラミジア感染症と似たような症状が多いため、必ず専門医の指示に従って検査を受け、治療を行いましょう。またパートナーと一緒に受診することが大切で、ピンポン感染を防ぎましょう。

淋病は自然治癒しないため、そのまま放置しておくと不妊や子宮外妊娠など後の生活に影響してきます。痛みを伴わず、すぐに結果がわかる検査もあるため、心あたりがある場合には受診をしましょう。

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