梅毒で蕁麻疹?感染してからの症状についても解説

性交渉後、体に蕁麻疹のような症状が出たことはありませんか。「梅毒に感染したのでは」と悩んでいる方もいるかもしれません。厚生労働省の公開している情報によると、2022年11月9日時点の梅毒の報告数は10,743件(男性7,085件、女性3,658件)と増加傾向にあります。

この記事では、梅毒における発疹と蕁麻疹の違い、梅毒の概要や検査・治療法などを解説します。発疹の症状でお悩みの方はぜひご一読ください。

参考:梅毒-性感染症|厚生労働省

梅毒の症状経過

梅毒に感染した場合、症状がどのように変化していくのか見ていきましょう。梅毒に感染すると、「1期」、「2期」、「3期」、「4期」(「1期」は「初期」、「2期」は「早期顕性梅毒」、「3期」「4期」は「晩期顕性梅毒」とも呼ばれる)の段階で症状が進行していきます。

1期(3週間~3ヵ月)

感染初期段階では、以下の部位に初期硬結(しょきこうけつ)と呼ばれる硬いしこりができます。

【男性の場合】

・亀頭と陰茎の間(冠状溝)

・亀頭

・陰茎

・性器周辺の皮膚など

【女性の場合】

・子宮膣部(膣の中)

・大陰唇および小陰唇周辺の皮膚

【男女共通の場合】

・口腔粘膜と咽頭粘膜

初期硬結は痛みやかゆみを伴いません。数日経過すると、しこりの中心部に潰瘍が出現しますが、これを「硬性下疳(こうせいげかん)」と呼びます。

また、感染部位の周辺(頸部や鼠径部といったリンパ節)が硬く腫れ上がりますが、やはり痛みは伴いません。特に治療を行わずとも時間とともに消失するこの症状は、「無痛性横げん」と呼ばれます。

2期(3ヵ月以上)

感染から3ヵ月経過すると、顔面・四肢・手のひらや足の裏、体幹に発疹が出現します。一見、蕁麻疹のようにも見えますが、これは「梅毒性バラ疹」と呼ばれるものです。

他にも、以下のような症状が発生しますが、多くの場合は時間経過とともに消失してしまいます。梅毒性バラ疹をはじめとする症状が現れた場合には、医療機関の受診を行いましょう。

症名症状
丘疹性梅毒体中にエンドウ豆大の丘疹ができる
扁平コンジローマ陰部や肛門周辺の皮膚に扁平状のイボができる
膿ほう性梅毒体幹中心に膿を含んだイボができる
梅毒性脱毛頭皮の一部、または全体的に脱毛が起こる
梅毒性白斑皮膚の一部または複数箇所が白くなる
梅毒性爪炎・爪囲炎手や足の爪周辺が赤く腫れる
梅毒性粘膜疹口腔内粘膜・咽頭粘膜・口唇に紅斑が出るまたは乳白色に腫れる
梅毒性アンギーナ扁桃や軟口蓋周辺が赤く腫れる

3期(3年~10 年)

感染から3年以上経過すると、皮膚や粘膜だけでなく骨や筋肉、臓器(肝臓や腎臓など)にまで硬いしこりやゴム状の腫瘍(ゴム腫)が発生します。ゴム腫は周辺細胞を破壊していくため大変危険です。

例えば、鼻骨周辺に発生したゴム腫は「鞍鼻(あんび)」と呼ばれ、最悪の場合、鼻が欠損する恐ろしい事態になります。江戸時代は「梅毒に感染した遊女の鼻が落ちる」といわれていましたが、これは「鞍鼻」の影響と考えられているようです。これらの症状を、「結節性梅毒」と呼びます。

4期(10年以上)

梅毒に感染した状態で10年以上が経過すると、心臓・血管・中枢神経や脳などの重要な臓器にまで悪影響を及ぼします。具体的には、大動脈瘤が形成されたり大動脈破裂を引き起こしたりして、最悪の場合死に至るのです。心臓や血管に影響するものを「心血管梅毒」、脳梅毒や進行麻痺などを引き起こすものを「神経梅毒」と呼び、梅毒の末期状態とされます。

現代日本において、梅毒が3~4期にまで進行するケースはほぼありませんが、4期まで進行してしまうと現代医学でも治療が難しいです。また、無症状のまま梅毒が進行する「無症候性梅毒」の恐れもあるため、少しでも気になる症状がある場合には早めに専門の医療機関を受診しましょう。

梅毒性バラ疹と発疹の違い

梅毒に感染した際、発生する症状はさまざまです。人によっては、ただの蕁麻疹と勘違いする恐れもあります。ゆえに、梅毒は「偽装の達人」と呼称されるほど厄介な性病で、他の疾患との違いを見分けるのは簡単ではありません。続いて、梅毒性バラ疹と発疹の違い、見分け方を解説します。

手のひらや足裏に発疹

体全体に発疹が現れる病気は少なくありませんが、「手のひら」や「足の裏」にまで発疹が発生する病気はそこまで多くありません。

例えば「手足口病」や「サル痘」などは、梅毒と同様に手のひらや足の裏に発疹が発生する病気です。しかし、いずれも発熱を伴うケースがあるため、梅毒とは異なると自己判断できるかもしれません。

