
「ピルを飲み始めたいけれど、具体的にいつから飲み始めればいいのか」「生理以外の日からスタートしても大丈夫なのか」「ピルを飲み始めたら生理が終わらなくなった…」など、初めてのピル服用には気になることが多いかもしれません。
本記事では、ピルの飲み始めのタイミングをはじめ、飲み始めてからどれくらいでどんな効果が得られるのか、また生理が終わらない場合の対処法や副作用についても幅広く解説します。
ピルを服用するイメージを持ちたい方や、ピルの効果・副作用について知りたい方は一度ご覧ください。
ピルの主な種類と特徴

ピルは「飲む目的」「世代」「用量の多さ」「1相性(そうせい)か3相性か(ホルモンの配合量が一定か、段階的に変化するか)」「自費か保険適用か」といったさまざまな視点から分類でき、多数の種類があります。
ここでは、第一世代〜第四世代に分けて説明します。
第一世代
最初に開発された低用量ピルです。
- 生理痛の緩和や経血量の減少に効果が期待できる
- ニキビや肌荒れの改善に用いられることもある
第二世代
第一世代よりも自然なホルモンバランスに近づけた配合量になっており、3相性でホルモン量が3段階に変化するのが特徴です。
- 第一世代より副作用を抑えやすくなった
- ホルモン量が変化するため、体質に合わないケースもある
第三世代
実薬(有効成分)がすべて同じ配合量の1相性の低用量ピルです。
- エストロゲン量を調整し、副作用をより抑えやすい
- まだ発売からのデータが少なく、血栓症リスクには要注意とされる
第四世代
最低限の女性ホルモンを含む超低用量ピルとも呼ばれます。
- 利尿ホルモンがベースに含まれているため、むくみの副作用に配慮
- 生理痛やPMSの緩和を目的に処方されることも多い
- 第三世代同様、血栓症リスクには注意が必要
処方されるピルは、目的や体質に応じて医師と相談しながら選択するのが望ましいでしょう。
ピルの飲み始めはいつから?

ピルの飲み始めは、基本的に生理開始後5日以内に服用を開始し、それからは1日1錠ずつ、決まった時間帯に服用します。決まった時間帯といっても、2〜3時間のズレであればピルの効果に大きな影響はないため、そのまま服用してかまいません。
生理から5日以内に開始する理由としては、生理から5日以内であればピルの服用で卵子の成長を止めることができる期間であること、また妊娠していないことがわかる状態だからです。
ここでは、「Day1スタート」と「Sundayスタート」の2つの飲み始め方についてご説明します。
Day1スタート(生理初日から始める方法)
飲み始め方の一つにDay1スタートという方法があります。
こちらは月経初日(月経開始から24時間以内)から飲み始める方法です。
翌日からも初日の服用時刻とほぼ同じ時間帯にピルを服用する必要がありますので、飲み忘れにくい時間帯を選ぶようにしましょう。
Sundayスタート(生理開始後の最初の日曜日から始める方法)
もう一つの飲み始め方にSundayスタートがあります。Sundayスタートは、生理が開始した日の次の日曜日から飲み始める方法です。もし月経初日が日曜日の場合はその日に服用する方法です。
避妊効果が得られるまで少し時間はかかりますが、生理日を平日などにずらせるメリットがあります。週末を生理日と重ねたくない方などに向いています。
ピルは生理日以外でも飲める?
ピル自体はいつから飲み始めても問題はありません。
ただし、妊娠していないことや卵子の発育度合いを確認する必要がありますので、基本的には生理が来てから服用を始めます。できるだけ早くピルを服用して避妊を開始したい方は、一度その旨を医師に伝えましょう。
ただし生理時よりも避妊効果が安定するまでの期間が長くなる場合や、不正出血が起こりやすい場合があるため、できるだけ生理開始後のタイミングに合わせるのがおすすめです。
ピルの効果と効果が出るまでの期間

ピルの効果が出るまでの期間は、ピルを飲み始めたタイミングやどのような効果を期待するかにより異なります。
ここでは避妊効果、生理にともなう不調の改善、肌荒れ改善の3つに分けて説明します。
避妊効果
避妊目的で低用量ピルを服用する場合、服用から約7日間で避妊効果が現れると考えてよいでしょう。女性ホルモンにより卵子の発育が止まるのですが、その発育度合いが0になるのがピル服用から7日目だからです。
- ピルは卵胞ホルモンにより卵子の成長をストップ
- すでに卵子が8〜9割成長している場合は排卵してしまう可能性がある
そのため、服用し始めの1週間は妊娠の可能性をゼロにできない点に注意しましょう。また、休薬期間の前後1週間で飲み忘れが生じると排卵が起こりやすくなるため、飲み忘れがないように管理することが重要です。
生理にともなう不調の改善効果
ピルを飲むと、排卵が抑制されて子宮内膜が厚くなりません。そのため、生理のときの経血量が少なくなり、生理痛も緩和されます。この子宮内膜を増やさない作用から、ピルは子宮内膜症の治療にも使われています。
PMS(月経前症候群)の改善には、第四世代のピルである超低容量ピルが処方されることが多いでしょう。感情をコントロールできなかったり頭痛や倦怠感など心身の不調が起こったりするPMSですが、月経によるホルモンバランスの乱れが原因として考えられています。ピルを服用でホルモンバランスの変化を穏やかにできるでしょう。
PMSは、ピルを服用してからある程度の期間が経つと改善していることがありますので6〜12ヶ月くらいを目安に継続するかどうか検討してみるとよいでしょう。
また、ヤーズフレックスのように最長120日間に一回生理が来るようにするピルもあります。月経の回数を減らすことができるため、PMSになる回数も減らすことができます。
肌荒れ改善効果
低容量ピルにはニキビの改善効果もあります。
服用を開始した直後はホルモンバランスが変化するため一時的に肌が荒れることがありますが、3ヶ月ほどピルを使用するとホルモンバランスは安定してきます。
しかし、ピルの種類によっては体質に合わないこともありますので、数ヶ月使用しても肌荒れが良くならない場合は一度医師に相談をしたほうがよいでしょう。
ピルの具体的な飲み方(21錠・28錠の違い)

