肝炎ウイルスに感染しているかも?|検査方法や費用について紹介

肝臓は沈黙の臓器とも呼ばれており、知らないうちに肝炎を起こし進行している場合もあります。症状が出現したときには肝硬変や肝がんになっているケースも珍しくありません。肝炎の原因や感染経路、検査・予防方法を知っておくと早期に発見し、重症化を抑えられるでしょう。

血液に触れてしまった方など感染する心当たりがある場合には、検査方法や医療費助成の情報を得られるので参考にしてください。

ウイルス性肝炎とは

ウイルス性肝炎とは、肝炎ウイルスの感染によって、肝臓に炎症が起こる病気の総称です。ウイルス性肝炎を起こす肝炎ウイルスはA~E型に分類されており、下記のような特徴があります。

ウイルス種類感染経路備考
A型肝炎ウイルス・食べ物を介して感染一過性の急性肝炎が主
B型肝炎ウイルス・血液を介して感染・性行為を介して感染一過性が多いが、まれに肝がんへと移行する
C型肝炎ウイルス・主に血液を介して感染・低確率で性行為を介して感染ほぼ慢性肝炎や肝がんに移行する
D型肝炎ウイルス・血液を介して感染・性行為を介して感染一過性の急性肝炎が主
E型肝炎ウイルス・食べ物や水を介して感染・まれに血液を介して感染一過性の急性肝炎が主

中でもB型肝炎とC型肝炎は慢性肝炎、肝硬変、肝がんと移行することがあり、重症化する危険性が高いです。

B型肝炎

B型肝炎の場合、10代〜30代の時に急性肝炎を発症し、その後免疫を獲得すれば90%程は一生安定したままです。しかし残りの10%は慢性肝炎へと移行し、細胞が壊れ続けた場合には肝硬変、肝がんへと移行してしまいます。

C型肝炎

C型肝炎は急性肝炎になることは稀で、多くは自覚症状がなく60〜70%の割合で慢性肝炎に移行するといわれています。そのため気付かないうちに約20年かけて肝硬変へ移行し、年率7%の頻度で肝がんが合併するとされています。

肝炎ウイルスの検査方法

検査の内容としては血液検査や核酸増幅検査があり、検出するものが異なります。以下の表にまとめました。

ウイルス種類血液検査の検出物核酸増幅検査の検出物
A型肝炎ウイルスHAV抗体、IgM HAV抗体HAV RNA
B型肝炎ウイルスHBs抗原、HBc抗体、IgM HBc抗体HBV DNA
C型肝炎ウイルスHCV抗体、HCVコア抗原HCV RNA
D型肝炎ウイルスHDV抗体、HDV抗原HDV RNA
E型肝炎ウイルスHEV抗体、IgM HEV抗体HEV RNA

検査を受けるタイミングは健康診断で指摘された場合や何かしら症状が出た場合に多いです。症状が全くないと自由診療範囲になるため、一度医療機関に問い合わせてください。もしかかりつけ医がいる場合は、相談したうえで気になる数値や症状があれば紹介をしてもらったり精密検査をしてもらったりと早めに行動しましょう。

どんな時に検査すればよいのか

肝炎ウイルスの検査は、倦怠感や黄疸、むくみなどの症状がある場合や健康診断で指摘されたときに行います。肝炎ウイルスは無症状で長い年月をかけて進行するため健康診断など年に一度は受けて肝臓の状態を調べておきましょう。

またB型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスは、感染している方の血液が体内に侵入することで感染します。医療従事者などは特に針刺し事故や血液に触れた恐れがある場合には検査をするようにしましょう。

その他には下記のような場合に検査を受けることが望ましいとされています。

  • 肝炎ウイルスが含まれた血液を輸血した場合
  • 肝炎ウイルスに感染している危険性がある方が使った器具を消毒を行わずそのまま使用した場合
  • B型肝炎ウイルスに感染している方と性交渉をもった場合
  • B型肝炎ウイルスに感染している母親から生まれ、適切な母子感染予防措置を行わなかった場合

検査の内容について

肝炎ウイルスの検査方法には大きく血液検査と核酸増幅検査があります。具体的な検査方法をC型肝炎ウイルスの場合について解説します。

まず血液検査で行うHCV抗体検査とは、C型肝炎ウイルスに感染していることを確認する検査です。抗体が陰性であればC型肝炎ウイルスに感染していない可能性が高いと判断されます。もしも陽性である場合、抗体価(どの程度の量の抗体が血液中にあるか)を検査し、「中・低力価」であればHCV抗酸増幅検査を行います。「高力価」と出た場合には医療機関の受診をしましょう。