参考:手足口病に関するQ&A|厚生労働省

   サル痘とは|国立感染症研究所

いずれにせよ発疹が手のひらや足の裏にまで発生する場合は、梅毒でなくとも何かしらの病気に感染している恐れが高いため、迅速に医療機関へ受診することをおすすめします。

発疹のあとに丘疹が現れた

梅毒に感染して3ヵ月以上が経過すると、全身の発疹に続いて丘疹も発生するケースがあります。

丘疹はバラ疹とは異なり、少し盛り上がりのある発疹です。蕁麻疹も盛り上がりのある発疹ではありますが、丘疹はバラ疹のあとに発生することが多い症状のため、見分けやすいでしょう。

参考:蕁麻疹‐皮膚科Q&A(公益社団法人日本皮膚科学会)

なお、丘疹が全身に発生している場合は、梅毒またはHIVに感染している恐れが大きいため、HIVについても検査することをおすすめします。

梅毒の原因と感染経路

梅毒は、避妊具を使用しない膣性行為(またはそれに準ずる行為:アナルセックス、オーラルセックス)や、キスだけでも感染する恐れのある非常に感染力の強い性感染症です。

原因は、「梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)」と呼ばれる細菌です。梅毒トレポネーマが、感染者の血液や精液・膣分泌液を介して粘膜や皮膚に侵入することで、相手も感染します。

なお、妊娠している方が梅毒に感染すると、赤ちゃんが梅毒に罹患した状態で産まれてくる「先天梅毒」になったり、流産・死産の原因となったりする恐れがあります。

先天梅毒と後天梅毒(先天梅毒以外の梅毒)は、ともに適切な抗菌薬治療によって治療可能です。

検査方法と費用

梅毒の感染が疑われる場合は、適切な期間を空けてから医療機関を受診しましょう。ここでは、梅毒の潜伏期間と検査方法、および検査費用を解説します。

潜伏期間

梅毒に感染すると、初期症状が現れるまでに通常3~6週間の潜伏期間が発生します。潜伏期間には個人差があり、10日程度で発症する場合もあれば、最長90日で発症したケースも報告されているようです。

検査方法

梅毒に感染した疑いがある場合、まずは医療機関で血液検査を行います。検査の際、時期を誤ると陽性か陰性か分からない恐れがあるため、感染の疑いがあってから4週間以上経過後に検査をしてもらいましょう。

検査方法は2種類あり、1つは「TP法(TP抗体検査)」です。感染したであろう時期から2ヵ月以上経過している場合、検査が可能となります。なお、1回でも梅毒に感染したことがある場合、TP法では生涯にわたって陽性反応が出てしまうケースが多いため、併せて「RPR法」による検査も行う場合があるようです。

もう1つの検査方法は「RPR法(RPR抗体定量検査)」と呼ばれます。陽性・陰性反応だけではなく、数値も重要視される検査法です。

検査費用

梅毒の検査費用は、保険適用の場合2,000円前後です。自由診療の場合は、医療機関によって異なりますが、7,000~9,000円程度が相場とされています。

保険適用と自由診療ではそれぞれメリットとデメリットがあるため、費用だけでなく「匿名性」や「診断スピード」なども加味した上で、自分に合った医療機関を選ぶと良いでしょう。

梅毒の治療方法

梅毒の治療には、2021年に国内使用が承認された「ペニシリンG(ベンザチンペニシリン筋注)」を使用します。

早期の場合は1回の筋肉注射、後期(3期・4期)の場合は1週間おきに合計3回の筋肉注射を行うことで、梅毒トレポネーマを死滅させることが可能です。神経梅毒の場合は、「ベンジルペニシリン(水溶性ペニシリン)」を使用します。梅毒の状態によって、筋肉注射か内服薬の服用いずれかを行う形となるのです。

梅毒と判明した場合、治療費用は保険適用となり相場は1,000~3,000円程度ですが、自由診療の場合は10,000~15,000円程度となります。

梅毒の予防方法

多くの性感染症と同様に、梅毒予防に際しては「コンドームを着用すること」と「オーラルセックスやアナルセックスを含む性交渉を避けること」が挙げられます。

しかし梅毒の場合、キスでも感染する恐れがあるため、梅毒に感染している疑いのある方との濃厚接触は避けるのに越したことはありません。また、梅毒感染者のうち「早期(感染して1年以内)」の方は、感染力が30%と非常に高くなっています。とりわけ、早期感染者の方との性交渉は避けましょう。

また、母子感染を防止するためにも、妊婦検診を行い積極的に治療を行うことも必要です。

まとめ

梅毒は、その症状が多岐にわたるため他の疾患と見分けがつかない恐れのある性病です。しかし、どのような症状が発生するのか把握しておけば、早期のうちに検査・治療に専念できます。適切な抗生物質の服用・投与で完治させられる性病のため、「何かおかしい」と感じたら速やかに専門の医療機関を受診しましょう。

自分だけでなく、パートナーや産まれてくる子供など大切な人を守るためにも、梅毒には迅速な治療を施すことが重要です。

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