妊娠したかもしれないと心配している時期に少量の出血があった場合、それは 着床出血 かもしれません。
着床出血とは文字通り、着床時に起こる軽い出血のことを指します。
多くの場合、この出血は非常に軽く、数時間から数日間続くことがあります。
色は通常、ピンクから薄茶色が一般的で、生理血とは異なることが多いです。
着床出血は妊娠が成立した際の初期兆候の一つとされています。
着床出血を疑う出血があったら、タイミングを見て市販の妊娠検査薬を使用してみましょう。
着床出血の兆候と症状
着床出血は妊娠したら必ず起こるわけではなく、起きたとしてもその兆候や症状は人によって異なります。
着床出血の一般的な兆候と症状は以下の通りです。
出血の色と量 | 着床出血は通常、軽い出血であり、色はピンクから 薄茶色が一般的です。生理血と比べると、量はかなり 少なく、数滴からわずかな斑点程度です。 |
出血の期間 | 着床出血は短期間、数時間から2-3日程度続くことが多いです。 長引く場合や量が多い場合は、他の健康状態の可能性も考慮する 必要があります。 |
出血のタイミング | 着床出血は、通常、受精後6-12日程度で起こります。 |
付随する症状 | 一部の女性は、着床出血と同時に軽いけいれんや 下腹部のピリピリとした感覚を感じることがあります。 また、乳房の張りや疲労感、気分の変動など、他の妊娠 初期症状が伴うこともあります。 |
個人差 | 着床出血の経験は女性によって大きく異なります。 一部の女性は明確な出血を経験する一方で、他の 女性はまったく気づかないか、または非常に微量で 見過ごしてしまうこともあります。 |
着床出血とは?
着床出血は、受精卵が子宮内膜に着床する際に子宮内膜に小さな傷がつくことで起こるとされている出血のことです。
妊娠成立のサインになりますが、着床の際、約25%の方にみられるといわれており、着床出血が見られない方が多いです。
着床出血は、着床の前後1~2日のみにみられます。
着床日はちょうど生理予定日と重なる頃であるため、着床出血と生理との見分けがつきにくいのです。
着床出血と生理の見分けがつかない場合には、妊娠検査薬を正しく使うことで正確に見分けることができます。
着床出血後、妊娠検査薬はいつから使える?
妊娠検査薬を正しく用いると、着床出血か生理かどうかを見分けることができます。
ただし、通常の妊娠検査薬は生理予定日の1週間後から使用可能となるため、生理予定日前後の出血の場合は「早期妊娠検査薬」という特別なキットを用いる必要があります。
この時期に妊娠の可能性があると分かったとしても、産婦人科で妊娠を確認できるのは妊娠5週目以降となりますので、受診までは結局1週間待つこととなりますので覚えておきましょう。
妊娠検査薬とは
妊娠検査薬とは、ご自身の尿を検査キットに垂らすことで、妊娠しているかどうかを判別するものです。
薬局やドラッグストアで購入することができます。
着床出血の可能性がある出血を経験した場合、妊娠検査薬を正しく用いることで、着床出血か生理かどうかを見分けることができます。
妊娠検査薬を使うタイミング
キットによって異なりますが、生理予定日の1週間後(妊娠5週目)から使用することができます。妊娠検査薬を正しい時期に正しく使った場合の精度は99%といわれており、少なくとも妊娠の可能性があるかどうかについては、非常に正確に判断することができます。
ただし、妊娠検査薬は後述するように、妊娠時のみに出るホルモンを検知して判定する仕組みなので、その妊娠が正常妊娠か異常妊娠(異所性妊娠や胞状奇胎などの絨毛性疾患など)かどうかについては判断することができません。
まれに、すでに流産しているのに赤ちゃん由来の組織が子宮に残っていることで、陽性と判定されてしまうことがあります。また、不妊治療中の方や閉経期の方は、ホルモンの影響などで正しい判定ができないこともあります。
妊娠検査薬の仕組みとは
妊娠検査薬は、母体の尿中に出てくる妊娠特有のホルモン(hCG:ヒト絨毛性ゴナドトロピン)を検出して、妊娠を判定します。hCGは受精卵の着床(=妊娠の成立)後、早ければ3〜4日程度で尿から検出できるようになります。
妊娠検査薬で安定して妊娠を確認できるのは、hCGの濃度が50 mlU/mLを超えたあたりです。
一般的には、生理予定日から1週間後(妊娠5週目)以降とされています。