核酸増幅検査とは、検体から遺伝子を喀出して遺伝子を増幅させる仕組みで行う検査方法になります。少量のウイルスが何万倍と増幅されて検出されるため、微量のウイルスでも十分な判定が可能です。

検査を受けられる場所と費用について

肝炎ウイルスの専門は消化器内科ですが、血液検査は一般的にどこの医療機関でも受けることができます。また2002年からは40歳以上の人に対し、自治体が主催する検診を利用して検査を受けることができます。

医療機関で血液検査を実施した場合、医療保険が適応されます。費用としては肝炎の検査だけでも5,000円(保険適応で3割負担の場合1,500円)程度かかります。自治体が主催する検診であれば無料の場合もあるため、自治体が発行している広報誌やホームページを確認して検査することをおすすめします。

その他にも会社の健康診断などで希望すれば検査を追加可能なところや、医療費助成をしている自治体があるため、各自で確認してみましょう。検査で感染が発見された場合、精密検査をする必要性があるため、検査ができる病院を紹介してもらいましょう。

ウイルス性肝炎の治療方法とは

治療方法としては内服薬と注射による治療(抗ウイルス療法、肝庇護療法、免疫療法)が行われます。近年では薬の開発が進み、C型肝炎の場合も内服薬での治療が主になってきており、仕事を続けながらの治療も可能になりました。

肝炎ウイルスの治療は急性肝炎の場合、抗ウイルス療法は必要なく、対症療法となります。多くの場合は2〜3カ月で治癒するといわれています。慢性肝炎に移行すると半年や一年以上の治療期間を有することもあるため、仕事をしている方は職場と相談して治療を進めましょう。

ウイルス性肝炎が確認された場合に治療をしなければ、最悪な場合、肝がんへと移行してしまいます。自分のライフスタイルや症状などを加味して医師と相談し、治療を進めていきましょう。

抗ウイルス療法

肝炎ウイルスに対して、直接薬を使用し肝炎を沈静化させる方法になります。抗ウイルス治療の基本的な考え方として、ウイルスを肝臓から排除することが目的とされています。そのために有効な薬剤を使用して、肝臓のウイルスに直接働きかける治療方法となっています。

B型肝炎ではウイルスへの作用機序は薬によってさまざまです。Peg-IFN(ペグインターフェロン)は薬剤の追加投与などなく治療効果を維持します。Peg-IFN療法を行う慢性肝炎においては国の医療費助成は対象ですが、肝硬変においては保険適用はありません。週に1回の通院が必要です。

核酸アナログ製剤は肝炎ウイルスの増殖を抑えて肝炎が広がらないようにする薬剤で、第一選択薬となっています。

C型肝炎では抗ウイルス治療により肝発癌抑制効果が期待されます。IFN(インターフェロン)ベース抗ウイルス治療やIFNフリーDAAs(インターフェロンを使用しない治療法:直接作用型抗ウイルス剤)治療を行います。

肝庇護療法

肝庇護療法はウイルスによる破壊から肝臓自体を守り、肝細胞の修復を助ける治療方法となります。肝臓は自身で細胞を修復することができる臓器のため、破壊を阻止できれば新たな細胞ができあがり、治癒していきます。

肝庇護療法を行うと肝臓の状態を表す血液検査の数値であるAST、ALTの数値を改善します。一般的に使用されるものが、注射薬ではグリチルリチン酸(強力ネオミノファーゲンC)があります。内服薬ではウルソデオキシコール酸(ウルソ)などが使用されています。

C型肝炎でウイルスの駆除の可能性がある患者には、抗ウイルス療法が第一選択ですが、ウイルスの駆除の可能性がない患者には肝庇護療法が選択されます。

免疫療法

B型肝炎の治療方法として免疫療法があり、その中の一つであるステロイドリバウンド療法について紹介します。

ステロイドリバウンド療法は副腎皮質ホルモン剤のプレドニゾロンを使用し、あえて免疫機能を一時的に下げて、B型肝炎ウイルスを急激に増殖させて、症状を抑える方法です。

しかし肝臓にダメージを与えます。そのため肝硬変がある方や黄疸がある方などは基本的にステロイドリバウンド療法を行えません。もしも治療を行う場合は入院して治療する必要があります。

完治するまでの期間

急性肝炎の多くの場合には2〜3カ月で完治します。しかし慢性肝炎の重症化や肝硬変、肝がんの場合にはさらに多くの期間を有することとなります。

薬物療法の場合でも医師の指示に従い、2〜4週間ごとに内服したり通院したりする必要があります。これを途中で辞めてしまうと薬剤耐性を作ってしまい、せっかく効果があるものも効かなくなってしまいます。肝炎の治療薬はとても高価なものも存在するので、助成金や制度を活用して治療を行いましょう。

