ピルは毎日飲むことで効果が発揮されるものですが、21日間服用した後は休薬期間があることをご存知でしょうか。この休薬中は体がどのような状態なのか、また避妊効果が持続しているのか、知らない方は意外と多いかもしれません。
ここではピルの飲み方や休薬期間についてあまり知らない方に向けて、休薬期間の重要性やピルの種類、効果から副作用などについて説明します。
ピルの種類
まずはピルの種類について1相性(そうせい)と3相性に分けてご説明します。
1相性ピル
1相性のピルには21錠の実薬全てに同じ成分、同じ配合量で女性ホルモンが含まれています。
成分が変わらないため、実薬であれば飲む順番を間違えても問題はありません。
3相性ピル
3相性のピルでは、ホルモン量の配合比率が3段階になっています。
3段階で配合量を変えている理由は、女性のホルモンバランスは生理周期ごとで変化しているからです。自然なホルモンバランスの状態に近付けるように、3相性のピルでは配合量を変化させています。
3相性のピルは成分が同じピルごとで色分けされているため、視覚的にわかりやすいようになっています。
ピルの休薬期間とは
ピルの休薬期間とは実薬を飲まない期間のことです。
ピルは28日で1サイクルですが、女性ホルモンが含まれた実薬はそのうちの21日間にわたって服用します。残りの7日間は偽薬(女性ホルモンなどが含まれていないもの)を服用するか、何も服用しない休薬期間であり、この間に生理(消退出血)が起こります。
休薬期間の7日が過ぎたら次のサイクルに入るため、また21日間かけて実薬を服用します。
ピルの休薬期間の重要性
休薬期間の重要性は下記の通りです。
- 出血があるかどうかで妊娠の有無を確認できる
- 休薬期間に卵巣を活動させられる
- 服用21日間と休薬を7日間にすることで生理周期を整えやすい
ピルを飲んでいる間は卵巣が休んでいる状態になります。その反対に休薬期間中は卵巣が活動し、卵胞が育つことになります。ピルにより長期間にわたって卵巣の活動を止めることは可能ですが、卵巣の機能を保つためには休薬期間を設けて定期的に活動させることが大切です。
また、正確に実薬を服用できている場合、休薬中もピルによる避妊効果は持続しています。ただし、休薬の7日を過ぎて8日〜9日ピルを飲まないと卵胞が育って排卵する可能性があり、そうなると避妊効果がなくなってしまうため注意が必要です。
休薬が7日間とされている理由には、卵胞が育ちきらない期間にピルが再開されるという意味もあります。
ピルの飲み方
上記でピルの服用サイクルや休薬期間の大切さについて説明しましたが、実際にピルはどのように服用するものなのでしょうか。
次は飲み始めるタイミングや、21錠タイプと28錠タイプについて、また服用の仕方を間違えたときについて説明します。
ピルを飲み始めるタイミング
ピルは基本的に生理開始後5日以内に服用を開始します。1週間飲み続けた時点で避妊効果が得られると考えてよいでしょう。
生理5日以内に飲み始める理由としては、ピルの服用で卵子の成長をすぐに止めることができるタイミングであること、また妊娠していないことがわかるからという2点が挙げられます。
ピル自体はいつから飲み始めても問題はありませんので、できるだけ早く避妊を開始したい方は一度その旨を医師に伝えましょう。
また、飲み始めの方法には「Day1スタート」と「Sundayスタート」の2つがあります。
Day1スタートは月経初日(月経開始から24時間以内)から飲み始める方法です。
Sundayスタートは、月経があった日の次の日曜日から飲み始める方法です(月経初日が日曜日の場合はその日に服用開始)。避妊効果が得られるまで少し時間がかかるものの、月経が週末に来ないようにできるメリットがあります。
21錠のピルの場合
21錠タイプは21日分の実薬のピルだけが入ったタイプです。1日1回、決まった時間に服用しましょう。
服用の時間帯は特に指定はありませんので、飲み忘れにくい時間帯を選ぶことが大切です。
21錠タイプでは休薬期間の7日間は服用するものがないため、服用の再開日を忘れないようにすることが大切です。
28錠のピルの場合
現在多く処方されているのが28錠タイプです。基本的な仕組みは21錠タイプと同じく、1日1回、21日にわたってピルの実薬を服用することになります。
28錠タイプでは、日数を数えやすくするために実薬とは色が違う7日分の偽薬も追加で含まれています。
休薬期間中は偽薬を服用するため、飲み忘れや日数の数え間違いをしそうな方は28錠タイプを選択するとよいでしょう。
ピルを飲み間違えた場合の対処法