このようにPMSや肌荒れ改善も期待できるピルですが、実際にはどのように服用していくものなのでしょうか。
ここからは21錠のピルと28錠のピルについて、実際の服用ペースもあわせて説明します。
21錠タイプのピルの場合
- 21日間は有効成分(女性ホルモン)が配合された実薬を毎日1錠飲む
- その後は7日間の休薬期間を設ける
- 休薬期間中に生理が来る
ピルは毎日決まった時間帯に1錠ずつ服用していくものですが、厳密には女性ホルモンが配合された実薬を3週間(21日)飲み続け、その次の1週間(7日の休薬期間)は実薬を服用せず、この期間中に生理が来ることになります。
21錠のピルは21日分の実薬のみがシートに含まれたタイプです。休薬期間はお薬を飲まないため、次のサイクルが始まる日数を覚えておく必要があります。
28錠タイプのピルの場合
- 21錠の実薬+7錠の偽薬(ホルモン成分なし)が1シートになっている
- 毎日1錠ずつ飲み続けることで、休薬期間もシートを切り替えるタイミングを間違えにくい
28錠タイプは21錠の実薬と7錠の偽薬が1つのシートに含まれたタイプです。
休薬期間中もホルモンなどの成分が配合されていない偽薬を飲むことで、日数の数え間違いを防ぐことができます。
ピルの飲み忘れ防止が期待でき、現在は28錠タイプを処方するクリニックも増えてきています。日数のカウントが苦手な方はこちらがおすすめです。
ピルを飲み忘れ・飲み間違いしたときの対処法

ピルは1日に2錠までであれば服用してしまっても大きな問題はありません。
そのため、1日分を飲み忘れた時は飲み忘れに気づいたときに1錠を飲み、次の服用はもともと予定していた時間帯に飲むことで問題ありません。
しかし、2日以上を忘れた場合は医師に相談して対処方法を聞くようにしましょう。ピルの服用を一度止めて、生理が来たタイミングに合わせて服用を再開するなどの方法が取られます。2日以上ピルを飲まなかった場合は避妊効果が充分とはいえなくなるため、注意が必要です。
また、休薬期間の7日が過ぎた後に飲み忘れをすると、卵子が成長して排卵が起こることもあります。この状態も妊娠する可能性があるため注意が必要です。
普段からピル以外に飲んでいるビタミン剤やサプリメントがある場合には、それらと間違ってピルを多量に摂取しないことも重要です。飲み忘れが気になる方はアラームや管理アプリの利用も考慮するとよいでしょう。
ピルの服用による副作用

ピルには生理周期やホルモンバランスを整えるといったメリットがありますが、もちろん副作用もあります。
必ず、これらの副作用についても確認した上で服用をするか考えましょう。
- 吐き気
- 乳房の張り
- 頭痛
- 下腹部の痛み
- むくみ
- 不正出血
- 気分の変化や落ち込み
- 肌荒れ
なかでも特に気をつけたいのが血栓症リスクの増加です。ピルに含まれる卵胞ホルモンによって血が固まりやすくなり、血管に血栓ができやすくなる可能性があります。割合としては年間1万人のうち1~5人が血栓症になるといわれているところ、ピルを服用されている方は3~9人になるといわれています。
ピルの世代によって起こりやすい副作用や、その逆に起こりにくい副作用もあります。
第三世代と第四世代は、販売からあまり時間が経っていないためデータが第一・第二世代より少なく、血栓症のリスクについてはより注意しておく必要があると考えられています。
まとめ
- ピルの飲み始めは生理開始後5日以内が一般的。Day1スタート・Sundayスタートなど、自分のライフスタイルに合わせて開始日を調整できる
- ピルを飲み始めてから約7日間は避妊効果が不十分で、飲み忘れがあるとさらに効果が低下する恐れがある
- 生理痛の緩和、PMS症状や肌荒れの改善など多くのメリットがある反面、副作用や血栓症リスクもあるため、医師との相談が必要
- 「生理以外の日から飲み始めたい」「ピルを飲み始めたら生理が終わらない」など不安や疑問があれば、放置せず早めに医療機関に相談する
今回ご紹介したように、ピルにはさまざまな種類があり、避妊をしたいのか、生理痛・PMSの緩和が目的なのか、肌荒れを改善したいのかなどによって選ぶべきピルが変わります。さらに、血栓症リスクを含む副作用もゼロではありません。
「メリット」と「デメリット」をしっかり理解したうえで服用することが大切です。自分に合うピルが見つかるまでに試行錯誤が必要な場合もありますが、専門の医師や薬剤師と相談しながら、より快適な生活を目指しましょう。
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