治療中は長く感じますが、職場や家庭と相談しながら治療が継続できるようにしましょう。しっかりと完治しなければ、後に肝がんや肝硬変になってしまい肝移植などの大掛かりな手術を必要とする場合もありえます。

肝炎ウイルスの予防法

肝炎ウイルスは感染経路がはっきりわかっているため、予防が可能です。日常生活の中で気を付けることや予防接種の内容など、しっかりと把握して予防に努めましょう。また厚生労働省なども肝炎ウイルスの予防を推奨しているため、多くの補助制度などがあります。

日常生活で気を付けることや自治体が実施する検査などを把握しておくことで、肝炎の早期発見や早期治療にもつなげることができるでしょう。

日常生活で気を付けること

B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスの予防は、B型肝炎の予防接種(ワクチン)を行うことと血液に触れないことです。しかしごく常識的な注意事項を守っていれば、周囲の方への感染はほとんどないと厚生労働省が発表しています。

肝炎の予防接種は2023年6月現在のところ、B型肝炎が有名です。3回接種が基本ですので0歳の段階で接種しておきましょう。しかし上手く抗体ができなかったりすると、20歳以上ほどで抗体が陰性になったり少なくなることがあります。抗体が少なければ再度予防接種の実施が必要です。

下記に気を付けることを記載しているため、日常生活で気を付けて予防をしましょう。

  • 歯ブラシ、カミソリの共用は家族でもしない
  • 血液やその他の分泌物が付着しているものは、くるんで捨てるか流水でしっかりと洗い流す
  • 外傷や鼻出血などは自分で対処し、処置を行う
  • 外傷などの手当てを行う人は必ず手袋を装着し、直接触れないようにする
  • 口の中に傷がある場合、乳幼児に口移しをしない

もしも血液に触れた場合には流水と石けんでしっかりと手洗いを行います。また手荒れなどの傷から感染する可能性もあるため、手荒れがひどい場合にはハンドクリームなどを塗布して手荒れの改善や予防に努めましょう。

自治体が実施する検査を利用すること

各自治体で差異はありますが、肝炎予防のために検査を実施している自治体もあります。下記のサイトより各都道府県や政令指定都市、中核市の肝炎ウイルス検査の取り組みについて掲載されていますので、自身が居住している地域のサイトを確認してみましょう。

厚生労働省「各自治体の『肝炎ウイルス検査』についての取り組み」

例えば東京都の場合、40歳以上と39歳未満で対応を分けて実施してしています。また自治体が実施する検査の受検機会を逃した方も自身で予約をすれば、無料で検査の受診が可能です。

自治体が主催する検査の機会を活用すれば、無料で受けられる自治体がほとんどです。感染者の感染原因は半数以上が不明とされているため、どこで感染したかわからずに現在も体内でウイルスが増殖している可能性があります。この機会を活用して早期発見に努めましょう。

医療費助成制度について

B型肝炎、C型肝炎に対しては国が助成対象医療としているものがあります。医療費の助成対象については下記の表にまとめてあります。

対象治療助成期間自己負担限度額(月額)

B型肝炎
インターフェロン治療6か月(ペガシス単独療法の場合は1年間)10,000円~50,000円※世帯の市町村民税課税による
核酸アナログ製剤(ラミブシン、アデホビルン、エンテカビル、テノホビル)1年間(毎年更新)
C型肝炎インターフェロン療法原則6カ月(延長可)

B型、C型ともにインターフェロン療法、B型に関しては核酸アナログ製剤の使用が助成対象です。また対象治療によって助成期間や手続き方法、相談場所がそれぞれ異なります。詳細は下記のサイトで確認してください。高額の治療となるため、生活に支障が出るかもしれません。

また世帯市町民税の額により10,000〜50,000円までが上限額として定められています。これ以上は公費で賄われ、支払いはありません。

国立研究開発法人国立国際医療センター肝炎情報センター「肝炎治療医療費補助制度

まとめ

肝炎ウイルスとはA~E型までの肝炎ウイルスが感染することにより、肝臓に炎症をきたす病気です。特にB型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスは重症化すると肝硬変や肝がんとなる可能性があるため注意が必要です。

肝炎ウイルスに感染しても初期には症状が出ず、10年以上経過してから体のだるさ、黄疸、むくみなどが出てくることがあります。そのため感染原因が特定できず、周りに感染を広げてしまったり重症化してしまったりということも少なくありません。

自治体が行っている肝炎ウイルス検査を自主的に受けて、肝炎の早期発見、早期治療をすると肝硬変や肝がんを予防できます。近年ではさまざまな有効な治療法があるため、積極的に受診をし、完治を目指しましょう。

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