病院で行う超音波検査で胎嚢(たいのう:赤ちゃんの入った袋)が確認できるのが、だいたいこの時期です。
心拍が確認できるのはさらに遅く、妊娠6週目以降となります。
したがって、「妊娠かな?」と思ったときは、まず市販の妊娠検査薬を使って妊娠しているかどうかの判別を行い、陽性を確認したのちに産婦人科を受診する、というのがベストな流れです。
着床出血と生理を妊娠検査薬以外で見分ける方法
妊娠検査薬以外で着床出血と生理を正確に見分けるのは、なかなか難しいことです。
その中でも、比較的精度の高い方法としては、出血量を確認する方法と基礎体温を測る方法があります。
出血量を確認する
着床出血はごく少量であり、生理よりも少ないといわれています。
また、色も生理1日目のような真っ赤な色ではなく、赤褐色や薄ピンクなどのことが多いです。
おりものに薄く血が混じる程度で終わる方も多いです。
ご自身の普段の生理の量や色と比べてみると良いでしょう。
ただし、普段から生理の量が少ない方の場合は、判定が難しいことがあります。
逆に、妊娠検査薬で妊娠反応が出ているのに生理のような鮮紅色の大量出血が見られた場合、また生理のように4~5日間出血が持続する場合は、異所性妊娠(子宮外妊娠など)や流産などの異常妊娠の可能性があります。
至急、病院を受診しましょう。
基礎体温を測る
基礎体温を測ることで、妊娠かどうかを見分ける方法があります。
基礎体温は、生理から排卵までの低温期と、排卵から生理までの低温期に分かれます。
妊娠している場合は子宮内膜が厚く保たれたまま生理がこないので、生理とともにくる低温期がなく、高温期が続きます。
通常は、排卵の後2週間ほどで生理および低温期が到来しますので、3週間経っても高温期のままという場合は、妊娠の可能性があります。
基礎体温で妊娠の可能性がわかるのは、次の条件を満たした場合です。
- 生理周期が規則的である
- もともと規則的な排卵があり、高温期と低温期が分かれている
- 基礎体温が正確に測れている
妊娠検査薬を使用する場合の注意点
妊娠検査薬を使用する場合の大切な注意点を、2つ挙げておきます。これらの注意点はともに、時間に関するものです。
注意点を守らずに妊娠検査薬を用いると、陽性のはずが陰性になったり、陰性のはずなのに陽性になってしまったりということが起こり、正しい結果が得られません。
フライングで検査しない
妊娠検査薬を使う上で最も大切な注意点が、「フライングで検査しない」ことです。
妊娠検査薬には、使う上でのおすすめの時期があり、それ以外の時期に使うと正しい判定ができません。
はやる気持ちはわかりますが、規定の時期より早く使用すると、妊娠していてもhCGの分泌量がまだ少なく陽性判定が出ないことがあるのです。
疑問が残る場合は、数日後に再検査するか、医療機関での検査を検討してください。
蒸発線が現れる場合がある
妊娠検査薬を使った時に、判定に困ることがあります。
規定の時間(通常は10分の製品が多い)を過ぎた後に、判定窓に陽性のラインとは明らかに異なるうっすらとした線が見えた場合です。このような薄い線を「蒸発線」と呼んでいます。
蒸発線は、陰性とお考えください。
蒸発線は尿中のhCGに反応して現れたわけではなく、尿に含まれる水分が蒸発し、尿中の成分が浮かびあたったものと考えられています。
妊娠検査薬の説明書にも、規定時間を超えて現れた陽性判定とは異なる色の線は、陰性と判断するよう掲載されている場合がほとんどです。お使いの妊娠検査薬の説明書をチェックしてみましょう。
まとめ
この記事では、妊娠検査薬と着床出血について簡単にまとめました。
妊娠した可能性がある時に起こる少量の出血は、着床出血の可能性があります。
着床出血と生理の区別がつきにくいこともよくありますが、妊娠検査薬を正しく使うと妊娠の可能性があるかどうかを高い確率で判断することができます。
妊娠検査薬で陽性の判定が出たら、早めに産婦人科を受診し、本当に妊娠しているかどうか、またその妊娠が正常妊娠であるかどうか、さらに妊娠の週数などについて確認してもらうと良いでしょう。
妊娠検査薬の使い方に自信がないという場合も、クリニックでに気軽に相談してみてください。
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