特に問題がない例としては、実薬の期間中に偽薬を飲んでしまったときや、1相性のピルで実薬の期間中に飲む順番を間違えたときでしょう。
どちらも最終的に実薬を1錠飲んでいれば問題ありません。偽薬を間違って飲んだときは休薬期間中に日数を間違わないよう注意しましょう。
1日に2錠飲んでしまった場合も特に問題はありません。ただし、翌日の服用はやめずに、同じ時間帯に1錠服用しましょう。この場合、実薬が1つ減るため予備のシートがあれば補充します。なければそのシートのピルを飲み切って1週間休薬し、次のシートを飲み始めます。
3相性の場合、同じ色の錠剤を飲んだ場合は成分が変わらないため、飲む順番を間違えても問題はありません。しかし、違う色の錠剤を飲んでしまった場合は医師に相談をしましょう。
普段からサプリや他のお薬を飲んでいる方は間違わないように注意が必要です。
ピルを飲み忘れてしまった場合の対処法
1錠分の飲み忘れであれば気づいたときに1錠を飲み、その次の服用は毎日飲んでいる時間帯に飲みます。
結果的に1日に2錠飲むことになったとしても問題はありません。しかし、1日飲み忘れるとピルから得られていた女性ホルモンがなくなり生理が始まってしまう可能性があるため、注意が必要です。
また、服用の時間帯が2時間~3時間ほど前後してしまっても、ピルの効果に大きな影響はありません。
2錠分を飲み忘れてしまった場合は、一度医師に相談して対処法を確認しましょう。ピルの服用を止めて、生理が来たら服用を再開するなどの対応が取られます。
ピルを2日飲み忘れると避妊効果が下がります。服用再開後1週間が経つまではピルの避妊効果が十分とはいえないため、注意が必要です。
また、休薬期間の7日があけた後に実薬を飲み忘れてしまった場合(実薬服用から合計8日以上が空いたとき)、卵子が成長して排卵が起こる可能性があり、妊娠することがあります。
ピルの効果
低用量ピルには避妊効果、生理周期のコントロール、その他に生理痛の軽減や月経前症候群(PMS)の改善、子宮内膜症の改善、ピルの種類によっては肌荒れやニキビを防ぐことなどが期待されます。
また、中用量ピルは生理日の移動や緊急避妊のためにも使用され、アフターピルは妊娠の可能性がある性交渉から72時間以内や120時間以内に服用することで緊急避妊として使用されています。
ピルの副作用
服用を始めた2ヶ月〜3ヶ月ほどはホルモンバランスが整わないため、下記のような副作用がみられる可能性があります。
- 吐き気
- 乳房の張り
- 頭痛
- 下腹部の痛み
- むくみ
- 不正出血
- 気分の変化や落ち込み
- 肌荒れ
もし数ヶ月経ってもおさまらない場合や症状が悪化する場合は、処方されたピルが体に合っていない可能性もあるため一度医師に相談しましょう。
また、ピルに含まれる卵胞ホルモンには血を固まりやすくする作用があるため、重大な副作用として血栓症のリスク増加があります。
血栓症になる確率としては、年間1万人のうち1〜5人が血栓症になるといわれているところ、ピルを服用されている方では3〜9人という確率です。
特に喫煙者の方や肥満の方では血栓症になりやすいため、生活習慣においても注意が必要です。
他にはピルの服用が乳がんや子宮頸がんのリスク増加を起こす可能性も考えられているため、こちらも留意しておきましょう。
ピルの購入方法
ピルは医療機関で処方される場合と、オンライン診療で医師の診察を受けて家に配達される方法があります。
通販や転売サイトでもピルが販売されていることがありますが、購入は絶対に控えましょう。製造元がわからず、なかには不良品や偽物、本来のピルには含まれていない薬物が混入しているケースもあります。仮に服用して不調が起こったとしても、医療機関で十分なサポートを受けられない可能性が高いです。
また、喫煙者や肝機能が低下している方など、ピルの服用が適していない方もいます。医療機関にかからないと自分がピルを服用して良い状態かどうかわからないため、個人でピルを購入することや、誰かからもらって服用することはやめておきましょう。
まとめ
ピルの飲み方や休薬期間の重要性、ピルの効果や副作用について説明しました。
ピルの服用は21日間にわたっての実薬の服用と、残り7日間の休薬期間で1サイクルが成り立っています。休薬期間は、出血があることで妊娠の有無を確認すること、卵巣を活動させて機能を保つことなどから大切な期間です。
ピルの飲み方は21錠と28錠で多少の違いがあります。飲み忘れたときや飲み間違えたときも状況やタイミングにより異なりますので、実際に処方されたピルに合わせて医師に確認をしておきましょう。
ピルの良い効果だけでなく、副作用についても理解したうえでピルの服用を検討してください。